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コロナ閉店したシャッターを広告にして、バーを助けたハイネケン

<ムービージュークボックス11>

マスクを外す余裕ができたせいか、コロナが変えたもの、残したものは何だったかを少し考えたりします。

アメリカの都市のオフィス街で、リモートワークがもっとも進んでいるのが、サンフランシスコと言われています(シリコンバレーの企業が多いことが理由でしょうか)。

コロナ禍前には、胸元にIDカードを吊るし、いつでも電話対応できるようにヘッドフォンをつけたオフィスワーカーが、レストラン前でテイクアウトを待っていたのに、いまは冬の遊園地のように、人影もまばらみたいです。

週休4日制で、コアな水曜日は、オフィスビルは50%くらい、金曜日は、30%くらいしか使われていないと報道されています(New York Times 12/20)。

平日午後のサンフランシスコ・ダウンタウン©︎New York Times

コロナ禍で変わったことを、広告でも描いています。

リモート・ワークのミーティングの”あるある”を楽しむハイネケン:

”平日や昼間、仕事中でもドライブ中でも飲める”ゼロ・アルコールビールのニーズに応えて:


サンフランシスコは例外として、街やオフィスに人が戻り始め、ロックアウトされていたバーも開店。でも、問題も生じています。

バーの従業員を感染から守るために、ワクチン接種証明”グリーンパス”を、
入店前に提示するように求めたところ、トラブル続出。

入店を断られた人々が騒ぎました。

「ビールはぬるい、食事は冷たい」「このバーは避けて、帰宅する場所になった」とか、バーの悪口満載で、SNSを炎上させました。

そこで、ハイネケンが、お店のために立ち上がった。

バーを”ボイコットするSNS”に対して、”ボイコット反撃SNS”をつくりました。

「このバーには、行かない」→「このバーには、ワクチン未接種者がいないから、安心して友達と会える」と反論をSNSで展開。GPSで店舗案内して、バーの従業員に感謝されました。

@elpublicista.info

2年前には、閉鎖されたバーのシャッターに、ハイネケンのポスターをペイント、「ハイネケンは、次の機会に」とメッセージして、休業中のバーに広告料を払って応援していたハイネケンを、バーの経営者は忘れていません。

©︎youtube.com

アメリカの友人に親切にしてもらったとき、お礼を言うと「友達だから当然でしょ(That's what friends are for.)」と返される。何度聞いても、心地よい言葉です。

相手の心に寄り添って、いい気分にしてくれるマーケティングをしているのが、ハイネケンだと思います。

コロナ禍が、リトマス試験紙でした。

コロナ禍なんてどこ吹く風で、ひたすら商品を売るだけの広告をする企業がいるなか、困っている顧客に手を差し伸べて「長いお付き合いだから当然でしょ」とマーケティング・サービスをするハイネケンの企業人格を敬愛します。

世の中、こんな気分のいい広告だらけだったらいいのになと、ふと思います。


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