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「どうしてあんなミスをしたんだ、と思いながらベッドに入る毎日だ」
<ショウファー>
私は、ショウファー。高級リムジンの雇われドライバーだ。
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お金持ちの顧客とは、くらべようがないが、危険手当てを含め、日当1千ドル超の収入がある。でないと、出来心で、彼らや彼女たちを襲うやつが出るとも限らないからだろう。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/83098781/picture_pc_539547ba957b0839bf8fd57566c78a99.jpeg)
420馬力、8気筒、オートマチック10段トランスミッション、レギュ ラー・ガソリンで走る。車内スピーカーは、36個ある。ハンドルの真ん中に小さなマイクが装着されていて、後部座席の顧客に大きな声で
話さなくても聞こえるようになっている
うちの会社では、顧客のパーソナル・データは、事前にドライバーに届くことになっている。”我々は、人を移動させる輸送業ではない。神経を働かせる、感情労働のサービス業だ”という会社の方針による。
きょうの顧客は、俳優のトム・ハンクス[1956年生まれ。アカデミー賞の最優秀男優賞を「フィラデルフィア」と「フォレスト・ガンプ」で受賞。2型糖尿病で、避ける食品は、牛肉、ソーセージなど加工肉、甘い飲み物など]
会社のデータは、この程度。ま、あまり役に立たない。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/83155941/picture_pc_8010b178484e809ef71534b43445ea71.jpeg)
しかし、会社のデータよりくわしいプロフィールが、いまはネットで調べられる。
ハンクスは、両親の離婚を経験し、親戚宅を転々とし、10歳の時、10度居住場所を変えた、つらい過去があるそうだ。
また、舞台俳優を目指した経歴を見ても、苦労人らしい。気むづかしいとか、話しづらさは、なさそうだ。
最良の愛を感じたのは「あなたがどんなに苦しんでいようが、どんなに困っていようが、あなたが座る食卓は、いつもここに用意してあるよ」と親戚に言われたときだったと言う。
ハンクス少年は、苦労している。
ハンクスは言う「ヒーローとは、自分から進んで、まったくわからない世界へ足を踏み入れる人」。
人の勇気をたたえ、ロマンのある人だと思った。
”きょうは、いい日だった”と、ふつうの人はベッドに入るだろう。
僕は”どうして、あんなミスをしたんだ”と、ぶつぶつ言いながらベッドに入る日が多い”と、ハンクスは言う。
つねに反省を忘れない、このような人に、悪い人はいない。
努力も惜しまない。ゲイの弁護士役を演じたときは、17キロ減量。遭難したフェデックス社員役では、1年かけて25キロ減量。逆に、アイスクリームを食べて、15キロ肥満も果したそうだ。
「2001年宇宙の旅」の映画を、劇場で22回も観ている。熱心で愉快な人は、ハンクス以外に知らない。
玄関からミスター・トム・ハンクスが、車内で目を通すのだろうか、書類を持って出てきた。
きょうベッドに入るとき「きょうは、いい1日だった」と言える日になる予感がする。