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第15章 貴様が「w」を使う時


「なに今さら焦ってんのーw」

「なに今さら焦ってんのーw?
 なんだコイツ、ナカノタイチか、しかもなんか嬉しそうだな、こっちは陰鬱な気分なのによ」

「焦んなくていいってーw」

あ、ダメだコイツ。

「貴様はナカノタイチか」

「ナカノタイチ? 貴様って何?」

「お前、引っ掛かるとこがずれてるな」

「あーあー、知ってるよ。又吉の『人間』に出て来るヤツだろ?人の作品を引き合いに出して、自分の作品に落とし込むのってどうなの?」

「お前、そういうところもナカノタイチだよな。つくづくナカノだな。『人間』最後まで読んだか? 太宰の『人間失格』が出てくるじゃねぇか。『人間』に『人間失格』が出てくるなら、『「フレア」と「パルス」と、それ以外』の中に、『人間』と『人間失格』、又吉と太宰が出てきてもいいだろう。というか作者の覚悟とかだろう。ってそれも重いし、大袈裟だけどな、ま、どこの世界にもナカノタイチはいるってことだな、おれの言ってる意味わかるか?
それからな、おれは「w」ってのが大嫌いなんだ。貴様の「w」。貴様は嬉しくて、御機嫌で御満悦かもしれないが、こちらにしてみれば、不快だ。不愉快だ。分かっててあえて傷付けにいってるのか、それともそれすら気付けないのか。それとも他人に勝ったと錯覚して喜びが溢れ出て抑えきれない意味での「w」なのか。それとも他の何かなのか?貴様が「w」を使う時は面白くない。勘違いの優越感としての「w」だな。さしずめ。サシズメ。さしづめ。サシヅメ。自分が昇華出来てない言葉を使おうとするな、いちいちググる羽目になる。多少間違っててもいいじゃねぇか。なにに怯えてんだ?
自分の言語で話せ。自分の感覚に忠実であれよ、だからといって好き勝手やって、迷惑をかけろと言う意味じゃないぞ。わかるだろ。
9割以上ナカノタイチじゃねぇか、この世は。イヤ、おれは違うと言ったとしても、そうだから。
おれもそうだし。おれもか?じゃあ10割じゃねぇか。全員ナカノタイチじゃねぇか」

「なんか言ってた? ノイズ入ってて聞こえなかった。
もう一回最初から言って」

「ボーーーーーーーーーーーーーンッッッッ!!!!!」

畳10畳の部屋、全員就寝する中、ヒステリックなTELEPHONE。

つづく



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