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保護犬[空(くう)ちゃん&音(おと)ちゃん]家庭犬への道のり

〜空(くう)ちゃんとの出会い〜
空ちゃんとの出会いは譲渡会でした。
その時私はUターンで地元に帰ってきたばかり。
田舎に戻ったら犬を飼いたい、犬を飼うなら保護犬がいいな…と思い、地元の愛護団体の譲渡会に足を運びました。
そこにいたのが空ちゃんでした。

空ちゃんは見た目は可愛らしいのですが、元気そうな他の犬達とは全く違い、無表情で終始ずっと棒立ち。全く動きません。
近づくと避けられ、全く触れたりできません。どうも人間がこわい様子。
当時のキャッチコピーは「可愛いけれど愛想がない」でした。(笑)

しかし、その時の私は犬を飼う環境が整っていませんでした。
譲渡条件を全て満たしてなかったのです。
それでも、大人しくて可愛い空ちゃんがどうしても気になって、定期的に開催される譲渡会に何度も行き、ボランティアさん達に話を聞いていただいたり、相談にのっていただいたりしていました。

譲渡会に行くたび「空ちゃんまだいるかな?私が犬を迎えられる状態になった時までにいなくなってたら縁が無かったと思おう。それまで残っていてくれたら運命の子だ。」と思いながら…

それから少しずつ犬を飼う環境を整え準備を進めました。
そして、最後の最後まで難儀した譲渡条件が「同居家族全員の同意」でした。
それだけクリアすれば里親希望を申し出できる、という状態になりました。
何故難儀したかというと、母のペットロスです。
当時で先代犬が亡くなって2年が経っていましたが、母は「愛犬との別れがあんなに辛いなら、もう二度と犬は飼えない」と、まだペットロスから立ち直れてなかったのです。

とりあえず空ちゃんに会ってみるだけでいいから!と、母を譲渡会に連れて行きました。
私が空ちゃんに出会って3か月が経った頃でした。

母が空ちゃんに近づくと、空ちゃんは初対面の母の方を見てヒュンヒュンと数回尻尾を振りました。
これには私もボランティアさん達も「あのキューちゃん(※)が尻尾振ったー!!」と、びっくり大騒ぎ!
(※キューちゃん:空ちゃんの保護犬時の仮名)
譲渡会で空ちゃんが尻尾を振っている姿なんて誰も見たことがなかったのです。
そして次の瞬間、母が空ちゃんに「うちに来る?」と話しかけていたのです。

今思えば、あの時、空ちゃんがうちを選んでくれたのかな?
それとも、先代犬が導いてくれてたのかな…?と思いました。
そんなこんなでやっと譲渡条件を全てクリアし、空ちゃんを迎えることになったのでした。

〜空ちゃんの生い立ち〜
空ちゃんは元繁殖犬です。
ペットショップで売られている可愛い仔犬達のお母さんでした。
地元の柴犬ブリーダー(通称:柴山)の崩壊で保護された子でした。
柴犬専門のブリーダーと言っても、飼育環境は劣悪で、水道も電気もない山奥でたくさんの柴犬達が雨晒しの小さな犬舎に閉じ込められっぱなしでした。
もちろんフィラリア や病気にもなり放題です。
ご飯も激安フードを3日に一度だけ…だったそうです。
柴山にはピーク時、50頭ほどの柴犬がいたといいます。
そんな沢山の柴犬をたった一人の年配の男性が世話していたと言うから驚きです。

柴犬達は犬舎に閉じ込められっぱなしなので、すのこ状の床の隙間には、自分達のう●こが目詰まりし、糞尿がミルフィーユ状に積もりに積もり、その上で犬達は過ごしていました。
そして、その柴犬ブリーダーは廃業し、ろくに世話もされずに数年が経ち、ボランティアさん達に保護されるのです。
保護当時、生き残っていたのは柴犬30数頭。
ボランティアさんが初めて柴山に行った時は、犬の死体や骸骨が転がっていたそうです。
あまりに衝撃的で残酷で悲惨な現場でした。
そして、ボランティアの方々が柴山に通い、お世話をしながらの新しい飼い主さん探しが始まったのでした。

私が、パピーミル(仔犬工場)や繁殖屋のことを知ったのもこの頃で、空ちゃんがいた環境はまさに繁殖屋だ…!と愕然としました。
空ちゃんはそんな生い立ちだったので、犬らしいことは何もしたことがなく、繁殖に使われるためだけにただただ生かされているだけの状態で、感情も何も無かったのです。

柴山 ※写真使用の許可は頂いております。


中でも空ちゃんは見た目が可愛いという理由から、柴山の広報担当としてボランティアさんに連れられて譲渡会に参加していました。笑
そして、柴山にたくさんの里親さん候補を連れて来てくれていたんだそうです。
でも愛想が無く大人しすぎる性格から、中々里親が決まらず、最後の残り約10頭ほどになるまでずっと残っていました。

譲渡会に参加していた空ちゃん


〜音(おと)ちゃんとの出会い〜
音ちゃんとの出会いは空ちゃんを迎えて1年と数ヶ月ほど経った頃。
愛媛県動物愛護センターのホームページの迷い犬収容情報に公示されていた、たった一枚の写真でした。
愛媛県動物愛護センターに収容された犬の命の期限は1週間。
何気なく見ていた、毎週更新される迷い犬収容情報。
収容犬は他にもたくさんいるのに、どうしても音ちゃんのことが気になって仕方なかったのです。
まず、音ちゃんの写真の表情が「助けて!ここから出して!」と訴えているようでとても悲しげで頭から離れなくなってしまいました。
そして、音ちゃんの保護された町が私が個人的に思い入れのある土地だったので何かの縁を感じたのと、
老犬との情報だったので、老犬ならうちで引き取って残された短い犬生を幸せにしてあげれるかな…という思いでした。
でも実際に会って見ると老犬ではなく、若い犬でした。
見た目がボロボロで老けてみえただけでした。笑

気づいた時にはもう残された時間=命の期限は1週間を切り、たった数日!
そのたった数日の間に必死で迎え入れの準備と譲渡条件クリアする環境を整え、収容期限ギリギリに音ちゃんをお迎えに行ったのでした。

職員さんは「実際に見てから決めてもいいですよ」と言ってくれましたが、実際音ちゃんを目の前にして「今、私が里親になるのを断ったら、この子は明日この世から消えてしまうかも知れない…」と思うと、選択肢は“連れて帰る”しかありませんでした。
音ちゃんはお迎えに行った当時、皮膚や皮毛の状態はとても酷く、肋骨が浮いてガリガリの状態でした。
動物病院に連れて行くと、フィラリア 強陽性(現在は完治)で、皮膚は真っ黒で酷いアレルギーで脱毛、耳も中まで真っ黒で外耳炎もありました。
一体、どんな酷い環境で飼われていたのだろうと想像するだけで涙が出ました。
不名誉なことに、私の地元、愛媛県は犬猫殺処分数ワーストの常連。
たくさん犠牲になった子達の分まで、音ちゃんを絶対幸せにする!と誓いました。
そこから「音ちゃん」としての新しい犬生がスタートしました。

引き取り直後の音ちゃん
 引き取り直後の音ちゃん@センターにて

〜現在の空ちゃん・音ちゃん〜
空ちゃんが家族になって丸6年、音ちゃんは家族になってもうすぐ丸5年が経とうとしてます。
能面の様だと言われていた空ちゃんはみるみる表情が豊かになり、何よりお散歩が大好きなわんこに♡
闇の目と言われ暗い表情だった音ちゃんも、初めはボロボロ過ぎて、雑種だと思っていたのに、とっても可愛いモフモフの柴犬に大変身しました♡
正直、ここまで可愛くなるなんて!本当に想像以上でびっくりです!
しつけも年齢なんて関係なくて、空ちゃん音ちゃんも時間をかけて色々なことを経験し、学習してきました。
2頭とも、とってもいい子です♡

保護犬もたくさんの愛情を注げば、時間がかかってもいつかは心を開いてくれる。
一度は人間の身勝手で辛い思いをしたのに、今ではこんなにも私達人間を信頼してくれる。
そんな、健気な犬達の姿を見ると泣けてきます。
そして、本当に犬の可能性って無限大なんだなと実感しました。

空ちゃん音ちゃんビフォー写真
空ちゃん音ちゃんアフター写真


今、空ちゃんはすっかり老犬になり、白内障や認知症の症状も出てきました。
これからも空ちゃん&音ちゃんの残された時間を大切に、たくさんの思い出を作っていきたいです。
そして、うちの家族になれて良かったと思ってもらえる様、一緒に過ごしていきたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

2022年10月
2022年10月
2022年9月
2022年9月


#うちの保護いぬ保護ねこ


〜追記〜
うちの保護いぬ保護ねこ投稿キャンペーン主催者様へ
note初登録、不慣れなもので、公開がタッチの差で日付けを超えてしまいました。申し訳ありません。
応募可能でしょうか?可能であればよろしくお願い致します。

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