「おかえりモネ」心の洗濯①〜『五常訓』は心のバランスが大事!との教え
トラウマを抱えて登米に来たモネと菅波は偶然が重なり「トラウマ回復のニコイチ」として自助グループ活動(同じような傷を負う者がグループとなり、感情を共有しながら心の傷を癒していく治療)を行っています。(→詳しくはこちらのnote)
菅波とモネは2人で過ごす時間そのものが、2人の「心の洗濯」になっています。ここではその「心の洗濯」につながる要素から『五常訓』をピックアップして整理していきたいと思います。
『五常訓』はバランスが大事!との教え
まずは、1話からサヤカと毎朝唱えている「五常訓」。
伊達政宗公遺訓「五常訓」
仁に過ぎれば弱くなる
義に過ぎれば固くなる
礼に過ぎれば諂いとなる
智に過ぎれば嘘をつく
信に過ぎれば損をする
(意訳)
相手を思いやり、優しくしすぎれば自分が弱くなってしまう。
筋を通そうと正しい行いばかりに囚われては融通がきかなくなり、柔軟な対応ができない。
礼儀正しさが過ぎれば、嫌味となり逆に失礼である。
知識や経験が増え利口になると嘘をつくようになる。
他人を信じすぎれば損をしてしまう。
五常とは儒教の中で大切だと言われている5つの徳目のことです。
『仁義礼智信』(五徳)
伊達政宗が自身で経験した人間の本質を踏まえて、
ーー「儒教の教え『仁義礼智信』(五徳)も大事だけど、それに偏ってはうまくいかない。バランスが大事だ」
と教えを説いたのが「五常訓」だそうです。
震災で心のバランスを大きく崩してしまったモネが心の洗濯をしていく過程で必要なことが「心のバランス」を取り戻すことであり、その標語として「おかえりモネ」では使われているようです。
『震災によるPTSDからの回復する力』についてまとめられている専門資料でも、PTSDからの回復には「心のバランス」を取り戻すことが大切だと書かれています。
上記の図の左側に取り上げられているバランスの偏りに当てはまるモネの言動を思い出します。
モネは心のバランスを崩していました。
ーー1話から「心のバランス大事!」と五常訓を唱え続けたモネ。
上記tweet内図の左だった思考が、バランスが整って右に書かれている思考に変わっていきます。
そしてモネの心のバランスが整いつつある登米のラスト前にサヤカが「隠と陽のバランスが悪いとこの世界全体が不安定になんの」といいます(44話↓)。
サヤカ「舞を舞うことはね、能では、物事の陰と陽を整えることを意味すんの。陰陽(おんみょう)ともいうわね」「陰と陽のバランスが悪いどこの世界全体が、不安定になんのよ」
百音「あっ、低気圧と高気圧も陰と陽かも。気象もそうなんです。バランス取ってるです。気圧の差をなくすために、風が吹く、水の量が偏らないように、雨が降る」(44話)
これは登米の生活を通して「五常訓」が教えた心のバランスを取ることの大切さのまとめであり「心のバランス」が偏りがちなモネに贈った言葉と取れます。そしてモネもそれを実感した。
サヤカ「へえ~雨。あっそうよ雨!」「舞を舞って、天の陰陽が整うと雨が降るっていわれでんの。舞は、雨乞いの意味もあんだもの」「面白いね、いろんなものがつながってで」(雨音)「ほらね全てが整ったら雨が降る」(44話)
ーー「整ったら雨が降る」…
モネは「心が整い準備ができた」から雨が降りました。
→この後、家族に胸のうちを吐露できました。
13週菅波も「心が整い準備ができて」雨が降りました。
→だからその後モネにホルンのトラウマを吐露できました。
雨はバランスを崩していた心が整ったことを伝える合図のようです。
東京で水害注意喚起に拘りすぎた中継ネタをしても、汐見湯部屋に飾る「五常訓」の教えが、モネの心のバランスを取り戻しているようです。
気仙沼編でもどこかに飾られているのか、もうモネには必要ないのか(そんな風にはみえないけど)気になっているところです。
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