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おかえりモネは「水の循環」の物語〜その根底に流れるものは運命の2人の愛
「おかえりモネ」は「水の循環」がストーリー骨子だ、「心の復興」がコンセプトだとtweetしてきました。その基本的な話しの流れは次の通りだと思っています。
水は
太陽エネルギーによって蒸発し、
雨となり、
森林で浄化し育まれ養分を含んだ後、
川で磨かれ、
海に帰ります。
栄養をたっぷり含んで帰った水は、海に潤いを与える。
そして、読み解くとたどり着くのは
根底に粛々と流れている、
ーー「震災で引き裂かれた運命の2人の物語」
要するに『「亮と百音」の愛の物語』です。
そこにたどり着くために、最大のテーマでありストーリーの骨子にもなっている「水の循環」について整理していきたいと思います。
おかえりモネのテーマは「水の循環」
この物語のテーマは大義で「循環」の物語です。循環には、社会循環、富の循環、命の循環…いろいろありますが、その循環の中心に据えられているのが「水の循環」です。
龍己じいちゃんが葉っぱのイラストと共に「水の循環」を説明する回想シーンが大切な場面で何度も何度も登場します。
龍己「その山の葉っぱさんたちが海の栄養になんのさ。山は海と繋がってるんだ。なんも関係ねえように見えるもんが、何がの役に立つっていうことは世の中にいっぺえあるんだよ」
山は海とつながっている。
— 連続テレビ小説「おかえりモネ」 (@asadora_nhk) May 17, 2021
「じゃあみんな、だれかの役に立てるの?」#おかえりモネ #朝ドラ#清原果耶 #夏木マリ #藤竜也 #池村咲良 #寺田藍月 pic.twitter.com/YgdTkSlG1b
気象予報士の勉強も「水の循環」からはじまります。
龍己が「水の循環」を説明している中の、
『みんな繋がっている。
そこにいるだけで、みんな役に立っていること』
が「おかえりモネ」の主題であり、この物語を通して最も伝えたいことだと思っています。
モネが何度も繰り返すセリフ
「誰かの役に立つ」「何もできなかった」からも同じメッセージが物語に深く組み込まれていることが読み取れます。↓こちらのnoteにまとめました。
これはあさイチプレミアムトークでサヤカ(夏木マリ)も明言していますし、作曲の高木さんもツイートしています。
ここぞというシーンで流れたのは『環(たまき)』という曲です。『おかえりモネ』のキーワードである「循環」をテーマに作りました。広大なテーマですが、演出の一木さんからお話を聞いて、蝶のはばたきが大きな現象を巻き起こしていく、ふわふわしてるのに壮大な曲になりました。
— 高木正勝 (@TakagiMasakatsu) May 20, 2021
このように、「水の循環」を物語の軸・ストーリーの骨子として物語を追っていくとスッキリとすることが多々あります。
その前提として、物語のはじまりからモネが抱えていたトラウマは「水害」であることを整理します。
モネのトラウマは「水害」。モネはなぜ「水」を強く拒絶しているのか
物語が進むにつれ分かったことは、モネが抱えているトラウマは震災全般や「揺れ」ではなく「水にまつわること」限定だということでした。
東京編初期では、アンダーパス水没、夏休み海水浴や山での水の事故など水害への注意喚起に強くこだわりを見せ、熊本地震はスルーされています。
モネが極端な反応をみせるのは「水」にまつわることですし、それ以外はスルーされています。
おかえりモネ。
— クー (@4utHPUC7N0k1LG9) July 30, 2021
モネさんは地震に対してトラウマは無くて、むしろ水害にトラウマがあるんだろうね。揺れではなくて、津波。
大切な人の大切なものを奪ったから。それに対して何もできなかったどころか、それさえも見てないから。
8週に新次が放った「海に恨みはねぇから」が注目されましたが、そのセリフの前にモネは「海を見て、辛くなったりしないですか?」と質問しています。この週は亮と新次に感情移入し見逃しがちですが、ここでもモネは「海をみて辛くなっている」と受け取れます。
大切な人の大切なものを奪ったのは「水」だからでしょう。
「あの日、わたし、何もできなかった」
— 連続テレビ小説「おかえりモネ」 (@asadora_nhk) May 20, 2021
朝日を見つめて、百音がこぼした言葉。#おかえりモネ #朝ドラ#清原果耶 #西島秀俊 pic.twitter.com/Dknii6qYtx
移流霧の向こうにみたものは、気仙沼から海の煙ごしにみたあの日の亀島です。あの日すぐに駆けつけたくてもそこに海(水)があって行けなかった。
水は「大切な人の大切なものを奪った」だけでなく
大切な人のもとに駆けつける時にモネの行く先を阻んだものでもあります。
大切な人とモネを隔てたものも「水」です。
この背景に共通して存在するのは「りょーちん」です。
亮との関係が壊れたのはあの水のせいで、それをモネは受け入れられないでいるといえます。
「水」に対してトラウマを抱えたモネ。そのモネが「水の循環の旅」をして、浄化し、栄養を蓄えた新しい水になって気仙沼に戻ってくる。
「おかえりモネ」はそんな話なのではないでしょうか。
→#おかえりモネ 上ツイまとめ)
— クー (@4utHPUC7N0k1LG9) September 14, 2021
そもそもモネは「水害=水」にトラウマを抱えてたから、そのトラウマ(水害)を抱えたモネが「水の循環の旅」をして、浄化し栄養を蓄えた新しい水になって気仙沼に戻ってくる。って結構シンプルな話だと思う。 https://t.co/3PuxhW5Jl0
心を浄化する「心の洗濯」の表現に、水がぐるぐる回転して小さな循環をしている洗濯機・コインランドリーを使っているのも、モネのトラウマの「水」を「水」で浄化することを表していそうです。
モネの心のが浄化していく過程はこちらにまとめました↓
「水の循環」は「モネの成長の旅」
1.2週早々に、龍己、サヤカ、朝岡から教わり、そして気象予報士のテキストでも学ぶ「水の循環」。
ーーこの「水の循環」を要約すると次のようになります。
「水」は
「太陽エネルギーによって蒸発」し、
「雨」となり、
「森林」で浄化し育まれ養分を含んだ後、
「川」で磨かれ、
「海」に帰ります。
栄養をたっぷり含んで帰った「水」は、「海」に潤いを与える。
(”森林は水を育む”は林野庁の水の循環の説明の表現、”地下と川が水を磨く”も一般的に使われる表現)
そして「水の循環」を「おかえりモネ」のストーリーにあてはめると次のようになります。
「モネ」は
「相手役の存在によって力を与えられ」、
「雨」となり、
「登米」で浄化され、育まれ、養分を含んだのち
「東京」で磨かれ、
「気仙沼」に帰る。
栄養をたっぷり含んで帰った「モネ」は「気仙沼」の人々に潤いを与える。
ここで大切なことは、
水の循環で「太陽」は「そこにいるだけ」で水を循環させる(力を与える=役に立つ)存在だ
ということです。
"蒸発は主に太陽エネルギーによって起こります"
— 連続テレビ小説「おかえりモネ」 (@asadora_nhk) June 17, 2021
きのう見たビニールハウスの写真を思い出し、モネの中で何かがつながったようです🌞✍🏻#おかえりモネ #朝ドラ#清原果耶 pic.twitter.com/GVUPGm3Ogf
そして・・・
モネは物語初期からずっとずーっと太陽である亮によって力を与えられ動かされていることが読み取れます。
登場時間が僅かな亮ですが、モネの潜在意識下ではしっかりと影響を与え続けていることが描かれてるんです。
亮の存在は、登米編では→気象予報士の資格を取得するまで大切なポイント「興味・関心」「内発的動機付け」「決意覚悟」、東京編では→「気仙沼へ戻る動機付け」「覚悟」において特にモネに強く影響を与えており、その影響の仕方は〈愛〉と読み取れるほどのエネルギーを発揮しています。
その事を細かく追ったnoteがこちらです↓
「水の循環」をストーリーの骨子とし、「心の復興(トラウマ回復)」「思春期から大人への成長」「恋愛」「人間関係」などが肉付けされ、「おかえりモネ」の物語が出来上がっています。
そしてその強いエネルギーを発する太陽として『震災によって引き裂かれた運命の2人』の想いが根底に粛々と敷かれています。
そのソウルメイトの愛も含めた「おかえりモネ」の「心の復興」は「手塚治虫ブッダ」をコンセプト、物語のベースにしているようです。詳しくはこのnoteにまとめました↓。
以上がざっくりの概要兼インデックスです。
詳しい考察はリンク先の各noteで行っています。
●「おかえりモネ」を読み解く考察一覧
●上記元ツイです。上記以外にもバラバラつぶやいています。
⚡️#おかえりモネ 考察まとめ直し〉
— クー (@4utHPUC7N0k1LG9) September 3, 2021
(A)「水(モネ)の循環」が大枠ストーリー骨組み
(B)「手塚治虫ブッダ」が物語コンセプト下敷き
→モネの「心の復興」をたどりながら、「これからどう生きるべきか(人間関係・防災)」を説いている。https://t.co/IkMIDOsuDi