「おかえりモネ」〜菅波のカウントダウンを読み解いてみた
トラウマを抱えて登米に来たモネと菅波は偶然が重なり「トラウマ回復のニコイチ」として自助グループ活動(同じような傷を負う者がグループとなり、感情を共有しながら心の傷を癒していく治療)を行っています。(→詳しくはこちらのnote) 菅波とモネは2人で過ごす時間そのものが、2人の「心の洗濯」になっていいると考察を重ねてきました。
その中で、ずっと気になっていたことがあります。
菅波はモネと東京で一緒に過ごす時間をカウントダウンしがちだということ。そして洗濯機の表示が妙に印象に残る仕掛けになっているということ。
なんとなくの頭の中で繋がったことを自分の整理用と事実確認も兼ねて、以下まとめてみます。
●あと11分→10分
55話、東京で菅波とモネは再会します。この時から菅波のカウントダウンが始まりました。
あと11分→10分
(洗濯機の時間表示を見る菅波)
菅波「あと11分です」
百音「え?」
菅波「洗濯が終わるまで、僕はここにいなきゃいけない」
百音「はい」
菅波「ついでに聞きますよ。あと10分ですよ」 (55話)
これが話数のカウントダウンだったらーーー
この55話を含めてあと11話。
55話+10話=65話
65話は、菅波がトラウマを告白しモネから手当てを受ける「心の洗濯」の話です。
(コインランドリー)
菅波のトラウマ告白…「バカですよ。親身になって言ってくれる先生の言うことだから信じたい。そんなどうでもいいくだらない感情を優先して彼は、経験も実績も何もない方の医者の言うことを聞いて、それで・・・。人生賭けてきたものを一気になくした。いや、そもそも、僕が冷静に判断していたら、彼は今頃また舞台に立っていたかもしれない」
モネが背中を撫でて手当てをする。(65話)
菅波は直前の62話で心のバランスが整って雨が降っています。
菅波の心のバランスが整いつつある段階で、モネが鮫島のサポートを成功させたことが65話のトラウマを言語化し吐露することに繋がり、モネの手当てで「心の洗濯」を完了させていました。
菅波「(A)洗濯が終わるまで、
僕は(B)ここにいなきゃいけない」(55話)
↑これを対応させると次の通りとなります。
(A)『55話から65話までの10話、心のバランスを取り戻してトラウマの言語化を終える』まで、
菅波は(B)『「心の洗濯」の舞台であるコインランドリーにいなきゃいけない』
菅波は自分のトラウマ回復の山場までをカウントダウンしていたことになります。
●あと1分
81話。亮に縋られた次の話で菅波に縋るモネ。
ここで出てくるのが「あと1分」です。
百音「先生が、目の前からいなくなっちゃうのやだって思ってるんです」
(百音を抱きしめる菅波)
菅波「あなたの痛みは僕には分かりません。でも分かりたいと思っています」(百音の目に涙があふれる)
百音「すいません」(離れようとする百音)
菅波「あと1分」(抱きしめた腕に力を込める菅波)
(洗濯機の終了の音)
百音「1分って・・・」(腕の力を緩める菅波)
菅波「すいません」
:(手の中で潰れたずんだ餅)(手に取る菅波)
菅波「頂きます」(81話)
文章で読み返すとなんともいろんな解釈ができそうな表現ですが、この81話は区切りの回であることに間違いなさそうです。
これが話数のカウントダウンだったらーーー
この81話を含めてあと1話。
81話+0話=81話内で完結
ーー81話で区切られていることは次の2点です
・モネと菅波が付き合いはじめた回
・受け止めてもらうことによりモネの心の洗濯が大きく進んだ回
└亮のことでバランスを大きく欠いていたモネの心を安定させるまで
別noteで「コインランドリーの洗濯中」の表示は、「心の洗濯中」を示していると考察しているので、それに則るとここでの「あと1分」は「治療中」にあたりそうです。
「亮とのことでモネは心のバランスを極度に欠いていたが菅波に全て受け止めてもらえたことでモネの心が安定」するまでの話数と捉えたいところです。(亮視点の感情は一旦置いておきましょう)
●15分…会いましょう
85話。橋の見える川辺で会う約束の時の電話が「15分」です
電話菅波「送ります、会社まで。15分、会いましょう」(85話)
これが話数のカウントダウンだったらーーー
この85話を含めてあと15話。
85話+15話−1話=99話
気仙沼に入って菅波ロスが叫ばれていた中、99話で菅波との電話シーンが挿入されています。
「15分、会いましょう」(85話)
東京で仕事で行き詰まった時も「あ~もう誰か話聞いて・・・」とモネが呟き、菅波に再会して話を聞いてもらったように、鮑の開口日予測で漁協の事に行き詰まっていたモネはひと通り聞いてもらってスッキリしています。
あわせて、同99話アバンで98話亮の「綺麗事にしか聞こえないわ」「今はそう思ってる」が入っているので、再度心のバランスを崩すモネに再び菅波の「心のケア」が必要になるタイミングを伝えていたのではないかと思っています。
「15分、会いましょう」(85話)は
「次の診察は、15話後にまたきてください」と読み取れます。
●あと48分→47分
67話。東京で再会した菅波とモネが、そのコインランドリーから初めて出たのが「蕎麦屋」です。(67話↓)で「災害の多い土地から離れるべきかどうか」について相談していた流れで、菅波とモネは蕎麦屋に います。
(洗濯機の中で洗濯物が回転している)(回想)内田「もはや、住めなくなってるとか・・・」沢渡「もうその土地を離れるしかないってことか」朝岡「考えなくちゃいけないんです、もっと」(回転する洗濯物を眺めている百音)
菅波「どうも」…百音「あ・・・あっ、先生、そこの、洗濯機、空いてます」菅波「ああはい」(洗濯物を入れ、洗剤を用意する菅波)
百音「そこ洗剤」(自動で洗剤が入るタイプ)
菅波「あ・・・そうでした」百音「ややこしいですよね」
菅波「そばでも食べませんか?」
百音「柔軟剤も自動って賢い・・・」(驚く百音)
菅波「そこの角にあったでしょ、そば屋」「昼飯まだなんです。あっ、もう食べましたか」「48分。で、戻りましょう」(洗濯機の表示を確認)
菅波「行きますか?」百音「はい!」(洗濯機を見る菅波)
菅波「あと47分です」(出て行く菅波)
明日美「ふあ~。おそば屋さんぐらい普通に行け」
:
(洗濯機の終了音。そば屋から戻ってきた2人)(67話)
ガッツリ「洗濯中」の出来事でした。しかも2人とも。
モネの洗濯物も洗濯中。菅波の洗濯物も洗濯中。
この「蕎麦屋デート」も「心の洗濯」の範疇だと捉えてよさそうです。
ーーこの状況は次の通り言い換えができます
”洗濯中”、菅波とモネはで”蕎麦屋”にいる
↓
”心の洗濯中”、菅波とモネは”そば”にいる
(親父ギャグの領域に入ってますが…)
ーー14週タイトルは『離れられないもの』。
まだ心の傷を洗濯中の2人はそばにいることが大切で離れられない関係であると示しているようです。これはトラウマ回復の自助グループ活動のことを指しています。
「48分。で、戻りましょう」(洗濯機の表示を確認)
菅波「行きますか?」百音「はい!」(洗濯機を見る菅波)
菅波「あと47分です」(出て行く菅波)(67話)
これが話数のカウントダウンだったらーーー
この67話を含めてあと48話。
67話+47話=114話
114話までモネと菅波は「心の洗濯」をするために「蕎麦屋にいる」。
ーー114話が大きな節目の話になりそうな予感です。
東京ではコインランドリーがカウンセリングルームだったけど、気仙沼でモネの電話を受ける菅波はいつも病院です。
「15分」の考察の最後に記載したとおり、99話から再び菅波先生の心のケアが必要な状態になっているモネ。その菅波のケアが必要なのも114話までということでしょうか。
ちなみに汐見湯の役割として「駆け引きの舞台」でありそこは亀島に繋がるところだと思っています。富士の壁絵は亀島の海かと。蕎麦屋から戻ってきた菅波とモネは、その汐見湯で「災害が起こる土地に住むべきか」について話し合います。
菅波の話を受けて、
百音「うん・・・でもやっぱり、思います。離れてよかったのかなって」
14週タイトル「離れられないもの」は最後、
朝岡「離れられないものなんでしょうか」
の問いへの耕治の返答で落ち着いています。
朝岡「土地ではなく人ですね」
百音が「離れてよかったのかな」と思うものは「土地ではなく人」であり、離れられないのも「土地ではなく人」だと、「その人は誰なのか」百音自身がこれから気づいていくのかなと見守ってます。
…
菅波「48分。で、戻りましょう」(洗濯機の表示を確認)
菅波「行きますか?」百音「はい!」
バス停でモネはりょーちんから菅波先生にバトンタッチされて山に登って行きました。菅波先生のそばからモネが戻るときは「そのバトンが戻されるとき」と捉えることもできそうだな…と見守っています。
67話+48話=115話
がそのバトンが戻る時だと読めそうです。
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