見出し画像

一人芝居企画 芥川龍之介『河童』に挑戦!

こんにちは、大橋悠太です。
今回は10月の一人芝居に関して書いていきます。
既に本番が終わっていても読める内容を目指しますので、お付き合いいただければと思います!

なぜ一人芝居をやりたくなってしまうのか

まず最初に俳優の方でしたら多少共感してもらえるかと思うのですが、一人芝居ってキツいですよね? お客さんを連れてくるのも自分、内容考えるのも自分、何かミスしても自分でカバーしないといけないし、稽古でも自分で持ってきて試してまた変えてなど繰り返し、それも本当に良い作品になってるのか? と自問自答を繰り返す日々、、、。めちゃくちゃきついです!
でもその代わり自分がやりたい事を詰め込める、自分の面白い!を突き通せるのは良い部分だと思ってます。

それにしても不思議なのは、「もう二度とやらない」と思って前回を終えるのに、1年しない内にまた頭のどこかで一人芝居やるなら何が良いかなぁと考えている事です。(自分が怖い!)
もともとは活動休止の際に、一本一人芝居を作って自分の中のレパートリーにしたいなという想いもあり、ずっと考えてはいた活動でした。
そして併せて今自分が習っている武術で得た身体操作や感覚を活かせないか、日々意識しながら演技をし、作品を創作しています。

芥川龍之介を選んだワケ

10月にやる一人芝居は芥川龍之介の「河童」という小説を原作にしています。

ーーこれはある精神病院の患者、第二三号が誰にでもしゃべる話である。
男は上高地の温泉宿から穂高山を登ろうとしたが、霧はずんずん深くなるばかり。疲れ果て一休みしているとそこに「河童」が現れた。男は遮二無二河童を追いかけるが、「あっ」と思う拍子に足元の穴に落ちてしまった。
男が次に目を覚ますと、そこは河童の国だった……。

芥川龍之介「河童」あらすじ

この作品は芥川龍之介の晩年の作品で、非常に評価が高い作品です。ただ内容としては奇妙奇天烈・摩訶不思議といった感じで一貫して伝えたいメッセージがあるというような話ではないです。河童の国に迷い込んだ男が、いろいろな河童たちと話しているだけなのですが、日本の話が出てきたり、人間の社会の皮肉に見える出来事が出てきたりと、何か惹かれてしまう魅力がある作品です。

元々は僕が俳優として所属するlibido:という団体の本公演の候補だったのですが、別の作品に決まり一旦やらずに温めていた作品でした。
それをもう一人の俳優・緒方壮哉と共に一人芝居企画の話しをしている内に、『河童』の話を2分割して、それぞれが一人芝居にしたら面白いのではないか。という思いつきから創作をスタートしました。

初めは別の作品を考えていた

この一人芝居企画を始動した当初は、本当にそれぞれ別々の作品をする予定でした。僕なんかは元々企画をスタートする前から太宰治の短編「チャンス」というお話を自分のレパートリーとして創作するつもりでいました。
一応朗読の動画があるので興味があれば聞いてみてください、ちょっと捻くれた太宰らしい恋愛論が垣間見れる作品です。

しかし確かに面白い作品ではあるのですが、非常に個人的な思考や回想が主な作品なので、少し物足りなくなってしまうのではないかと悩んでいた時に、僕自身思い浮かんだのが以前読んだ「河童」という作品でした。

やってみるとそれはそれで大変であった。

「河童-kappa」稽古場のワンシーン

しかしいざ稽古してみると、まず台本が短編作品ではないのでテキレジ(原作の文章を精査してカットする作業)が大変でした。。。
そして晩年の芥川の想像力の豊かさに圧倒され、どうやって表現したものか、どこまでシーンを入れ込むべきかなど頭を悩ませる日々が続きました。

しかし「河童」という作品の中で特に印象的に出てくる「トック」という河童に注目してみると、一つの大きな物語の流れを見つけることができ、詩人の河童トックの苦悩や生き方がどこか我々俳優などにも通じるような気がして、ストーリーの主軸が決まりました。

そこから現在、6畳ほどの狭い中にたくさんの物があるアトリエ【せんぱく工舎 F号室】でとにかく身体を動かしながら、俳優同士で話し合ってコツコツとシーンを作っております!
既に全体のシーンの流れは完成しており、あとは本番に向けてクオリティを高めている所です。本番というものはいつもあっという間に迫ってきて、まだ稽古したいような早くお客さんに見てもらいたいような複雑な気持ちです。笑

作中では緒方壮哉のオリジナル楽曲やムダに豪華な照明で照らされた僕らが観れると思いますので、ぜひ足を運んでもらえたら嬉しいです。もう既に公演が過ぎた後にご覧になっている方は、舞台写真をぜひチェックしてみてもらえたら嬉しいです!

ではここからは本当に、本番に向かってひたすら邁進していきます!
11月にはQoiQoiの新作も控えていますので、今回で試した演技の仕方を活かして本公演「ちいさな鱗」では磨きのかかった大橋で、また皆様のお目にかかれる日を楽しみに、今回はこの辺りで失礼することにいたします。

最後までお読み頂きありがとうございました!


チケット予約

10月libido:F「河童-kappa」

https://www.quartet-online.net/ticket/libido-kappa

11月QoiQoi「ちいさな鱗」

https://www.quartet-online.net/ticket/chiisanauroko

QoiQoiプロフィール
2018年2月9日に大橋悠太と吉次匠生によって結成されたアートユニット。 当初はano(アノ)として活動していたが、2020年10月1日より団体名を改めQoiQoi(コイコイ)として新たな活動を始めている。また、「想像力を創造する」を信念に演劇、映像、インスタレーションなどさざまな分野を飛び越え作品制作を行う。団体名のQoiQoiもquality of imaginationが由来である。 また、社会問題から個人の体験まで幅広い事象を可視化し、常に観客に「当事者性」を提示する作品作りが特徴である。

このnoteでは作品制作のことを中心に、被災地のことや原発のこと、その他考えたことなど、読んでくれている方へなるべく為になるような記事や僕らをより知っていただける記事を書いていくことを目指しています。もしも気に入った記事や活動の参考にして頂けたら、スキやQoiQoiをフォローをしてもらえたら嬉しいです。また、僕たちの活動を応援・サポートしてくれる方を募集しています。サポートして頂いた資金は現地取材や稽古など全て作品作りに使用させていただきます。今後とも我々QoiQoi(コイコイ)をよろしくお願いいたします。

いいなと思ったら応援しよう!