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ジェンダーの視点から見る、日本の女性労働者

こんにちは。QOHSです。

男性と女性の間には様々な性差が存在します。その基準となる性別は生物学的に決定される性(セックス)と、社会・文化的に決定される性(ジェンダー)の二種類に区別されます。生物学的な性が性染色体によって決定されるのに対し、ジェンダーは社会通念や慣習の中で形成されます。

今回は職場におけるジェンダー平等という観点から健康経営について考えていきたいと思います。

この記事は
働く女性の健康確保を支援するために(政策法制度委員会)
のまとめ記事になります。


ジェンダー平等とは男性と女性が同じになることを目指すのではなく、人生や生活において様々な機会が性別にかかわらず平等に与えられ、男性と女性が同様に自己実現の機会を得られるような社会の実現を目指すものです。

海外では社会的な権利としての男女平等に対する意識が向上し、男女の参加を推進することで、より幅広い安全保険リスクに対処できるという理解が進んでいます。男女が協力して、双方にとって安全で健康的な職場をつくるためのアプローチは、女性に対し特別な保護を提供するという考えから、男女で同じ権利・責任を分かち合うことを目指すという考えに変化しています。

もう一つの重要な変化は、作業時間やワーク・ライフ・バランスとも連動して、ひとりひとりの働き方全体にまで広げて考えるというアプローチが重視され始めたことです。

海外における取り組みを見ると重要なアプローチとして次の4点が挙げられます。

① 職場改善に関わる全ての過程において男女の代表が参加しており、発言や意思表明の機会が平等にある
② 成功事例や改善活動に関する情報共有が推進されており、情報の入手が簡単
③ 職種ことに工夫された職場評価ツールやチェックリストの開発がされている
④ 行政からの支援や専門家自身の意識改革がされている

では、日本の女性労働の現状はどのようなものでしょうか。国民生活基礎調査は、女性は家事関連時間が男性よりも長く、睡眠時間は男性よりも少ないことを示しています。また、6歳未満の子供を持つ男性労働者が子育てや家事に費やす時間は一日あたり67分と、先進国の中で最低の水準になっています。

日本では「職場は男性中心、家庭は女性中心」という性差がまだまだ社会に根付にいているように思います。(このような思想の背景について知りたい方はこちら→雇用形態から考える、働く女性の健康)2016年のジェンダーギャップ指数は144か国中111位と過去最低の水準となっており、特に経済と政治の分野での女性進出の出遅れが指摘されています。

男女の生物学的性差を踏まえつつ、安全・健康における男女平等と共同参加を確立して女性の活躍を図る、という欧州をはじめとした海外の考えを一つの範として我が国にも普及、定着させることが今の日本に求められているように思います。

また、労働安全衛生に関する政策の見直しの際には生物的・社会文化的性差を整理しつつ考慮することも重要です。政府機関に女性の健康を統括的かつ専門的に扱う部署を設置し、ジェンダーの視点を取り込んだデータ集積などがこれから必要になると考えられます。

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