世代間のギャップや意識を調査「Q極の2択」~QOのシニア世代、子育て世代、Z世代で座談会してみた~(前編)
こんにちは。QO広報担当の石田(いしだ)です。
QOでは、調査の力で社会の声なき声を拾い、社会課題を知るきっかけを届ける研究機関「Social Issue Lab(以下、SIL)」を運営しています。
2024年11月には、様々な社会課題を少しでも身近にするため、一般社団法人渋谷未来デザイン主催のソーシャル&カルチャーデザインの祭典「SOCIAL INNOVATION WEEK 2024(以下、SIW)」と共同調査を実施しました。共同調査「究極の二択(Q極の2択)」では、あらゆる世代の方2,000名に、これからの社会で起こり得る両極端な2択全63問に回答いただき、世代間のギャップや意識を明らかにしました。SIWにて実施したパネルディスカッションにおいては、未来を考える上でのヒントとして調査結果を活用し、様々なステークホルダーとの議論を通じて、今の社会に求められているアクションを考えました。
社会課題をより身近にしたい、そして、考えを深めたり、周囲の人と意見交換したりするきっかけを作りたいという思いから企画した本件。「せっかくならば、社内でも実現させよう!」ということで、今回は世代の異なる社内メンバー3名をゲスト*に迎え、「究極の二択(Q極の2択)」をテーマとした座談会を実施しました。
SIL運営メンバー**進行のもと、ゲストのシニア世代・60代の喜多村(きたむら)さん、子育て世代・40代の生野(いくの)さん、Z世代・20代の去石(さりいし)さんに、調査でも尋ねた2択の中から5問に答えていただきながら進めていきました。
前編では、その中から3問の座談会の様子をお届けします。
Q1.老後を過ごすなら、都会派?田舎派?
喜多村:私は、Aの都会派です。すでに老後ではあるんですが(笑)、歳を重ねると、友達や遊びがとても大事になってきていて。若い頃は田舎でのんびりするのもいいなと思っていましたが、逆に歳を重ねるごとに、友達がいなければ寂しいし、遊ばないと時間を持て余してしまうし、やっぱり人やモノ・サービスが集まり便利な都会がいいなと思っています。
だからといって、東京でなければいけないというわけでは全然なく、土浦や木更津とか…趣味がゴルフなのでゴルフ場が近いと嬉しいです。
生野:私は出身が徳島なんですが、高校卒業後に東京に出てきた当時は「あー楽しいな都会って!」と思って。老後は地元に帰ってもいいかなと思っていたのですが、都会は車がなくても電車と徒歩でどこでも行けちゃうし、老後も安全に楽しく過ごせるかなと思い、Aを選びました。あとは、働きながら子育てするとなると、マンション住まいで管理人さんがいた方が安心だし、ゴミ出しもいつでもできて便利だし…というように、普段の生活を考えても都会が良いなと思いますね。
去石:私は生野さんのお話と真逆で。岩手出身で今年から上京してきたんですが、自然があった方が精神的に豊かだなと思っています。今も3週間に1回くらいは実家に帰っているんですよ(笑)。それくらい緑を求めていて、帰った時は山に行ったり海に行ったりいろいろして精神的に癒されています。あとは、老後のイメージが湧いていないというのもあるかもしれません。移動など不便な面はあるかもしれませんが、自分で農作物を作るといった過ごし方ができるんじゃないかと思っています。
ー調査結果ー
SIL運営:全体としては、拮抗しつつも都会派(老後を過ごすなら、人やモノ・サービスが集まり便利な都会)と答えた人が54.3%と半数を超えました。特に去石さんは、ご自身の回答が全体としては少数派だったと思いますがどうでしょう。
去石:納得ですね。周りの友達も関東に来ている子が多いのですが、都会には便利なものが溢れているので、帰りたくないと言っている子が多いです。自分が少数派という自覚もあります。
喜多村:一方で、年代別に見ると10代後半が田舎派(老後を過ごすなら、不便で人も少ないけど自然が豊かな田舎)と答えている人が55.7%で半数を超えているデータは意外だと感じました。
SIL運営:それこそ去石さんも仰ってましたが、老後の過ごし方に対するイメージがあまり湧いていないのかもしれませんね。
生野:私はこの年代別の傾向には納得です。自分も10代後半は自然が豊かな田舎の方が良いなと思っていました。
喜多村:意外と全体の結果は半々なんですね。40代だけ少し都会の割合が多いですが、子育て世代と重なることもあって、より利便性を求めたりすることが関係しているかもしれませんね。
Q2. 街に求めるのは、治安・自然環境?経済的支援?
去石:この2択の要素は「経済」「治安」「自然」の3つだと思うんですが、その中で変えられないものが「治安」だと思っていて。個人的に、人ってそんなに簡単に変わるものでもないので、B(経済的な支援は乏しいが、治安が良く、自然が多い街)を選びました。経済的な支援が乏しくても、治安が良ければ周りの人と助け合ったりして補えるかなと。
生野:去石さんの話に同感です。私の中ではそもそも一番治安が重要で、そこは自分の力ではなかなか変えられない。経済面は自分で頑張ってなんとかできるし、自然が欲しければ多いところに行けばいいし、ということでBを選びました。治安を最重要視しているのは、子供がいることももちろん関係していますが、いなかったとしても治安は大事だと思っています。
喜多村:私もお二人と同じくBを選んでいるのですが、最近の強盗事件など、治安の悪さを肌で感じることが多くて。他人事ではないなと。昔だったら、強盗が来たら「戦ってやるぞ」という気力や体力があったのですが(笑)。経済的支援よりも命の方が大事なのでこのような選択にしました。
ー調査結果ー
SIL運営:全体でもB(経済的な支援は乏しいが、治安がよく、自然が多い街)が67.6%で多い傾向ですが、年代別だと若年層でA(治安には不安があり、自然も少ないが、経済的支援が豊富な街)の比率が少し上がりますね。このあたり、Z世代代表の去石さん、どうでしょう。
去石:正直私も「ひったくられたら追いかけてやる」くらいの気持ちはあるんですよね(笑)。20代でAが少ないのは分かるんですけど、他世代と比べると比率が少し高めなのは、まだそういう気持ちがあるからなのかなと。
生野:戦う気持ち、たしかに私もあったなと(笑)。お祭りの後にゴミを置いて行った人に「忘れものありますよ」って注意したりしていたのを思い出しました。若い頃だったらAを選んでいたかもしれません。
喜多村:50~60代でAの比率が特に下がるのはすごく分かるなと思いました。だんだん戦えなくなってくるので(笑)。
SIL運営:みなさん戦えるか否かが一つの基準になっているんですね(笑)。最も若い10代後半は20~40代と比較してBの比率が高いですが、デジタルネイティブの極みのような世代なので、ネットなどで普段治安の悪さを目にする分、街においては治安の良さを求めたい気持ちもあるのかもしれませんね。
個人的に最近気になっているのですが、経済的支援がその街にとってどれだけ有力な価値になるのかなと思っていて。それこそ今「非課税世帯に3万円給付」の話などもありますが、みなさんとしては、やはり絶対的にゆるがない治安の優先度が高いですか?
去石:治安はすぐに変化しない一方で、経済的支援は国や世界情勢などによって、長期的にみたら変わりやすいものだと思っています。その点で、やはり揺るがない治安の方が個人的には優先度が高いと思っています。
SIL運営:もしかすると、今みなさんが同じ会社で給与も同水準ということも一つ今回の結果(共通でB)に影響しているかもしれませんね。例えば他の項目だと20~40代くらいまでは経済的支援を求める声も多かったので、ご自身の経済状況などにもよるかもしれないと思いました。
Q3.SNSのリアクション、禁止か?自由か?
喜多村:この2択が一番悩みました。どちらかというとBですね。Aは「法律で禁止する」という部分が、言論の自由という意味ですごく違和感がありました。禁止することによって誹謗中傷などの被害は減るとは思いますが、法律で禁止はちょっと違うのではないかと。ただ、ネガティブな発言で傷つく人がいるのは、何とかできないかなあとは思いますね。例えばAIでそういったコメントは自動的に削除してしまうとか。
生野:私は迷わずBでした。SNSでいいねやコメントをもらえると嬉しいですし、ネガティブなコメントは芸能人のようにたくさん来るわけではないですし、それも一つの意見かなと思って消化できます。他の人の投稿を見るときも、コメントでいろんな意見があった方が面白いなと思いますね。なので、Bの社会でありながら、今後SNSに触れることが多くなる子供たちには「こういう表現をできた方がいいよね」ということや、ネガティブなことを言われた時にどう対処すればよいかを教えておくなどの対策ができていれば問題ないかなと思いました。
SIL運営:自身にネガティブなコメントがどれだけくるか、そういった経験があるかどうかによっても左右されるかもしれませんね。
去石:私はBを選んだ理由が2つあって、1つ目は生野さんと一緒で、他の人の投稿に来ているコメントを見たいタイプなんです。普段ネットで買い物をすることが多いんですが、商品やサービスの良し悪しが分からないので、ネガティブなものも含めてコメントがあった方が嬉しいです。2つ目は、いいねやコメントの数といった、見えるもので自己肯定感を上げている人もいると思うので、それを奪ってしまうのは良くないかなと思いました。
ー調査結果ー
SIL運営:全体としてはみなさんと同じB(これまで通りイイね!もコメントもできるが、ネガティブな発言も少なくない社会)が多いですが、年代が上がるとともにA(すべてのSNSでリアクションやコメントが法律で禁止され、傷つくことも称賛されることもない社会)の割合も高くなっていますね。若年層は特にBの比率が高いですが、去石さんこのあたりどうでしょうか?
去石:もう少しBが多いと思っていました。もはやSNSを使っていない人が周りにゼロな印象で、発信している人も多いので、80%弱くらいはBというイメージでした。
喜多村:40代以降はAとBの比率がほぼ変わらないんですね。
SIL運営:SNSの使い方や使っている媒体などは年代で異なるかもしれませんが、それでも比率が同じなのは少し意外な結果でしたね。
この続きは、2024年12月18日(水)公開予定の「後編」でご紹介します。そちらもぜひご覧ください。
「究極の二択(Q極の2択)」の調査結果は下記よりご覧いただくことができます。
ぜひ自分なりの答えを考えて、周囲の人と社会課題について対話するきっかけとしてみてください。
【ご案内】ZINE「Qちゃんと究極の二択」を制作
本記事で取り上げた「究極の二択(Q極の2択)」をもとにZINEを制作しました。
社会課題を身近なものにしたいという思いから、Qちゃん・雲くんとともに、社会課題を考える絵本仕立てになっています。
※絵は、漫画家として複業している、当社のマーケティングプランナーが担当しています。
*QOでは、ともに働くメンバーを募集しています。