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「やさしさ大調査」の舞台裏

こんにちは。QO株式会社のマーケティングプランナーの磯矢(いそや)・土師(はぜ)です。
QOは、7月1日より社名および企業理念を刷新するに際して、「やさしい好奇心」に基づく研究プロジェクトを発足しました。
第一弾「やさしさ大調査」では、生活者10,000人に一人ひとりが思う「やさしさ」を調査し、2024年7月1日に結果をウェブページにて公開しました。


この記事では、「やさしさ大調査」を企画、実施した舞台裏について、ご紹介させていただきます。ぜひ、最後までお読みいただけると嬉しいです!

本題に入る前に、まず今回の調査にご協力いただいた方へ、改めて深くお礼申し上げます。自由回答が多く、また答えにくい設問も多かったにもかかわらず、真摯にご回答いただき、本当にありがとうございました。
数多くの自由コメントを読ませていただいて、世の中の人が持っている、様々な「やさしさ」に触れることができました。また心動かされる内容も数多くあり、大変勉強になりました。


「やさしさ大調査」の企画意図や狙い

今回の調査を企画するにあたり、フラットに「やさしさ」とは何だろう?と改めて考え、社内で議論するところからスタートしました。
 
「他人への思いやりがある」、「見返りを求めない」、「他人の領域に踏み込まない」など様々な意見が出たことから、「やさしさ」って、いろんな捉え方があるんだなと、気づかされました。

社内ディスカッション資料の一部

そんな中で、一つの論点になったのは、「やさしさの難しさ」でした。誰かにやさしくすることで、意図せずとも「見返りを求めている」、「目立とうとしている」といった押しつけがましさや迷惑、妬みなどを生んでしまう側面もあるのではないかという意見がありました。
何かの行動に対して対価を得るのがあたり前の「価値交換社会」や、社会の分断が進む中で、誰かのやさしさを素直に受け取ることが難しくなり、委縮してしまったり、怖くなってしまったり。
そんな世知辛く、ちょっと寂しい社会の中で、人にやさしくするのって意外と難しく、一筋縄ではいきません。
今回の調査では、そんな「やさしさの難しさ」にも着目してはどうだろう、という話になりました。

社内ディスカッション資料の一部

そんな議論を経て、今回は「やさしさ(優しさ)を、やさしく(易しく)すること」をテーマに調査を企画・設計することにしました。
 
人には様々な「やさしさ」(の捉え方)があり、まずその多様な「やさしさ」について調査してみよう。あまり難しく考えず、人々がイメージするやさしさを、様々な角度からフラットに調査してみることにしました。

また、「やさしさの難しさ」についても深く掘り下げ、具体的にどんな「難しさ」があるのか、世の中の人が「やさしさ」を発揮する際、どんなことに困っているのかなど、リアルな実態にも耳を傾けることにしました。
 
調査をすることで、何か「やさしさをやさしくするヒント」みたいなものが見えてこないか、またそれを世の中に発信することで、「やさしさ」について何か考えるきっかけになり、もっと「やさしさ」を増やしていくことはできないか。
そんな想いで、今回の調査を実施することにしました。


調査を終えて見えてきた多様な「やさしさ」

では、実際に調査してみてどうだったのか?我々はどう感じたか?

正直なところ調査する前は、どんな意見が出てくるのか、何か新しい気づきや発見はあるのか、少し不安を抱いていました。「やさしさ」といった抽象的で答えるのが難しいテーマに、どれだけ意見やコメントをしてくれるのか?誰も反応してくれなかったらどうしよう。。。

でも、いざ蓋を開けてみると、そんな不安は全くの杞憂でした。
1万人を超える調査の中には、様々な「やさしさ」がありました。
自分が知らない「やさしさ」、自分の想像力や経験を超えた「やさしさ」ーーー様々な「やさしさ」に触れることで、ハッとさせられたり、時には感動したりしました。
その一部をご紹介します。

●まずは、身近な人やコトから始める

・自分が持っている知識を財産としてとらえ、それを出し惜しみせず、困っている人に教えてあげる。
・まず初めは自分が大好きな人にやさしくする。そうすると、自分も何か幸せな気持ちになり、今度は別の人にもやさしくしようと思う。

「まずは、身近な人やコトから実践している」といったご意見がありました。「やさしさを実践するのは、意外と難しい」一方で、あまり難しく考え過ぎずに、まずは何かできることからやってみる(難しいことは、やりながら考えて軌道修正していく)というスタンスが大事だなと思いました。

●人には人のやさしさを

・誰かにやさしくしたつもりでも、相手がそう感じてくれないこともある。逆に、自分では当たり前のことでも、相手はそれをやさしさと感じることもある。
・いたわりの言葉をかけてほしい人もいれば、黙って話を聞いてほしい人もいる。難しいけど、その人に合ったやさしさって何だろうと、想像力を働かせることが大事。

人によってやさしさの捉え方が違ったり、その時の状況によっても違ったりする。
やさしさって、「生き物」みたいだなと思いました。
やさしさを杓子定規に考えるのではなく、ちょっと一呼吸置いて、相手に立場に立って考えてみる。そんなちょっとしたことで、もっとたくさんのやさしさが生まれてくるかもしれません。

●やさしさが上手く吸収されたら、相手も自分も強くなれる

・やさしさが上手く吸収された時は、「こんなにもやさしい人がいるのか」と、生き辛さを和らげたり、生きる勇気をもらえたりする。
・一方、やさしくした本人も、ちょっと幸せな気持ちになったり、自分が少し強くなった気がして、自分自身を助けることにもなる。

やさしさは、まるで体の中の栄養素のように、上手く吸収された時、世の中を巡ってより良いものにしていく、というイメージを持ちました。

以上、今回の調査で見つけた「やさしさ」について、ダイジェスト版でご紹介しました。
他にも色々なやさしさがありますので、ぜひWEBサイトで「やさしさの再発見」をしてみてほしいと思います。


「やさしい好奇心」でこれから探求すること

今回の「やさしさ大調査」をまとめる過程では、たった一人の意見やコメントが持つ力を強く実感することができました。

同時に、私たちプロジェクトメンバーにとっても、「正解のないことを問い、探求し続けることの奥深さ」と、一歩踏み出し、誰かのために価値を届けることを目指す「やさしい好奇心」の大切さに、改めて気づかされたプロジェクトになりました。

もちろん、今回で終わり!ではなく、これからも引き続き、「やさしさをやさしくする」ことをプロジェクトの軸として、次のようなことに取り組んでいければと考えています。

①有識者インタビュー
今の社会や生活者、そして「やさしさ」について、深い知見をお持ちの有識者(例えば、研究者や活動家、NPOで活躍されている方々など)にインタビューを行うことを考えています。様々な視点から「やさしさ」をさらに深掘り、「世の中にやさしさを増やしていくためにはどうすればいいのか」などをしっかりと探っていきたいと思います。

②「やさしさパトロール(略称やさパト)※仮称」
今回のようなリサーチという手法に限定せず、例えば、SNSで語られている言葉を拾ってみたり、企業や団体が実施している「やさしさ」に関する活動を探ってみたり・・・様々な手法を用いて、私たちが「やさしさ」をウォッチ(=パトロール)し、その結果を世の中にご紹介していきます。
※以上は現時点での構想です。

これまでも、これからも、「この行動はやさしい、やさしくない」と単純にジャッジするのではなく、あくまでもフラットな視点と誰もがやさしさを発揮しやすい・受け取りやすい世の中になってほしいという意思をもって、取り組んでいきたいと思っています。
新たに「やさしい好奇心」を理念として掲げ、歩み出したQOによる「やさしい好奇心プロジェクト」をこれからも見守っていただけると嬉しいです。


*執筆者:磯矢 宗治(Muneharu Isoya)、土師 ゆきの(Yukino Haze)


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