【本紹介】『人間をお休みしてヤギになってみた結果』 訳者も思わずツッコミ入れたトンデモ本
はじめまして。こんにちは。
記念すべきnote初投稿は、人生に悩んでいた時に出会ったやばい本をご紹介します。
1.どんな本
『人間をお休みしてヤギになってみた結果』
著:トーマス・トゥウェイツ
一言でまとめてしまうと、タイトルそのままの内容のノンフィクション。
これは、人間特有の悩みから解放の開放を目指し、「人間をお休みして身も心もヤギになる」ために奮闘したある男の記録である。
ちなみに、著者はこのチャレンジで2016年にイグ・ノーベル賞(生物学賞)を受賞している。
2.チャレンジのきっかけ
ロンドン在住のフリーデザイナー、トーマス(33歳)は悩んでいた。
就職はうまくいかず、いまだに実家暮らしのこどおじ状態。
恋人や友人たちは就職して、それぞれの分野で着実にキャリアを重ねている。
「ああ、自分はこれから一体どうなってしまうのか?」
そんななかで彼は考えた。
今抱えている自分の悩みは、将来への不安という人間ならではのものだ。
「それなら、人間を辞めて動物になってしまえはこの悩みから解放されるのではないか?」
うん、そういう事を考えてしまうことってあるよね。
わかる、わかる。
トーマス「じゃあ、人間をお休みしてゾウになろう。ゾウになってアルプスを越えるんだ!」
なんで?!
なんでゾウ?
普通は犬とか猫あたりじゃない?!
さて、普通はこういうのは妄想とか気の迷いで済むものだが、この男は本気であった。
トーマスはさっそく英国のある公益信託団体から資金援助を取り付ける。
その行動力とコミュニケーションな能力があれば、就活なんてどうにでもなりそうなものだが…
イギリスの就活事情は知らんけど。
3.いきなりターゲット変更
無事にスポンサーをゲットしたトーマスは、本物のゾウを見るため西アフリカに向かった。
そして、ゾウを間近に見たトーマスは思った。
「ゾウでかくね?ゾウになるの無理だわー!」
ですよねー…
というか、それ、アフリカに行くまで気づかなかったの?!
さて、ゾウになることを諦めたトーマスが次に目をつけたのはヤギ。
なぜヤギなのか?
それはぜひ本書を読んでいただきたい。
理由も決め方も、それはもう常軌を逸しているから。
4.専門家の懸念
無事(?)動物が決まったところで、トーマスはまた行動力を発揮して、関係する分野の専門家にアポを取り面会しまくる。
ヤギの保護団体の人とか、医者とか、装具の専門家とか…
なぜそんなことをする必要があるのか?
トーマスの目標は、身も心もヤギになり、ヤギの群れで暮らしながらアルプスを超えることである。
そのためには、ヤギのように四足歩行で飛んだり跳ねたりできる装具が必要なのである。
また、人間は生の草から栄養を摂取できないため、ヤギと同じものを食べられるようにするための装置も開発しなければならない。
専門家の皆さんは皆困惑し、辞める方が良いと忠告した。
至ってまともな判断である。
が、トーマスは走り出したら止まらない。
こうして、人工消化器官付きヤギボディスーツの制作は着々と進んでいく。
流石にイグノーベル賞を受賞しているあたり、このボディスーツ制作のくだりはかなりガチである。
それだけに、「いったい何を見せられているんだ…」という気分になるのもまた確かである。
ちなみに、表紙写真のコレが、そのボディスーツである。
5.貞操の危機を回避、そしてアルプスへ…
さて、しつこいようだが、ここで今一度確認しておこう。
トーマスが目指しているのは、身も心もヤギになることである。
単なるコスプレではない。
そこで、次に問題になったのは…
そう、「発情期」である。
身も心もヤギになりきるという目標を掲げている以上、避けては通れない問題である。
とはいえ、トーマスは彼女持ち。
ヤギと浮気することになっては、彼女に申し訳ない。
というわけで、計画はヤギの発情期を避けて実施されることになった。
いや、心配するのそこ?
こうして、トーマスの貞操は守られたのだが、その結果として真冬に四足歩行でアルプス超えをすることになってしまった。
いやいや、正気かよ!
はたして、トーマスは無事にヤギとして冬のアルプスを超えられるのか?
6.終わりに
という感じで、ツッコミどころ満載というか、ほぼツッコミどころしかないようなエピソードの数々…
なにしろ、訳者も作業を止めてはつっっこみ入れてた程である。
よく訳し切ったものだ。
プロすごい。
ただ、難点を挙げるなら、原文の雰囲気を再現するためか、本文が全編トーマス視点の口語調で書かれていて、個人的にはそれがちょっと読みにくかった。
海外のドキュメンタリー番組やニュースのインタビュー風に、お好きな男性声優の声で脳内アテレコしながら読むのがお勧めである。
みなさんも、人生に悩んだ時、迷いが生じた時に読んでみてはいかがだろうか。
多分、いや確実になんの解決にもならないと思うけど、ちょっとは気が楽になるかも?
ちなみに、私はパワハラされてて最低の気分の時に読んだのだけど、全く役に立たなかった。
でも、読んでよかった。そう思える一冊である。
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