新聞は何のために?

あなたは、何のために新聞を読みますか?
ぼくの第一の目的は出版物の広告を見ることです。
そんなのはぼくだけではなく、リサーチャーをやってる情報豊富な友人もそんなことを言っていました。

先日の東京新聞の1面の下の広告は、『古代ローマの日常生活』(原書房2420円)、マイケル・グラツィアーノ『意識はなぜ生まれたか』(白揚社3300円)などでした。あるいは雑誌『望星』(5月号テーマ「パラスポーツで会いましょう」 東海教育研究所)が載っていた日もありました。
同じく東京新聞の今朝の1面下は、トマ・ピケティ『来たれ新たな社会主義』(みすず書房)、チャールズ・ファニーハフ『おしゃべりな脳の研究』(私たちは毎日、頭の中に流れる言葉(内言)を使って思考しているのに、その正体については何も知らない。・・・人の思考と対話の奥深い連携が明らかになるユニークな探究の書。みすず書房)、アリソン・アレクシー『離婚の文化人類学』(親密に別れる? 不安の時代、離婚は妻が切り出すものになったのだろうか?アメリカの気鋭の人類学者が21世紀初頭の日本でフィールドワーク。変容する家族規範、自立のロマンス、新自由主義、親権、拡大家族、晩年離婚、負け犬、電車男・・現代日本社会の姿を現実の複雑さのままに生き生きと描く民族誌的成果。みすず書房)、半藤一利『わが昭和史』(平凡社)、『身近な水の環境科学』(河川や海洋などの流域環境の問題と、その対策まで 多角的に考えられる入門書 第2版 朝倉書店)

読書欄というものもあります。

朝日新聞が、報道自体は面白くないのにいまも多くのひとに読まれる理由のひとつも、わりにグレードの高い書籍広告と「声」という読者投稿のレベルの高さにあるのではないでしょうか。

フクイチ事故いらい、脱原発を掲げた報道で大手企業の広告が取れなくなった東京新聞が本の広告で健闘しているのは、健気です。
同紙は、政府の言いなりにならない報道姿勢が何よりの取り柄で、湾岸戦争の開戦直前には、他紙が揃って開戦と報じたのに、東京だけは開戦は回避されると書きました。それは同紙なりに取材し考えて出した独自の予想で、結果は見事に外れたのですが、徹底して現地での独自取材にもとづいた同紙の開戦後の現地報告は、その年の日本ジャーナリスト協会の賞を得ました。
いま、その東京が、他紙と揃って、ウクライナ侵攻については大本営発表を載せているのは、悲しむべきことです。

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