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ウクライナ戦争 停戦と協議こそ必要

 ウクライナ応援派を称するひとたちは、ロシアがウクライナを一方的に侵略していると言いますが、それは正しいでしょうか?
 ウクライナ国内で2014年のマイダン・クーデタ以後ロシア系人が少なくとも3000人はアゾフ大隊などによって虐殺されているのです。しかもウクライナのロシア系人は総人口の2割を占めます。
 なのに、ロシアが一方的に侵略と断ずるのは、短絡的で、全体主義的な反応です。
 そういう情緒的反応こそ、今一番危険だと思います。私は、新大政翼賛状況だと思っています。あの戦争は、米国NATOによるロシア圧迫が招いた帰結であり、ウクライナ人はそれに利用され代理戦争をしているのだという認識を欠いてはなりません。

 プーチンがウクライナ人に人権はないと言ったという話をするひとがいますが、おそらくNHKなどが偏向しているのか、なんらかのもっと長い話のなかから文脈を無視して抜き出してきたコトバでしょう。
 プーチンは、なるほど国内的には苛烈な独裁者と言っていいが、対外的には理性的に慎重に振る舞うからです。
 米国のトランプもその点は似ていて、イデオロギーなどどうでもよく、損得で考え、ディールだ、と言うのは、バイデンのように卑しく利権を貪りながら、それを狂信的な「自由と民主主義の総本山アメリカ」とでも言わんばかりのイデオロギーで覆い隠している政治家よりよほど健全です。

 しかし、ロシアをナチスドイツになぞらえるひとは少なくありません。それが新大政翼賛と私が言う理由です。ヒットラーは世界制覇を目指していました。プーチンは現実主義者ですから、そんな誇大妄想的なことは言いません。本来自国領(ソ連領)だったところがNATOに入ってしまえば、隣接する国からの軍事的脅威にさらされると言っているのです。現実に、ウクライナの領空はNATO軍機が自由に訓練できる場所で、その射撃の射程にはモスクワが入ります。これは脅威ではないでしょうか? すでにモスクワにウクライナのドローンが撃ち込まれたのはNHKや日本の大新聞でもわかる事実です。

 ゼレンスキーはこの戦争の始まったころ、去年の3月には、ロシアと停戦交渉をしていました。その結果、ミンスク3と呼ばれる合意がなされそうになりました。もちろんゼレンスキーがOKと言ったのです。さもなければ、自国民がどんどん戦死するのですから、為政者として当然の決断です。
 そのとき持ち出されたのが、ブチャの虐殺でした。
 通りにほぼ等間隔で遺体がならび、腐敗のあともなく、犬、猫、鼠、鴉、うじなどの食った跡もなく、しかも、死んでいたのがウクライナ人かロシア人かの区別もつかないのに、ロシアに殺されたウクライナ人だと言われました。ロシアが安保理で現場検証委員会を作って調査することを要求したのは当然です。そのとき、安保理の議長国だったのは英国でした。そして、議決ではなく議長職権によりロシアの要求を却下したのでした。。ブチャ現場の遺体はウクライナ政府によって即座に処理されてしまいました。
 ミンスク3では、ドネツク、ルガンスクを独立させることが決まっていました。独立させ、それを承認し、そこを保護するために軍を入れるというロシアの段取りが正当化される内容ですが、その2国がロシアとウクライナの緩衝地帯になるわけです。ウクライナは領土の一部を失うが、それ以上の国民の死を免れることができるのです。ゼレンスキーがこれを飲むと言ったのは、国民の生命を預かる為政者として当然ではないでしょうか。これが、気に入らないのは、どこでしょうか? どこが停戦協議を妨害しているのでしょうか? 何のためですか?

 ロシアをナチスドイツになぞらえるひとは、プーチンがヒットラーのように世界制覇を夢想し、国民を焚きつけているかを考えるべきです。
 同時に、近代以来、帝国主義諸国の行動パターンはどうだったか、考えてほしいものです。西欧の諸国が自国を遠く離れた国を一方的に支配して資源を収奪するか、あるいは米国の朝鮮、ベトナム、イラクのように、反共の砦や、ドル決済システムから離脱する動きを処罰するか、いずれにせよ、自国国境を遠く離れた国を、圧倒的な軍事力、技術力の差によって一方的に支配したのです。そんなことは、ローマ帝国以外の国はやっていません。中国もインドもペルシャもしかりです。自国を遠く離れて行くのは普通は不可能ですから、よっぽど遠くの外国に豊富な資源があって、かつその国の文明、技術、社会制度などが未発達で支配しやすいのでなければなりません。ロシアも同様です。なのに、いまロシアを非難するひとたちは、このまま放っておけば、ロシアが世界中の支配を企むかのような言い草です。滑稽ではありませんか。
 そのくせ、ロシアがBRICS,グローバルサウスを頼りにしている状況には、なんの危惧ももたないのでしょうか。それらの国の中にはイスラム教国が少なくありません(と言って、イスラム教を差別しようとは思いませんが)。男女平等、LGBTQの人権と言った問題は、近代西欧が宗教と科学との闘争のなかで取り組んできたものです(あくまで宗教と科学の闘争のなかで、であって、どっちか片方の功績ではありません)。反欧米同盟みたいな流れのなかで、それが否定されてしまう可能性がないとは思えません。それとまったく同様に、今、保守党などと言う党が出現する日本は、とんでもない全体主義の方向に進む可能性があるのです。まるで無内容、無性格な岸田政権のもとでは、なんでも起こりそうな気がするのは、私ばかりではないでしょう。私はプーチンよりこのほうがコワいと思っています。
 ロシアとウクライナの抗争をあのまま続けることは、両国の国民にも苛酷ですが、危険はそれだけではないのです。
 ウクライナは停戦協議をすべきです。ウクライナを応援して戦争を継続させ、世界の経済を疲弊させても、得をするのは軍需産業だけです。
一方に荷担する、理性を欠いた、情緒的叫びは、百害あって一利ありません。

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