あるSNSのコミュニティ規定違反(1)
こんな文章を書いたら、コミュニティ規定違反だという。
読んでおわかりのように、新聞は総ルビにせよという趣旨である。
「沓掛の時次郎」や「瞼の母」の作者、長谷川伸は小学校3年で家が没落したので退学し、港や遊郭などで肉体労働をしながら、港で拾った新聞を読んで読み書きを覚えた。程度の差はあれ、戦前は多くのひとがそうしていた。
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新聞を学校に置かせるなら、新聞は記事を総ルビにせよ。
漢字の読みは大変だから、哀れな国語教師が全てを到底教え切れないからだ。
戦前は新聞は総ルビが当たり前だったから、多くの国民がいい国語教育を施された。
戦後ルビをやめたのは愚劣というほかない。
例えば「行」と言う字にいくつ読み方があるか? 訓読みだけでも「いく、ゆく、おこなう」のほかに「行川アイランド」の「なめ」もある。音読みは「こう」「ぎょう」「あん」(行灯、行脚のあん)と、中国からその言葉を輸入した時代の中国語の発音を歴史博物館よろしく保存しているから、私が即座に挙げられるだけでも7通りはある。
部落民などで貧しくて学校に行けなかった人などは識字率が低いというのは、知られた話だが、小学校低学年から不登校の子どもなんか、どこかへ行こうにも駅の路線案内に書かれた駅名が読めないから(ローマ字でも教えればいいのか・?)、自由に出かけることもままならない。本家の中国の漢字は、多くが1通りの読みしかなく、一部の字は複数の読みがあるが、みな1音節で、日本の訓読みみたいに、文字と無関係な読み方ではない。
こんなめんどくさい字は世界広しといえども、日本だけだろう。
まるで税金を使った大新聞の販売拡張だ。文科省が全国の公立高校の図書館に新聞を4紙置けるように、2017年度から自...
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SNSが送ってきたのは上記のように途中で切れているので、元のものを探してみたが見つからない。
戦後ルビが廃止されたのは、印刷工の労働軽減だったのだろう。当時は活版で、鉛を使うのも健康に悪かったし、ルビの活字は細かくて、しかも当時の漢字の比率の高い文章につけると、本文の活字の数を超えたことも大いにあり得ただろうから、その労働たるや並大抵ではなかっただろう。ところが、いまはコンピュータで「組んで」(組むというのがそもそも活字時代の用語だが)いるのですから、苛酷な労働ではありえない。ソフトを作れば、一定の漢字には一定のカナをつけたセットのものを用意しておくことだって可能だろう。「文選」を「もんぜん」にするか「ぶんせん」にするかといったことが、中国言語史博物館たるニッポンゴにはしょっちゅう起こるから、そのために、人を配置して確認作業に当たらせるなどのコストは必要かもしれないが。
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