(長編) ライフ・スクランブル 1/8
オーバーヒートしそうな頭を鎮めるために白い陶器に注がれたカフェラテに口をつける。随分と冷めたそれが浅山美鳥に長考っぷりを示唆した。
数日後に迫った『皐月賞』に向け最近はそのことで頭を悩ませている。仕事柄、博打趣味は公にはしづらく一人で悶々と溜め込むほかないため、美鳥は孤独な趣味を築いて長い。彼女の生きる世界の鬱憤を邪な吐口としてお馬さんにぶちまけ続ける。変わらず今日もそれに精を出す。誰も傷つけず、誰かが儲かる、その命運は自分自身に託される。公営ギャンブルが日本になかったらき