遠藤周作の『海と毒薬』を読んで
冬休み中にサラッと読めるものを探した結果、以前友達に勧めてもらった『海と毒薬』を読むことにした。遠藤周作については当初『沈黙』のイメージが強く、比較的知名度の低い本作に対する期待値は正直高くはなかったが、読み終えた今は非常に面白かったと感じている。
物語は、ある男とその妻が東京郊外の小さな町に越してくるところから始まる。気胸を患っている男は、定期的に必要な肺に空気を入れる治療をしてもらうために近所の医院を訪ねる。
医院を営んでいるのは勝呂という医師で、ひどく老けこみ愛想も