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12/24 けもの道

茅場跡でのメモ

かつては田畑、その後は茅場として使われていた場所は、徐々に山に飲まれつつある。一面ススキに覆われた棚田地形には、野生のシカたちが歩くけもの道がいくつもある。蹄が柔らかい土に食い込んで残った跡が、林道から等高線をなぞるように杉林に伸び、また茅場跡の平地に戻ってくる。けもの道をなぞるように歩いていると、妙に心地よいと感じる時がある。


「シカと自分はお互いに了解できる行動をしている?」

シカは体の大きさが人間と近いので、通る道が大体似ている。ここを通りたいな、
というところに既に道があり、シカの足跡が続いている。

茅場跡の中には、ススキが薙ぎ倒されてマットレスのようになっているところが何箇所かある。シカたちの寝床であろうか、その場所も周りが背の高いススキに囲まれていたり、ぐるっと周回する道の途中にちょうど良い距離感で点在している。まるでお互いのプライバシーを尊重しているかのように。

だから、なんとなくシカの気持ちがわかる気がする。


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