【日記】プロレス

 プール通いを再開した。冬にプール、とも思ったが、公共の、温水プールであれば安いしそれほど寒くもなく、膝を痛めないいい運動になって身体にいい。じっさい、久しぶりにプールに行ってから、翌日の仕事で、何だかすこぶる体調が良くて、この体調が良いか悪いかということに、中年を過ぎると、本当に振り回される。今はどんな貴金属より健康が大事だ。
 元気があれば何でもできる。何の流れか、動画のおすすめで、アントニオ猪木のプロレス動画が流れてきて、何の気なしに見ていた。
 今まで、プロレスは避けて通ってきた。まず、身体を動かす競技を見る習慣がない、習慣というか、これも嫌いで避けてきた、スポーツと呼ばれるもの全般である。自分の身体能力が低いから、僻んででもいるのかもしれない。とりわけ、格闘技というのは、どの協議でも、血生臭い連想が働いてしまい、見ていられない。
 以上のことから、格闘技は二重の意味で見る気がしないのだが、加えて、プロレスは、結局演技でやっているということがある。どこまでが演技だとか、実は強いだとか、そういう「裏の」言説は、既にプロレスの中に巻き込まれている。それを承知で、面白がれる人には面白いものなのだろう。自分は、競技であるなら、というか実際は全く違うのだろう、完全に明示されたルールのもとで、どんな人間がこようが平等に争われるものでなければ、納得がいかない。プロレスはそうはなっていない。攻撃のタイミングが決まっていて、相手がパンチをしてきたら、そのパンチは当たっていなくても当たったフリをしなければならず、何回殴るというのは決まっていて、その次に自分の番が来るまで待っていて、次は決まった形で組み合いを始める。
 以上のことから、三重の意味でプロレスは見る気がしないので、今まで避けて通ってきたけれども、大多数の人には支持されている見世物だし、何か得るところがあるかもしれないと思って、その動画をさらに繰って、いくつか見てみた。
 が、やはりそこにあるのは嘘の攻撃で、そんなんなら実際の勝敗はどのように決まるのか、攻撃が嘘なら、どんな動きをしたって一緒なんだから、仮面ライダーの攻撃のような大げさで嘘くさい動作をしたって一緒じゃないか、など、余計な考えが浮いては沈んだのでとうてい楽しく見ることなどできなかった。
 自分が楽しめる映像かどうかは置いておいて、アントニオ猪木は、裏方としても、全日本プロレスという団体を立ち上げ、いわばプロレスのショーとしての在り方を規定したのだろう、そういう面は評価できると思う。彼に生かされた人も多くいるのだろう。だから、ファンが多いのだろう。

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