スペキュラティブデザイン 長谷川愛氏
※カバー画像出典:https://aihasegawa.info/impossible-baby-case-01-asako-moriga
筆者が属している、武蔵野美術大学大学院造形構想研究科クリエイティブリーダシップコースにはクリエイティブリーダーシップ特論という授業があり、毎週、さまざまな方の活動や考え方を聞くことができる。感想(できれば考察) をアップしていきます。
第3回は長谷川愛氏。
彼女は、日本のスペキュラティブデザイン(クリティカルデザイン)の代表的な人物の一人。
スペキュラティブデザイン(クリティカルデザイン)
問題提起、議論のためのデザイン
未来について考えるきっかけを提供することを目的とする概念
もので、
人間(ユーザー)中心設計(デザイン)
(本質的な)課題解決のためのデザイン
ユーザーが何に困っていて何を求めているのか把握し、その要求を満たす実現手段を模索することを目的とする概念
とある種、アプローチを対とするものである。
少し脱線。岩渕正樹氏。
呼吸する椅子
・身体に負担のないようデザインされたハーマンミラーのアーロンチェア
・Apple Watchのエクササイズを促すリマインダー
ユーザーをどう快適に過ごさせるか、=ユーザー(人間)中心設計
私が試したかったのはそこではなく、
「アンチ・ユーザー中心設計」をテーマにした、「オブジェクト中心設計」という考え方。モノが人をデザインする。
長く座っていると、徐々に椅子が膨らんできて、立つしかなくなってしまう。
人間に判断を任せるのではなく、「生きている椅子」というモノによって人が正しく導かれるという考え方です。
ユーザー中心設計のアプローチ
ユーザーのリサーチで課題を発見できたとしても、
「そこからどうクリエイティブなソリューションアイデアを生み出せるか」
個々人のクリエイティビティが鍵。
違った切り口で考えてアイデアを生み出すためのヒントのひとつが、クリティカルデザインの考え方。「AI中心だったら?」「オブジェクト中心だったら?」といった、中心に据える概念の切り口を変えることで、我々が当然のように信じきっている、「人間中心」という概念自体をクリティカルに捉える考え方が養える。
アプローチの違い。使い分け。
問題提起、議論のためのデザイン、というよりオブジェクト中心設計の話になってしまったか。
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話を戻して。
彼女の代表的なデザインでは、性や愛を題材に生命倫理に対する問題を提起している。
I WANNA DELIVER A DOLPHIN…
人間がイルカを産む。
The Extreme Environment Love Hotel
3億年前の大気の中で、木星の重力の中(遠心分離機の壁とか)でセックスする。
(Im)possible Baby
同性間で子供をつくる
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これらの紹介の中で、
性愛って何のため?
セックスってもう古いんじゃないのかな?もういらないのでは・・。
生物の倫理と言うが、人間はテクノロジーを使う生物。これも自然、進化なのでは?
将来こうなった時にどういうことが起こるのか(を提起したい)
これをサービスデザインと繋げていくとおっしゃっていて、いろんな角度からのアプローチがあるのだな。
と、人間中心設計の実践者として、目からウロコだった。
また、
倫理についての議論を中立に冷静に進めるために、
何回も通る議論、議論しつくされたこと(ex.女性の権利)
を可視化する「倫理のキット」を作りたい
ともおっしゃっていた。これは倫理に関わらず、どの領域、レイヤーでも有用な挑戦的な取り組みだ。おもしろそう。
これまでの学びと経験からのターンではなく、上乗せする形でアプローチを増やしていくことに可能性を感じた。毎度のことながら噛み砕けきっていないけれども。
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最後に、
前回の佐宗氏のお話をふまえて、その活動の内発的動機(衝動)は何なのか?と問えばよかったなあと思う。問題解決も提起も自分ゴト化しなければやりきれない。
別の質問の回答として「悩み」や「怒り」を発端としているとおっしゃられていたけれど、深掘りできるチャンスを見つけたい。
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