グランプリシリーズ NHK杯
グランプリシリーズ第4戦NHK杯が終了しました。
もちろんリップサービスもあるのでしょうが、海外選手から日本での大会は楽しいという話をよく聞きます。それぞれの選手の国旗を用意して掲げたり、ミスの続く演技には拍手で応援したり、画面のこちら側にもその温かさは伝わってきます。
たとえば、今大会ではミスの重なった演技となってしまった三浦佳生選手。そのフリーの演技後、キスクラで点数を待つ三浦選手への温かくいつまでも続く拍手は、しっかり三浦選手にも届いていましたね。ありがとうございますって唇が動いていました。
ほかのグランプリシリーズでの観客数に比べると格段に多い日本の観客数ということもあるでしょうが、こういう所が日本の大会が好きだと言う所以なのでしょうか。
でも、この選手を力づけるような長い長い拍手。2019年の同じグランプリシリーズフランス大会を思い出しました。かつてコーチがいない中で満足な演技ができずにもがいていた宇野昌磨選手が、同じような不本意な演技をして失意に沈んでいたあの時のキスクラも「ショーマコール」と共に暖かい拍手で会場は包まれていました。ほとんどのフィギュアスケートファンは、公平に選手たちを応援しているのです。
青木祐奈選手のSP『アディオス・ノニーノ』は、カナダ大会の松生理乃選手に勝るとも劣らない演技だったと思います。ミーシャ・ジーさんの振付なんですね。過不足ないタンゴのポーズや足さばき、緩急のつけ方。なんて素敵なんでしょう。心奪われました。こんな素敵な振り付けを身体表現しきった青木選手に拍手です。
フィギュア選手は、大学卒業と同時に引退する選手が多く(大学スポーツ選手のほとんどがそうなのだろうと思いますが。)、フィギュアを続けるには金銭的負担も大きいですし、しょうがないことだと思います。そして、青木選手も卒業と同時の引退を考えていたのに、昨年のNHK杯での経験が選手続行を決めさせたといいます。そのNHK杯に出場することができ、納得の演技ができたこと、本当に良かったなぁと思います。
4回転とかトリプルアクセルがなくても、こんなに心動かされる演技。ないからこそのこの演技なのか。若年層の女の子が細くて軽い体で高難度のジャンプを跳び、つなぎはスカスカで決められた数を回ってステップを踏むようなかつてのフィギュアスケート時代。もちろん、高難度のジャンプは素晴らしいのですが、今は良くも悪くもそのような選手たちが大会に出てこないことで、美しい演技が見られているような気がします。弛まぬ練習や経験や年齢を重ねることで大人の演技になっているのではないかと思うのです。
そして、坂本花織選手のFPの『All That Jazz』。カナダ大会とは別物でした。カナダでは音楽に追いかけられ全体がバタバタした印象でしたが、今回はのびのびと演技をしているように見えました。わずか2週間でここまで仕上げられる坂本選手。なんと素晴らしい選手でしょう。なんて恐ろしい子。
今年のグランプリシリーズを見ていると12月の全日本はどうなるのだろうと、今からワクワクしています。去年の男子の最終グループ、全員がノーミスで滑り終えたあの6人。宇野・鍵山・山本・三浦・佐藤・友野の6選手。あの興奮が今年は女子でも起こるのではないかと。どうぞ、皆さん怪我無く今シーズンを終えられますように。
そして、リンクの出入り口の扉係の女性たち。只者ではないオーラを放っていて、女神のごとき微笑を浮かべ演技後の選手を迎え、時に涙されていました。その様子から選手たちに近い関係者の方なんだろうと思い、ちょっと調べてみました。平金桐さんと杉原舞香さんという現役のフィギュア選手だったんですね。お二人とも12月の全日本への出場が決まられているみたいです。2人の女神が全日本のリンクの神様に微笑んでもらえますように!