【詩】ブッダボウル/箱森裕美
トマトと米が猛スピードでかき混ぜられていた
ええと 夢で何度も ひとを たたたたたたいてしまうんだよね
苺はそろそろと境界をなくしてゆく
触れ合って泡立つ 溶け合って
わたしだって耳の奥に水を入れるのは求めない たくない
椎茸の表面はとてもさみしいかたちだ
おわりつつある夕暮れへの気持ち
あなたはそうおもいませんか おもいますか
投げ出されたディル
薄く束ねられている人参
青く丸くあちこちにくぼみがあって花めいている大皿のブッダボウル
ブッダボウルを ことりと置く
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