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ヤリガイ活動の観点から「アメリカ新上流階級 ボボス」を読む ゴキゲンLIFESHIFT 52

「「アメリカ新上流階級 ボボズ」を読み始めています。

20年前に、ブルジョワジーとボヘミアンの融合させた「BOBOS」という造語を生み出し、新たな富裕層の誕生を予言したことで話題になった本です。

このところ橘玲氏が 「1周遅れの日本にそろそろ根付き始める」として取り上げているので、ご存知の方も多いかもしれません。

そうした経緯から、日本版FIREムーブメント信奉者の精神的バックボーンになっているようです。

正直、文章が読みにくいです。

訳者あとがきに「この本を読みこなすには、かなり高度なアメリカに対するカルチャラル・リテラシーが必要」とする記述に納得します。

理由としてはまず、著者が本のアプローチを「コミック・ソシオロジー」としていて、全体がとてもニヒルな現代批評で、アメリカンジョークであるというです。

第2に、創刊当時の2000年なら理解しやすかったと思うのですが、今読むと紹介されるトレンド情報がすべて過去のもので、言われている事象が新しいのか、古いのか感覚がつかみにくいのです。

ある意味、NHKで展開されている「世界サブカルチャー史 欲望の系譜」で紹介されるはずの2000年代版の風俗を眺めているような気がしてきます。
*ちなみに現在の放送済みは、60s 、70s、 80sの3編のみ
世界サブカルチャー史 欲望の系譜 - NHK https://www4.nhk.or.jp/P6861/3/

以下、拾い読みでBOBOSの特徴を抽出してみます。

◆BOBOとは
「ブルジョア(Bourgeois)」と「ボヘミアン(Bohemians)」を組み合わせた造語。
典型的なボボスは夫婦ともに高学歴で、リベラルな都市かその郊外(通称ラテ・タウン)に住んでいる。
ブルジョワ的な華美な暮らしを軽蔑し、かといって偏ったエコロジーに走るわけでもなく、最先端のハイテク技術を使って、自然の中で暮らすのが、ボボズのライフスタイルです。

ブルジョワジーの象徴であるミダス王は「触るものすべて金に換えた」が、
BOBOたちは逆ミダスの魔力を持ち、「触るものすべてを魂あるものに変える」と信じています。

◆BOBOの歴史的な背景
'60S のヒッピー Bohemian
→ '80Sのヤッピー Bourgeois
→ '00S BOBO   高度管理社会における屈折した消費文化

◆BOBOのルール

1.贅沢品に大金をはたくのは、俗物だけだ。
BOBOは、必要品にだけ大金を使う。
2.たとえそれが自分の職業と何の関係ないものでも、
「プロも満足する品質」だと思われるものである限り、
どんな多額のカネを投資しても完全に許される行為である。
3.つまらないことに完璧主義を実行すべし
4.肌触りは粗ければ粗いほどよい
5.BOBOは謙譲の美徳を知っている
6.BOBOは、馬鹿馬鹿しい、こだわり商品を買う
7.BOBOは、他人と同じ商品は選ばない。
だが値段のような「下品なこと」には注意を払ったりしてはいけない

私の実感としては、マイクロソフトに6年間所属していたので、こうした気軽なエグゼクティブをよく知っています。
グローバルIT企業の幹部でパワーエリート、彼らの年収は3000万円を越え、ただし見かけはラフで「アロハを着たリッチマン」というのが印象です。

ルールをよく読めばわかるのですが、結局は高度消費経済における「ニューリッチ」を定義しているに過ぎないのです。

アロハを着てはるけど、やっていることはエコノミックアニマル。

休日に自然の中にいるけど、平日は世界をまたにかけて経済戦争しているエグゼクティブです。

彼らは、単に、資本主義における消費者の最新モデルなのです。

資本主義は、消費者を必要としていて、欲望をかき立て続けるためには、消費のトレンドは変化しないといけないので、次々にバージョンアップされます。

BOBOの消費行動はそのひとつです。

正直いうと、ゴキゲンLIFESHIFTで目指す、アフターコロナのLife Shifter像は、このBOBOとは違うと直感するのです。

ただ、日本のトレンドである「ていねいな暮らし」の大元は、このあたりに発している気がしました。
エコロジカル、LOHAS、無農薬、オーガニック、SDGS、断捨離など時々にブームになるのですが、本質は、「洗練された高度資本主義」なのでしょう。
誰もテクノロジーの恩恵を捨てたいなどと本気で思っていないし、経済システム自体を破壊したりしない。
新たな価値による、新たな差別化を図るための理論武装をしているだけです。

ところが、コロナ以降に、顕著に見えてきたLIFESHIFTは、もっと本質的な社会変革を内包した「家庭回帰」、「地元回帰」運動のような気がするのです。

それが資本主義のバージョンアップだとしても、マイナーバージョンアップではなく、革命的なバージョンの登場ではないかと、日々考えて、ゴキゲンLIFESHIFTを研究しています。
でも、まだ確信がないので、「気がする」だけです。

それすら幻想で、これもひとつの新規消費行動の可能性は充分にあります。

 

折も折、北京五輪の最中です。
この大会では、潮目が完全に変わってきているのを感じます。
コロナで変化しなければならなかったことが、昨年夏の東京大会と今回の北京大会の在り方に、マグマの噴火のように噴き出してきているように見えます。
特に開会式での中国のメッセージ、もしくは、この半年で変更されたであろう民族的な多様性を入れ込んだ開会式にせざる得なかった状況そのものが、世界の在り方を決定的に変えようとしているように見えます。

それは、このところの大潮流だったグローバル化、世界の均質化から、新たな文明の衝突、「経済圏・文化圏の衝突」への変化ではないかと実感するのです。

日本は、この北京大会以降に、アメリカ経済圏・文化圏か、中国経済圏・文化圏か、どちらを選択するか世界の各陣営から迫られるでしょう。地政学的な危機です。

その時、小国の知恵として、どちらにもつかずに、どちらからも有利な条件を引き出すという「外交のための知恵」があるかどうかが、勝負になります。
北朝鮮にはその外交術があります。台湾も必死に知恵を絞っています。

日本はどうでしょう。このままで大丈夫ですか?

いままでのような子供の論理で「キレイはキレイ」と言い続けていっても大丈夫でしょうか。
「キレイはキタナイ、キタナイはキレイ」と言い含めることができる「大人の教養」がもっと求められと考えます。
これからの日本に必要なLIFESHIFTとは、そういう知恵を育むものだと考えています。

BOBOSの一見、魂があるかにみえる(そう演出している)消費行動では、この大きな波は越えていけない気がしています。

個人のことを優先する前に社会に貢献する。
消費より循環を促すシステムを開発する。

そうした社会貢献を前面に出す生き方を追い求めて、ゴキゲンLIFESHIFTのヤリガイ活動はあると信じます。

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太田泉
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