生まれた環境やその時代で差があっていいのだろうか
いまCOVID19の感染対策で全国の学校が休校や授業をおこなえないでいる。少しずつ登校の機会を作っているのだけれど,それでも全国的には大きな問題だ。
これを機に9月入学にしては,という意見があり,賛否が色々議論されている。だが一番大切なのは,人生は一度きりで,学ぶべき時に学べなかったことがあとあとに響くんじゃないかという事だ。これを誰も強調しない。やれ入試だの就職の機会だの,果てはインターハイだの甲子園だのと勉強とは関係ないことまでごちゃまぜに扱われている。
手元に,朝日新聞社とベネッセが2017年末に実施した学校教育に対する保護者の意識調査の結果がある(新聞記事は2018年4月5日付がある)。ここには「所得の多い家庭の子どもの方がよりよい教育を受けられる傾向」を,やむを得ない・当然と回答した割合が6割を占めているとか,親の学歴が経済的余裕の評価と比例している事があげられている。いま休校が続く一方で,私立の学校ではタブレットを使ってオンラインでHRや授業が既に行われている。親の世帯年収が高い目の場合なら既に授業が進んでいる私立学校に通っているかもしれない。でもそうじゃない世帯だと,オンラインにしようにも機材もネット環境も整っていない。教育の格差は生まれている,なのに,政治も周囲の大人も子どもたちに何をしているんだろう。
いま開いている差は,決して小さいものでない。学校をどうするかは,給付金や貸付のスピードとおなじくらい大事なのだ(つけていたら熱中症になりそうなマスクも今頃届き始めているという)。だが,学校の再開のために何ができるか,文科相もなぁんにも考えていなさそうな程で,差は広がるばかりだといえる。
責任ある大人の一人として,せめてチャンスや手段は作ってあげてほしい。最善は後からついてくるのでなく,ムーンショットを目指すのでもなく,現実的に学ぶチャンスを,前後の世代との格差も生まないように準備しなければいけない。それが,周囲に忖度ばかりしてもらうお坊ちゃんにならないで,健全な大人が子どもたちになすべきことなんだろうなと思う。
大学生の為にオンライン授業をやり始めて1カ月半が経った。PCを持っていないとか,ネット環境が悪い世帯もいる。スマホでもちゃんと受けられるようなコンテンツを継続して配信することに気を遣っている。動画配信などに走る同僚もいるが,可能な限り差が開かないよう方法を工夫していくことも,通信教育では大事だろう。