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生活を夜に移した。

最近、生活をがらっと変えた。

といっても住む場所を変えたとか働く場所を変えたとか、そういうことではなく、起きて活動する時間帯を完全に夜にすることに決めたのだ。

理由は様々ある。

夜はとても静かである。街を歩いていたとしても、誰かとすれ違うことはそうそうなく、他人からの視線を感じずに済む。神経が少し過敏な私からすると、ちょっとした買い物をするにもくたびれずに済むのだ。

自分の住んでいる地域は都会でもないが田舎でもない。人気のない夜道でも街灯が煌々と照らしてくれているので、夜道の恐怖も少ない(ように思われる)。インフラを整えてくださっている仕事人には ー普段から首を垂れて生きてはいるがー ますます頭が上がらない。

夜に生きる利点はほかにもある。それは、昇る太陽を拝まずに済むことである。

別に太陽光アレルギーがあるわけではない。日光浴はむしろ好きである。ただ、それも正午以降の日光浴に限定される。

私は、朝昼のせわしなさがとても嫌いなのだ。朝になると、おびただしい数の人が家屋から這い出てきて、いつものように群れをなして仕事に向かう(それが彼らにとって本意ではないことはわかっている)。街中には人がこれでもかというほどにあふれ出てくる。その顔には一様に笑顔のようなものが張り付けられている。まるで生きていることが楽しいかのように!

そのうえ、空を見てみよ!数時間前までは昇っていた太陽が、今度は地平線に吸い込まれるかのように落ちてゆくではないか!私は冷や汗が出るのを感じた。太陽が私に語り掛けてくる。

「お前は、今日何を成し遂げてきたのだ?」

「お前が生きている証拠を何か残すことはできたのか?」

そんなわけがない!無為に過ごすか、良くてもわずかな賃金を得るために誰でも出来得る賃仕事をこなすことに必死である。そんな私に、太陽は語り掛けてくるのである。「今日もまた終わっていくぞ」と。とても、正気を保っていられるだろうか?

そこで、私は逃げるように生活の時間を夜にずらした。ぬらりとした太陽が、グロテスクにも地平線から這い出てくる前、早朝4時か5時に眠りにつき、午後の13時か14時あたりに起床する。空を見ると、あとは落ちてゆくだけの太陽がある。私はとても満足した心地で、安心してカフェオレをすするのである。

そして、長い長い夜に優しく包まれながら、今日も生きてゆくのである。

・・・


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