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財源確保のために増税すると失敗する?

日本の歴史において、緊縮財政(財政引き締め)を実施した主な政治家とその成果をいくつか紹介します。


1. 松平定信(1759-1829)

政策名:寛政の改革(1787-1793)
主な成果と影響:

  • 江戸幕府の財政難を改善するために緊縮財政を実施。

  • 倹約令を出し、贅沢な生活を制限。

  • 囲米(かこいまい)制度を導入し、飢饉対策のための備蓄を奨励。

  • **棄捐令(きえんれい)**を出して、旗本・御家人の借金を帳消しに。

  • 一方で、民衆には厳しい政策が多く、不満が高まり、最終的には失脚。


2. 水野忠邦(1794-1851)

政策名:天保の改革(1841-1843)
主な成果と影響:

  • 財政再建のために支出を抑える緊縮財政を実施。

  • 江戸の物価上昇を抑えるために株仲間(商人の組合)を解散させた。

  • 江戸に流入する農民を減らすために人返し令を出し、農村復興を目指す。

  • しかし、商人の反発を受け、また効果が出る前に更迭されたため、改革は中途半端に終わった。


3. 大隈重信(1838-1922)

政策時期:1873-1874(大蔵卿として)
主な成果と影響:

  • 地租改正を進め、政府財政の安定化を図る。

  • 不要な官庁の整理を行い、財政支出を抑制。

  • しかし、西南戦争(1877年)の影響で財政が悪化し、政府は再び財政拡大路線へ。


4. 松方正義(1835-1924)

政策時期:1881-1885(松方財政)
主な成果と影響:

  • 紙幣整理を行い、インフレを抑え、財政健全化を推進。

  • 増税と歳出削減で政府の収支バランスを改善。

  • しかし、デフレを引き起こし、農村が困窮(「松方デフレ」)。


5. 高橋是清(1854-1936)

政策時期:1931-1936(対照的に財政拡張政策も実施)
主な成果と影響:

  • 1930年、井上準之助(蔵相)が金解禁政策で緊縮財政を実施するも、デフレを悪化させた。井上の政策は、理論的には正しい部分もありましたが、世界恐慌の影響を過小評価していたことが最大の失敗要因でした。

  • その後、高橋是清が「金本位制の停止」+「積極財政」に転換し、日本経済は回復に向かいました。

  • しかし、1936年に軍部の反発を受けて二・二六事件で暗殺される。


6. 池田勇人(1899-1965)

政策時期:大蔵大臣時代(1949-1952)
主な成果と影響:

  • **ドッジ・ライン(GHQ主導の緊縮財政)**を実施し、ハイパーインフレを抑制。

  • 企業倒産や失業増加を招いたが、結果的に日本経済の安定につながる。


7. 小泉純一郎(1942-)

政策時期:2001-2006(小泉改革)
主な成果と影響:

  • 財政再建のために公共事業の削減特殊法人の整理を推進。

  • 郵政民営化を実施し、国の財政負担を軽減。

  • しかし、地方経済の冷え込みや、格差拡大が問題視された。


まとめ

日本の歴史を通じて、緊縮財政を実施した政治家は何人もいますが、短期的には経済の停滞や国民の不満を招くことが多かったです。一方で、長期的には財政安定に貢献した例もあります。

↑財政安定の裏に、企業倒産という犠牲もあるので「財政安定」を成果にするのは言葉の「あや」と言えましょう。

次に、日本の歴史において、財政拡張(積極財政)を行い、成果を上げた主な政治家を紹介します。


1. 高橋是清(1854-1936)

政策時期:1931-1936(大蔵大臣として)
主な成果と影響:

  • **金本位制の停止(1931年)**により、円安が進み輸出が拡大。

  • 積極的な財政出動で公共事業を拡大し、世界恐慌から日本経済を回復させた(いわゆる「高橋財政」)。

  • 日本銀行の国債引き受けを活用し、軍事費の拡大も支えたが、軍部の暴走を警戒し始めたため、1936年に二・二六事件で暗殺された。


2. 田中義一(1864-1929)

政策時期:1927-1929(内閣総理大臣として)
主な成果と影響:

  • **昭和金融恐慌(1927年)**の際、積極財政による銀行救済を実施。

  • 戦時国債を発行し、軍事拡張を進め、中国への影響力を強化。

  • 経済回復には貢献したが、軍事拡張が国際関係を悪化させた。


3. 近衛文麿(1891-1945)

政策時期:1937-1941(内閣総理大臣として)
主な成果と影響:

  • 「日中戦争(1937-1945)」を契機に戦時経済へ移行し、政府支出を大幅に増加。

  • **国家総動員法(1938年)**により、民間経済を戦時体制に組み込み、雇用を創出。

  • 戦時需要による経済成長を実現したが、最終的には戦争が長期化し、財政が破綻へ向かう。


4. 岸信介(1896-1987)

政策時期:1957-1960(内閣総理大臣として)
主な成果と影響:

  • 積極財政を推進し、日本経済の高度成長を促進。

  • 財政支出を拡大して公共投資を増やし、産業の基盤整備を強化。

  • しかし、安保闘争の影響で退陣。


5. 佐藤栄作(1901-1975)

政策時期:1964-1972(内閣総理大臣として)
主な成果と影響:

  • 積極的な公共投資を推進し、日本の高度経済成長を支える。

  • 新幹線や高速道路などのインフラ整備を進める。

  • 沖縄返還交渉を成功させ、日本の国際的地位を向上。


6. 田中角栄(1918-1993)

政策時期:1972-1974(内閣総理大臣として)
主な成果と影響:

  • **「日本列島改造論」**を掲げ、大規模な公共投資を推進。

  • **地方へのインフラ投資(新幹線・高速道路・工業団地開発)**を加速。

  • 短期間で経済活性化を実現したが、オイルショックで経済が混乱し、財政赤字も増加。


7. 三木武夫(1907-1988)

政策時期:1974-1976(内閣総理大臣として)
主な成果と影響:

  • オイルショック後の景気対策として財政出動を行う。

  • 短期的な景気回復には貢献したが、物価高騰の問題も発生。


8. 大平正芳(1910-1980)

政策時期:1978-1980(内閣総理大臣として)
主な成果と影響:

  • 赤字国債を発行し、財政拡張で経済を支える。

  • 「増税なき財政再建」を掲げたが、結果的に増税議論が進み、政治的混乱を招いた。


9. 橋本龍太郎(1937-2006)

政策時期:1996-1998(内閣総理大臣として)
主な成果と影響:

  • 金融危機時に銀行救済のために公的資金を投入。

  • しかし、同時に消費税増税(3%→5%)を行ったため、景気悪化も招いた。


10. 安倍晋三(1954-2022)

政策時期:2012-2020(内閣総理大臣として)
主な成果と影響:

  • **「アベノミクス」**として、大規模な金融緩和・財政出動・成長戦略を実施。

  • 公共投資を拡大し、デフレ脱却を目指す。

  • 雇用環境が改善し、円安による企業収益向上が実現。

  • しかし、財政赤字の拡大や消費税増税による影響もあった。


まとめ

財政拡張を行った政治家は、短期的に経済成長や景気回復に成功したケースが多いですが、財政赤字の増加やインフレリスクも伴いました。特に高橋是清、田中角栄、安倍晋三は、成功した例としてよく挙げられます。

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