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十条湯がナイスに復活。なんで今までダメだったのかを改めて考察してみた。
2015年に十条に引っ越してきたから4年間、俺は十条湯に週2回以上は通っていた。それは良い銭湯だから通っているのではなく、銭湯だから通っているのである。まずい母ちゃんの飯はまずくても食うのと同じである。
もし仮に表参道の清水湯の近くに住んでいたら清水湯にはやはり週2で通っていただろうし、四谷の塩湯の近くに住んでいたらやっぱりそうだろうし、麻布十番の竹の湯もしかりである。わざわざ電車に乗ってまで行きたい銭湯は少ない。それでも、中野新橋の清春湯はいい銭湯だった。
それに対して高田馬場の「福の湯」は本当にひどい銭湯だった。すでに廃業していた。
銭湯が人気がないとかいうのは、若者離れしているというより、別のところに問題があると俺は考えているし、若者銭湯諸君も同じだと思うので、それについて、今回は述べてみたい。案外これはシンプルな問題なのだ。それを「銭湯文化を守ろう」という美談にしたところで、そのシンプルな問題を解決しないことには始まらないだろうと想い、筆をとってみた。
つい先日、十条のソウルフードのからし焼きをを食べに行った。
開店の17時まで時間がある。時間潰しに銭湯でも行こうというのは俺の行動パターンである。
でも、実は気がのらない。十条湯は俺の中に、そこまでいい銭湯ではないからである。しかし、時間潰しに銭湯は俺の王道パターンでもあるので、仕方なくいってみた。
最初にびっくりしたのは、わかりやすく値段が書いてあったことだった。
今までは、銭湯代がいくらなのかわからないし、主人もバイトおばさんも、値段を聞かないと答えない。俺は日本中の銭湯に顔を出しているので、お前の銭湯の値段なんか知らないよ。でも、奴は「常識なんだから知っておけ」という顔をする。
ミニボディーソープを買うときも値段がわからない。
かといって番頭と話したくない
(女将さんだけ愛想がいい。これも銭湯あるある)。
今日はサウナ入ろうかなと思っても、この無愛想な奴らと話したくないのである。
結論として、十条湯は蘇り、スタッフも感じの良いおばちゃんにチェンジされていた。中に入ると、いろいろ、わかりやすいポスター群が貼られていて、なんかワクワクするような銭湯になっていた。
実はこの十条湯、去年は経営難だったらしく、クラウドファンディングで危機をしのいだそうである。お金というより、スタッフのいい雰囲気が店を変えたと思う。
そこに「サウナの利用客は去年の5倍になりました。サウナブームなのでしょうか」という文字がある。いやいや、今までのサウナ500円で、200円にしたからでしょ。利用する側として、長居できないサウナに銭湯代と同じお金は払えないよ。500円に設定する時点で、客をよく見てなかったのだよ。
実は十条湯。長居できるようにサウナ客用の2階フロワーがある。
そんなことはいつも忘れる。こんど使おうと思ってついぞ使わなかった。
要するに、値段表もそうだけど、不案内なのである。
店に入る前にきちんと訴求していれば良かったのだ。
不案内の上に無愛想だから、店のアピールポイントが客に伝わっていない。
併設の喫茶店なんかビールが飲めるわけだが、注文していいものかわからない。一瞬でもめんどいなと思ったら、外に出てコンビニがあるわけだから、本当に商売してんのかという感じである。
中でもひどかったのは閉店までまだ時間があるのに、店を早くしめたいのか「入ってくんなモード」になるときがある。
表玄関から入れない雰囲気にして、コインランドリーの奥からだと入れる。
まあ常連だと入れるわけだが、いくら常連でも、入ってくんなアピールしている時は入りたくなくなるものだ。
入店時間ルールをしっかり決めておかないから変なことになるのだ。
人が入っていないから早く閉めたいのはわかるが、こっちは閉店時間にあわせて来てるんだ。その客の気持ちがわかってない。
「まだ1時間もあるのにおかしいぞ」みたいなことは、よくあり通い始めた当初は戸惑ったものだった。
そう、十条という街は、俺ら移住民にとっては「下町」なのであるが、先住民にとっては、池袋から2駅目の「山の手」だという自負があるらしく(実際地形的には山手丘陵の上だが)、商売人はすごく閉鎖的でやる気がない。閉鎖的という観点では、十条銀座には外様商人には家賃3倍で貸し出しているという都市伝説があり、やはり、新規出店の回転が早い。台湾タンパオも、ラーメン和虎も早々と消えた。あんなに一生懸命やっていたお店を潰してしまう十条という街は、まことに残念な街である。
で、どれくらい十条湯が無愛想かという話をすると、
最低週2回で4年通っている、俺に対して一回も挨拶をしなかったのだ。
顔見知りの常連客に挨拶しない商売人っているのかよと思ってたが、ここでは俺の方が非常識だった。そういう客を舐めている店は十条にいくつもあった。
「今日は寒いねえ」「元気?」「いつもありがと」
ダメな銭湯はこれができない。
俺らだって、生徒の顔を覚えているし、自然に挨拶がでる。
こないだ飯田橋の「びぜん亭」に行った時、主人はやたらとお客さんとコミュニケーションをとるし、名前は知らないけど顔は覚えているもんだと言っていた。だから50年も商売が続くのである。
ラーメン屋を一代で作る人は命懸けでお客さんを大事にするのに対して、
複数世代をこえて既得権益を守っていながら重労働に苛まれると、お客さんに笑顔をむけるのができなくなるのだろう。
あの高田馬場の福の湯の倅がそうだった。客といっさい目をあわさないのである。
それでいて、銭湯の上はマンション経営なのだから、銭湯は「街のために運営してやってる」モードになっている。
だけど常連のじいちゃんたちは、無愛想で不案内でも構わない。
死ぬまで使ってくれる。若者はそういうのが嫌なのでなんか寄り付かなくなる。そこに来たコロナ。じいちゃんが行かなくなってアウト。
そんな光景が色々な銭湯で見受けられたのだろう。
とはいえ、これが銭湯業界の実態なのだから、無愛想を責めても仕方ない。
それよりも、十条湯を守ろうと立ち上がってくれた人たちに感謝したい。
あとひとつ気づいたこと。無愛想なご主人がちょっと朗らかになっていた。
長女もお店を手伝うようになっていたし、色々いいことがあったのだろう。
俺たちは、主人のいい顔が見たいのである。
それが今回気づいたことだった。
そして、からし焼きの大番に行った。
お客さんも、お店のおじいちゃん、おばあちゃん、娘さん、みんないい顔をしていた。井之頭五郎がいそうな世界。これが俺の求めている十条である。
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