【突きつけられる現実】ネコ・かわいい殺し屋
ネコと日本人
ネコの愛くるしい仕草など観ていると飽きませんよね。
ネコと日本人との関わりは古く、弥生時代にはその存在が確認されているといいます。
奈良時代頃に、経典などをネズミの害から守るためのネコが中国から輸入された。
愛玩動物としての記述が見られるのは、『枕草子』や『源氏物語』『更級日記』『明月記』にも登場する平安時代からである。
鎌倉時代には金沢文庫が、南宋から輸入したネコによって典籍をネズミから守っていた。
上記の様に我々との付き合いは非常に長く、古くからネズミを捕らえてくれる益獣という認識が強い愛玩動物であったようです。
ネコの生態が突きつける真実
しかしながら、生態学の研究はあまりにも無情に、愛猫家には目を疑いたくなるような事実を突きつけて来るのです。
驚くべきことに「絶滅した爬虫類、鳥類、哺乳類の14パーセントの種において、絶滅に至った主たる要因あるいは一因がイエネコによる」という研究結果があるのです。
まぁ、ネコにとっては、ネズミを捕まえるのも絶滅危惧種を捕まえるのも同じ本能に即した行動なので、責められるのも気の毒ではあります。
さらには、ネコからヒトへの感染の危険性がある感染症のトキソプラズマ症については、
鬱、双極性障害、強迫神経症、統合失調症などの精神疾患がトキソプラズマ症と関連があるというのです。
もしも精神疾患に罹患する原因にネコが含まれるのだとすれば、それは恐ろしいことですね…
ペットとして、飼い主が責任をもってネコを飼うのは大切なことですが、野良猫が自由に繁殖してしまうと個体数が増加の一途を辿ってしまいます。
したがって野良猫に対しては、その個体数の減少を目論んで、TNR(捕獲・不妊去勢・再放逐)が好んで行われたりするわけです。
しかしながら皮肉なことに、この活動(TNR)は功を奏しておらず、個体数は減少していないようなのです。
その理由はまだはっきりとしないようですが、TNR(捕獲・不妊去勢・再放逐)によって排除されたコロニーの中へと、さらなる新たなネコが入り込むという「バキューム効果」なる現象が生じてしまい、結果的に個体数自体は減少していないのではないか、と考えられているらしいです。
現実に目をやると
書店を覗けば愛らしいネコのカレンダーや写真集が棚を賑わせ、テレビでもネコの番組は良く目にしますよね。
某カフェチェーン店では、購入客に対する景品であるネコの写真のクリアファイルが、期間を終えぬうちに在庫が尽きてしまうほどの販促効果があるようですからネコ人気は衰え知らずです。
しかしながらネコが、別の生物種を絶滅に追い込んでしまい、結果的に生態系を狂わせてしまっているという事実を知ったからには、
ヒトによる、むやみやたらの無責任な野良ネコの可愛がりが、生態系へと影響を及ぼしていることを無視することは出来なさそうです。
おわりに
将来の生態系に対する明暗を握っているのは、ネコ。でもそのネコの明暗を握っているのは、実は人間なのです。
なので
ネコを、そして生態系を守れるのは結局、人間。
ということになるのですね。
知らない方が良かった、信じたくない、という方もおありかもしれませんが、事実を知り、行動するためにも一読の価値がある1冊だと思います。
おしまい