表彰状 サンプラザ中野くん殿
3/16の夕刻。
夜空には綺麗な三日月がみられました。
気象予報士の伊藤みゆきさんは朝のラジオにて、hitomiの「IS IT YOU?」を紹介しながら、歌詞に出てくる三日月が夜空に見えるだろうと話していました。
3/17
翌日、伊藤みゆきさんが流した曲は爆風スランプ『大きな玉ねぎの下で〜はるかなる想い〜』でした。
伊藤さんは、この季節になると毎年この曲が脳内再生されるらしいのです。
標本木と大きな玉ねぎ
それというのも、気象予報士として靖国神社のソメイヨシノの標本木を見に行く際、その最寄駅が九段下駅であるからです。
九段下駅のホームで流れる電車の発車のサインは、
『大きな玉ねぎの下で〜はるかなる想い〜』
なのです。
歌詞で
あの大きな玉ねぎの下で
初めて君と会える
九段下の駅をおりて坂道を
とあります。
「大きな玉ねぎ」とは、日本武道館の屋根のてっぺんにある擬宝珠(ギボシ)のことです。
擬宝珠は、他にも橋の欄干などの飾りとしても見られます。
ギボウシというユリ科の植物がありますが、この名前はやはり蕾(つぼみ)が擬宝珠に似ていることに由来しています。
ところで、日本一注目される桜の木と、日本一有名かつ巨大な玉ねぎがとても近い距離にあることがとても興味深いです。
懐かしき昭和テイスト
『大きな玉ねぎの下で〜はるかなる想い〜』は1989年10月にリリースされていますので、元号でいうと平成元年ということになります。
しかし長かった昭和という時代から変わったばかりの頃なので、まだ本曲にも昭和っぽさが漂っています。
歌詞には
ペンフレンド
青いインクが涙でにじむ
と登場します。
まだ携帯電話も普及する前ですから、メールももちろんありませんので、通信手段としては手書きの手紙のやりとりが一般的だったのです。
さらに
貯金箱こわして 君に送ったチケット
これはおそらく叩いたら割れる陶器の貯金箱を表していると思います。それを壊して貯めていたお金でライブのチケットを購入して、意中の相手へと送ったというのです。
それから30年余り経て、時代はキャッシュレス。現金を目にすることなく生活することが当たり前になって来ました。
振り返ると世界は一変してしまったことにあらためて気付かされます。
定期入れのなかのフォトグラフ
定期をスマホやスマートウォッチと一元化させている方にとっては「定期入れ」はもはや無用の長物です。
かつてはその定期入れに写真を入れることによって、恋する相手の姿を常に目にすることが出来たのです。
今となっては、幾らでもスマホに写真を入れておくことが出来ます。写真はもう紙媒体ですらありません。単なるデジタル情報でしかなくなってしまいました。
目に浮かぶ情景
恋する人に逢えるかと楽しみに1人来た武道館。
しかしついにその人は来なかった。
僕は一人涙を浮かべて
千鳥ヶ淵 月の水面 振り向けば
澄んだ空に光る玉ねぎ
千鳥ヶ淵の光景がありありと目に浮かぶような美しくも切ない情景です。
おわりに
『大きな玉ねぎの下で〜はるかなる想い〜』は、あらためて聴いても素晴らしい歌詞であり、名曲です。
本曲を作ったサンプラザ中野くんさんは、本当に素晴らしい曲を残したという功績があると思います。
ただ日本武道館を『大きな玉ねぎ』と称したことだけでも十分な発明といえると思います。
サンプラザ中野くんは、後世に名を残す偉大なるコピーライターともいえると思います。
ここにサンプラザ中野くん殿を
表彰したいと思います。
おしまい