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大地の芸術祭に行ってきた話🌾🌾

「大地の芸術祭」とはなんぞや

大好きな「大地の芸術祭」のオフィシャルバスツアーに参加したお話をします。「大地の芸術祭」とは一言でいうと、“3年に一度のトリエンナーレ形式で、新潟県の十日町市を中心に開催されている現代アートの祭典”。今でこそ地域密着型の芸術祭は日本各地に多数存在しますが、これはその先駆けとも言える芸術祭です。

2000年に第1回が開催され、それから3年ごとに開催されてきました。私が初めて行ったのは、たぶん第2回の2003年。第7回となる今年2021年は、残念ながら新型コロナウイルスの影響で来年に延期が決まっています。

そんな中、今の時期週末のみ運行されているオフィシャルバスツアー。私は越後妻有(えちごつまり=芸術祭の中心地となっている地域を指す造語)が大好きすぎて軽い禁断症状が出ていたので、緊急事態宣言が解除された今のタイミングで行くことにしました。

越後湯沢駅に集合し、各エリア計6つの作品を回ってまた越後湯沢駅に戻ってくる、というコース。

大地の芸術祭の目玉といえる作品ばかりを巡ってくれる、いわば全部乗せ丼みたいな幕の内弁当みたいな「5分でわかる越後妻有」みたいな王道コースです。しかもガイドさんとランチ付き…!

というわけで、誰に頼まれたわけでもなく自分のための記録用ですが、ひとつずつ作品を思い返していこうと思います。

越後湯沢駅から出発!

①越後妻有里山現代美術館「MonET」

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「キナーレ」という名称で親しまれるこちらの施設。大地の芸術祭の心臓部で、とりあえず困ったらキナーレに行く。中央部分は吹き抜けになっていて、今はレアンドロ・エルリッヒの「空の池」という作品が展示中です。一体どこが作品なのか?下に水が張って池みたいになって、水面に建物が映ってるように見えるけど、違うんです。目に見えるものが真実とは限らない。ああレアンドロ・エルリッヒ〜〜〜!!!ぜひ自分での目で見に行って、「なにこれどういうこと〜〜?!」ってなってください。

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「MonET」は「Museum on Echigo Tsumari」の略らしい。この夏常設が大幅に入れ替わって、「MonET」という名前でリニューアルオープン!写真はカバコフ夫妻の「16本のロープ」という作品。旧ソ連の圧政下で暮らす人々の会話が、ゴミとともに吊るされています。カバコフの作品は越後妻有にいくつかあるけど、どれも人々のおしゃべりが聞こえてくるみたいで好きです。

②うぶすなの家

2作品目にして早くもお昼ごはん。うぶすなのごはんが食べたくてツアーに参加したと言っても過言ではない。茅葺きの古民家を「やきもの」で再生させた、作品兼食堂兼宿泊施設です。2007年の新潟県中越沖地震で、震源に最も近かった集落に位置するこちら。当時炊き出しを行った地元のお母さんたちが中心となって、地元の食材を使ったごはんを提供してくれています。

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早く食べたすぎたせいで写真が下手くそすぎて、見返してショック受けましたが(笑)お母さんたちが畑で育てている野菜、今年の新米、ブランド豚の妻有ポーク。全部なつかしいおいしさで、なんとも言えないノスタルジックな気持ちになります。緊急事態宣言中はツアーが中止されていたので私たちは久しぶりのお客さんだったようで、お母さんたちが気合を入れて新米を大量に炊いてくれていました(みんなごはんしっかりお代わりしてた。新潟の新米は最高🍚🍚)。3年前、越後妻有に1ヶ月ほど滞在したことがあるのですが、本当に何を食べてもおいしかったのが一番印象に残ってる、そのくらい食べ物がおいしいんです新潟は。最高の素材にやさしい味付け。おばあちゃんの家に来たみたいなほっこり感。お母さんたちのかわいすぎるおもてなし。そして料理を彩る素敵な器。

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車で山道を登り、電波も入らないようなところにある古民家です。お料理がおいしいのは言わずもがな、中の作品も器も本当にかっこいい。強く推したいスポットです。

③農舞台

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松代エリアの中心的スポット、農舞台。農舞台を説明するのは難しいけど、作品を展示しながらたまにステージとか催し物とかをやっている施設です(難しい)。写真はその屋外に設置されている、草間彌生の「花咲ける妻有」という作品。草間彌生自身が「自分の屋外作品の中で一番お気に入り」みたいなことをどこかで言っていました。遠くから見ても「あそこにあるな」とすぐ分かるのがなんか好き。色合いが派手とかではもはやない、作品そのものの存在感というか生命力がすごい。ちなみに写っているのは今回一緒にツアーに参加してくれた原口さんです。

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いくつになってもはしゃいでしまう、河口龍夫「関係-黒板の教室」。机も壁も床もぜーーーーんぶ黒板になっています。芸術祭会期中になると、余白を探すのが大変なくらいみんなの落書きでいっぱいになっていて、それを見るのがすごく楽しい。写真はどこかの少年が描いたであろう、MAXとき(10月1日に引退したらしい新幹線、今までおつかれさまでした)。その迷いのない筆致から、MAXときへの愛が伝わってきてめちゃくちゃかわいいです。

④クリスチャン・ボルタンスキー+ジャン・カルマン「最後の教室」

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廃校になった小学校をまるごと作品にした、不朽の名作。こんな写真じゃ何も伝わらないのが悔しいから越後妻有に行ったら絶対に行ってほしい。目からも耳からも鼻からも、足の裏からも伝わる感覚は、きっとここに足を踏み入れた人にしか分からない。私は匂いが好きです。ここに生徒たちが確かに通っていた証みたいな作品だと思っていたけど、ボルタンスキーが今年の7月に亡くなったことによって、ああここは彼が生きた証そのものでもあるんだなと思いました。作品が守られ続けて、人々が足を運び続けることで、ボルタンスキーが越後妻有を愛し愛された象徴になるんだと思います。

⑤内海昭子「たくさんの失われた窓のために」

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SNSとかで見たことある人も多いと思います。最近では、平手友梨奈ちゃんが表紙の雑誌でここの前に立ったショットが話題に(Casa BRUTUS 8月6日発売号最高すぎたのでぜひ買ってください。回し者ではありません。綺麗で高級なお洋服を着て越後妻有の大自然にすっと溶け込む平手友梨奈ちゃんがただただ最高)。

https://www.amazon.co.jp/Casa-BRUTUS-ebook/dp/B09918X1PT/

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この作品、来るたびになんだか小便小僧的なガッカリ感があったのだけど(ごめんなさい)、今回「えっこんなに綺麗だったっけ…」と思わず息を呑んでしまいました。雲ひとつない青空と夕方の気持ちいいいいい風、陽が傾きかけた時間帯の絶妙な太陽光、カーテンと一緒に後ろで揺れるすすき。今までで最高の「たくさんの失われた窓のために」でした。天気は大事。

⑥マ・ヤンソン/MADアーキテクツ「Tunnel of Light」

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2018年に公開されたこちらの作品。行ったことがなかったのですごく楽しみにしていました!写真を見ただけじゃどうなってるのかまったく分からなかったけど、中に入ってそういうことかと納得。これは楽しい。この写真は、真ん中のドームのところがトイレになってるんです。普通に用が足せます。しかも、外から中は見えないが、中からは外が見えるというマジックミラー的な仕様になっている…!透明人間になったみたいな不思議な気持ちになれます。

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もともとは観光トンネルとして掘られた「清津峡トンネル」ですが、長い間パッとしないザ・地味〜な観光地だったとか。それが2018年大地の芸術祭で、マ・ヤンソンとMADアーキテクツが作品を入れたことによって、たちまち大人気の有名観光地になったそうです。SNSやテレビでもよく取り上げられているけど、話題になったのはここ3年のお話なんですね。これぞ芸術祭のパワー。

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20代女性2人で行って、まさかの棒立ち。微妙な距離感。ここでポーズを取りたい人は、なんでもいいけどとりあえず足を開くのがおすすめです。

本祭は2022年夏

さて、ここまでざっくりご紹介しました「大地の芸術祭」ですが、冒頭で記述した通り、本祭は来年2022年の夏に行われます…!その頃にはコロナも落ち着いて、世界中の人が越後妻有に集まって、みんなでお祭り感を楽しめるようになっていることを願うばかりです。作品同士がかなり遠いところに点在しているので、個人で回る方は車が必要。免許のない方はバスツアーに参加するか、誰かに運転してもらってください。

ちなみに今回のツアーは10月いっぱい、土日限定で受付中だそうです。芸術祭の会期外なので人もそこまで多くなく、ひとつひとつの作品を落ち着いて鑑賞できると思います。

越後湯沢までは東京から新幹線で約1時間ちょっとととても近いので、週末やることがないな…という人はぜひ行ってみてくださいね〜!!

https://www.echigo-tsumari.jp/visit/tour_20210630/

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