気がつけばカフェの女房〜え?本当に開業するの?
飲食素人の夫が始めたパンケーキカフェの物語。
もっと飲食素人の妻からの偏見で書いていきます。
「カフェをやろうかな」
会社を売却して老後は悠々自適と思っていた夫が
2〜3年のんびりした後に
「カフェをやろうかな」
と言い出しました。
夫は若い頃、お花屋さんになりたかったそうで
その理由はというと
お花を受け取った人の顔が、ふわっと笑顔に変わるのが好き
だからだそうです。
こんなエピソードからは想像もつかない
見た目も脳内も体育会系な夫なのが笑えますw
私は、お花屋さんになりたかったことを聞いていたので
それもいいかと思い、軽い気持ちで
「いいんじゃない?」
と答えたと思います。
ただ心の奥底では
「そんなに簡単にはできないよね、だって素人だもの」
と思っていました。
それに、私自身が、こと起業に関してだけは
やる、やる、と言いつつなかなか進まない面があって
起業=すごく大変なことというイメージが強かったため
やるとしても数年先のことだろうし
プロセスを経ていくうちに現実的ではないことに気づくだろう
と思っていたのも事実です。
でも「いいんじゃない?」と答えたのは
夢を挫くことをしたくない、という想いが私にはあったし、
人も羨む悠々自適とはいえ、ゴルフとYoutubeで1日が終わっていく夫が
時折「毎日出かける場所が欲しい」とこぼす、
その心中を察してのことでした。
カフェスクールに通い始める
カフェをやろうかなと呟いた日から1年くらい経ち
もうカフェのことを口にしなくなったから
やっぱり現実的じゃないと思ったのかなと思い始めた矢先
以前に資料を取り寄せていた、カフェスクールに通うことを決めます。
学費は1年で130万円ぐらい。
週1回の授業です。
そこでもまた、素人のカフェ開業が現実的ではないことを
知るのだろうなと、私は思っていました。
が、カフェスクールに通い始めて4ヶ月ほど経った頃から
夫はとうとう店舗物件を探し始めます。
ちょっと脱線。
カフェスクールでは、美味しいカレーを調理実習で作ってきたり
美味しいサラダを作ってきたり、コーヒーのことを学んできたり。
持ち帰ってくれる食事が、私は楽しみでもありました。
「今日は調理実習ある?」とよく聞いていたっけ。
カフェ経営に関する授業もあったそうで、そのあたりは
自分で創業した会社を10期経営した経験から
「知っていることばかりで、つまらない」
と言っていました。
すでにコーヒー豆店を経営されている方や
カフェ向けの食事を作って冷凍で提供している方などが
外部講師として登壇される日もあったそうで
ご縁ができたことも、嬉しそうでしたね。
スフレパンケーキに目覚める
そんな中で夫は、かねてから自分が大好きだった
スフレパンケーキに目覚めます。
Youtubeで研究し、Youtubeで探した先生に直接
コンタクトをとって教わりに行っていました。
自宅では、私のクライアントが来宅されるたびに
スフレパンケーキを焼き、セッションや講座が終わった頃に
「試食してください」と運んでくる。
私の友人が遊びに来ると言えば、必ず在宅して
スフレパンケーキを振る舞う。
起業メンタルが弱い私としては、
どうしてこんなに積極的に
「食べてみて!」「感想を聞かせて!」と言えるのだろう?
夫のその行動は、起業するなら当然のチャレンジだと思うのですが
私にはそれができない。
その点は尊敬に値する、と思っていました。
一方で、来宅される方々がお腹空いているかどうかもわからないし
甘いものを控えているかもしれないし、小麦粉アレルギーかもしれないのに
何の前触れもなく、許可もとらず、出してくるのはどうなのかな?
と、そんなところが気になる私でした。
だって、出されたら断りづらいでしょう?
私、気にしすぎかな?
脱線ここまで。
店舗が見つかった!
そう。そして店舗を探し始め、ついに見つけてきたのです。
本当は自宅に近ければ近いほど良い、と思っていたのですが
自宅近くはとにかく、狭くて高い!ため
自宅から車で15分、自転車でも15分、バスで20分、電車でも行ける
場所に借りることになりました。
席数は40席(実際に使うのは30席)、家賃は30万円。
以前はイタリアンレストランだったお店です。
私は正直、心配でした。
確かに立地の良い店舗ではある。
しかし30席満席になった時、夫の技量でパンケーキを提供しきれるのか?と。
もちろん、同じ時間帯に集中して入店されることはないでしょうが
銅板で一度に焼ける枚数も限られている中で、
他にメニューもない中で、こなしていけるのか?と。
夫の事業とはいえ、私の中にはイメージがありました。
木の色が映える10席ぐらいの小さなカフェ。
お客様との会話が楽しめて、常連さんたちに通ってもらえるお店。
無理なく家賃がお支払いできて、夫のやり甲斐になるお店。
こんな私の想像とは違ったなかなかの大きなお店でした。
店舗は2階建。1階はカウンターで2階がメインの客席。
お客様との会話は叶わないけれど、
お客様にはゆっくり過ごしていただけそうな店舗です。
もはや私には口を挟む余地もなく
ただただ契約書類に目を通し、連帯保証人として
最悪の時にどうすればよいのか?心の準備をするだけでした。