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エリカの暴露 第1話 「女神」



 セラピストはどのくらい稼いでいるのだろう?

 副業でやっている人が多く、月に1日しか出勤しない人もいれば、週に5日以上出勤する人もいる。



 だから平均月収を割り出してもあまり意味はない。



 大都市にある一般的なメンエス店では、1人施術に入ればだいたい1万円前後は稼げる。

 1日3人接客をすればおよそ3万円だ。

 コンスタントに週5日くらい出勤していれば、そこまで売れていないセラピストでも30万円くらいは稼げる。





 そんな中でも月に100万円近く稼ぐセラピストもいる。


 トップセラピストと呼ばれる人達だ。


 もちろん、セラピストで確定申告をしている者はほぼいないので、100万円はまるまる使える金だ。





 東京・日本橋のメンズエステで働くエリカは都内屈指のトップセラピストである。

 年齢は21歳、身長168㎝、スリーサイズはバスト84㎝、ウエスト57㎝、ヒップ83㎝だ。

 大抵、メンズエステのプロフィールは嘘にまみれている。



 だが、彼女は年齢以外全て本当だった。



 メンズエステの世界に入ったのが、21歳の時で、それから4年経っているので、実際の年齢25歳だ。

 吸い込まれるような大きい目や通った鼻筋、口角が上がって、ぽってりとした色っぽい唇が特徴的で、韓国アイドル顔負けのルックスである。


 一部ではメンエス界の女神とも、もてはやされている。




 もちろん、整形はしている。

 稼いだ金は美容に消えていく。



「私がトップセラピストになれたのは、ただ単に綺麗だからとか、マッサージの技術があるとかじゃない。売れるための自己プロデュース力が他の人よりあったから」


 エリカはそう考えている。




 遡ること4年前。





 エリカはメンズエステという仕事を知り、期待に胸を踊らせながら、面接が行われるマンションの一室に赴いた。


 面接を行ったのは、30代後半と思われる眼光の鋭いやり手のビジネスマン風の男で、店のオーナーだった。



 エリカは分かっていた。

 オーナーが彼女をひと目見た瞬間から、彼女を採用しようとしていたのを。






「メンズエステで働かれたことは?」



 オーナーが前のめりになってきいてきたので、



「ありませんが、以前は風俗で働いていました」



 と、正直に答えた。



「風俗で?」



 オーナーが語尾を上げて、きき返した。



「はい。でも、私みたいな綺麗な女性が安く体を売るのも癪だし、割に合わないなと思って、もう少しソフトな仕事はないかなと思っていたんです。そしたら、メンズエステを見つけて」



 エリカは物怖じせず、意気揚々と説明した。



「たしかに、メンズエステは体を売るわけではないですが、そんな簡単な仕事ではないですよ」



 オーナーが諭すように言ってきたので、



「男の扱いには慣れていますから。私に引っ掛からない男はいません」



 と、大口を叩いた。

 すると、オーナーはエリカのことを未知の生き物に接するかのように、



「あなたのような人は初めてです。それだけ、芯が強ければやっていけるでしょう。それに、綺麗だし」



 と、その場で採用を告げられた。





 そして、何度か研修を受けて、エリカのメンズエステのキャリアが始まった。

 続く.....

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