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ねねの暴露 「母と娘でメンズエステ」
子は親の背中を見て育つというが全くその通りだ。
広尾にある某店のホームページのセラピスト欄には、たった2人しか在籍していない。
ひとりは38歳で週に一度しか出勤していない。
もうひとりは18歳で、週に5日間、昼の12時から夜10時まで出ている。
38歳が出勤する時には18歳は休みになっていた。
実はこの店は知る人ぞ知る店であり、セラピストの人数が少ないのも乗じて、予約を取るのがなかなか難しい。
何を隠そう、この店に在籍する2人のセラピストは母娘なのだという。
18歳の娘ねねは南国にいそうなハーフ系美人で、まだ18歳ながらも大人の色気に溢れている。
またヌキはないものの、かなりディープな施術がウリだ。
一方、38歳の母親、麻未は純日本人だが、目鼻立ちがはっきりしている。
なにより、施術が娘よりもさらにディープで風俗行為もしているのだ。
店は有栖川公園の近くの閑静な住宅街の一角にある高級そうなマンションにある。
観葉植物やキャンドルなどが置いてあって、照明はトルコランプで艶やかに彩られている2LDKの部屋の一室を、エステルームとして利用しており、後は自宅のスペースとなっている。
娘も母も客からよく聞かれるのは、
「本当に母娘なの?」
ということだった。
「そうですよ」
と正直に答える。
シングルマザーだった麻未は元々メンズエステで働いており、そのお金で娘のねねを育て上げたこともあり、ねねはこの職業に何の嫌悪感もない。
友だちにもメンズエステで働いていることを公言していて、男友だちもたまに遊びに来てくれる。
ねねは母から施術を習った。
母は銀座や六本木のメンズエステで元々働いていて、店を立ち上げる前は講師もしていた。
母娘で教え合うのに特に気まずいこともない。
「どうして、母娘でやることになったんですか」
これもよく聞かれることだ。
ふたりで店をやろうと提案したのは、ねねだった。
それまでは母娘であまり会う時間がなかった。
なので、一緒に働くことが出来たらもっと一緒にいる時間が増えると思ったのだ。
「このお店が親子を繋ぐところなんです。セラピストを増やせば、もっと儲かるんだろうけど、母とふたりだけの場所を大事にしたいんです。だから、このままでいいんです」
ねねは客に決まってこう言う。
そうすると、客は決まって急に女を見るエロい目から、一生懸命に働く母親思いの子を見守る目に変わる。
「ものすごくお母さま思いなんだね」
という言葉を付け加えられて。
その次にねねが言うセリフは決まっている。
「昔、随分と迷惑をかけましたから」
ねねは学生時代はいわゆる不良で、家にも帰らず、母に心配ばかりさせていた。
それでも、自分を見捨てなかった母親に感謝の気持ちを抱くようになり、母親と一緒にいることが何よりの恩返しなんだと思っているのだと。
この店に来た男たちは皆、この母娘の美談を信用する。
まさか、親子でも何でもなく、全てがただ客の同情を引くための嘘だとは、微塵も思っていないだろう。
ねねの暴露 〜完〜