僕がいつもポチの散歩コースにしている道には、電柱があった。 電柱というのもただの電柱ではない。なぜか執拗にチラシやポスターでその黄色と黒のざらざらとした目印を潰すようにしてある電柱だ。 この辺りは治安が悪いというわけではない。ただ単に、その電柱にだけ──散歩の犬がマーキングするように──その目印は貼ってあった。 最初は疑問に思わなかった。ただ、月日が流れる度にその目印は印象を変えていった。 僕がいつも通り散歩をしているとある日のことだった。 ポチの