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入社10年目管理職になるためのヒント パート1‐④

こんにちは、茶っプリンです。
今年は様々な会社の決算書を拝見したり、事業計画書の作成をお手伝いする機会に恵まれました。見れば見るほど、会社というのは生き物だと感じます。「法人」とはよく言ったもので、人と同じように、経営者の考え方、魂の入れ方、行動の仕方で、こうも違いがあるのかと、新鮮な驚きの連続です。そうした視点で会社を眺めてみると、いろいろな発見がありますよ。

さて、X社社長からのお悩み相談に答えるシリーズ、今回は第2回の相談への回答です。前回までのあらすじと相談内容は、こちらをご覧ください。

1.X社資料からの分析

コンサルタントBは、X社社長からの相談を受け、コンサルタントAがすでにX社総務部長から入手していたX社の概要に目を通し、以下のように分析した。

X社 概要
X社 PL(損益計算書)・BS(貸借対照表)

前期比で、複合機の販売減少数が32台を超えると、赤字に転落する。
 (営業利益400万円÷複合機1台あたりの粗利益12.5万円=32台)
・前期の複合機販売台数は、前々期比60台減。前期並みの減少が続くと赤字転落は必至。
・売上に対する人件費率が高く、営業所数も多いことから、効率的な営業所体制に移行する必要がありそう。

2.営業本部長へのヒアリング結果

この分析結果を踏まえて、営業本部長にヒアリングしたところ、以下のような話を得ることができた。

  • コロナ前は、「足で稼いでこそ営業」という考え方が社内に浸透し、顧客への訪問頻度を重視していた。

  • 複合機と電話機という商品の特性上、顧客の方もX社営業員の顔が見えることへの安心感があった。

  • コロナ禍の在宅勤務の増加で、印刷や固定電話の使用頻度が減少し、複合機、電話とも売上が右肩下がりである。前期は辛うじて黒字になったが、赤字転落も目前で、危機感を抱いている。

  • 顧客の在宅勤務の増加により、電話しても担当者につながらず、先方の担当変更なども重なって、顧客との接点がすっかり失われてしまった

  • 新商材として取り扱うことを検討しているWebカメラやクラウドシステムだが、X社自体がその扱いに不慣れで、セールスポイントも体感できていない


3.コンサルタントBの考察

コンサルタントBは、資料の分析と営業本部長へのヒアリング結果から、以下のように考察した。

現在、営業所は東京、名古屋、大阪、横浜、福岡、広島、仙台、札幌、金沢、新潟にあるが、新たに取り扱う商材は、対面による営業のメリットが少なく、遠隔地からのリモート営業でも十分に対応可能である。

また、X社自体が新商材の取り扱いに不慣れであることから、当面はトライ&エラーでの営業展開になると想定される。そのため、まずは経費を効率化する必要がある。10の営業所があるとはいえ、前期でも5,000万円の旅費交通費が計上されており、営業所を分散している効果が十分にあるとは言い難い。リモート営業+スポットでの出張対応に切り替えることで、賃料と拠点維持費を削減し、経費の圧縮を図りたい。さらに、新商材を取り扱う専門部隊を立ち上げ、営業ノウハウの共有がしやすい体制を作ることも重要だ。

現在は、X社の営業員自体が、新商材であるWebカメラやクラウドシステムなどのセールスポイントを体感できていない。そのため、自社の業務に活用する環境を整備し、顧客と同じ目線でメリットや課題を把握できるようにすることも、成功の鍵を握っているだろう。

4.コンサルタントBからの回答と提案

コンサルタントBは、X社社長に「営業所の集約」と「新商材を扱うリモート営業部門の構築」を提案した。

まずは営業所を東京・名古屋・大阪の3拠点に集約し、従来の営業部門に加えて、リモート営業部を新設することを提案した。リモート営業部は、新商材を取り扱う営業員で構成し、主にリモートで営業提案からクロージング、契約、サポートまでを担う。対面が必要な場合は、出張での対応を行うが、極力頻度を減らす。集約により、営業ノウハウの共有と蓄積をしやすくするとともに、実際にWebカメラなどリモートツールに慣れる機会も創出する。

但し、7拠点の閉鎖という大胆な組織改編となるため、顧客の不安の払拭や、転勤が難しい従業員へのケアも必要となる。そこで、閉鎖対象となる営業所の勤務者のうち、既存顧客との接点の深い営業員については、東名阪いずれかの営業所に所属しつつも、在宅勤務を基本とした働き方とする。

日々の営業状況はリモートで共有しつつ、営業所には月1〜2回出張の形で出社し、上長や部内と直接コミュニケーションをする。この営業員は、毎日リモートのインフラ環境とクラウドシステムを使うことになるため、自社取り扱い商品に対する知識も深まり、セールスポイントも自然に体得できるようになる。

以上の取り組みにより、新しい商材の販売を推進し、売上の向上と経費の削減を図る。

いかがでしたか?
「組織は戦略に従う」という言葉がありますが、まさにX社は新たな事業の戦略を検討しているところで、今回はそれに相応しい組織のあり方を考えてみました。

現実的には、ここまで一気にドラスティックなことをするのは、従業員の混乱や反発も招きかねず、ソフトランディング策も検討しなければなりません。しかし、組織は経営を考える上で重要なファクターです。経営を担う一員として、組織の重要性を意識しておくと、なぜ経営者が何かと組織を動かしたがるのかも見えてきますよ。

今後も、コンサルタントたちの活躍にご期待ください!
ではまた!!(^^)/


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