#ELLEDecember2021 インタビュー (前編)2021/12/15

2021年12月15日発売のELLE 2021年12月号のインタビュー記事を翻訳しました。
2021年11月配信開始の『Paint With Love』に合わせたSingtoさんとTaeさんお二人のインタビューです。
当初はELLE ThailandのWEB上でも記事を読むことができましたが、現在は消えています。

こちらはELLE Thailandからの予告です。

以下、紙の雑誌からの翻訳です。
WEBの記事は確認ができませんが、おそらく同じ内容だったと思います。

(泰→日)
 もう閉店時間だというのにレストランにはお香が焚かれ、本日のコラムの撮影現場は静かではなかった。逆に十を数える人々があちこちに散らばっている。ヘアメイクのチームが化粧品を持ってきた。広げて配置し開店準備をする。スタイリストチームはハンガーに掛けた服にアイロンをかけるのに忙しい。撮影チームはフィルムカメラを持ち込み、写真の雰囲気を変える。食事チームはデザートや飲み物を運び、机の上に並べた。おや! なぜ最後の2チームにはよく見た顔がいるのだろう。もしかすると…。

 「今回の『ELLE』のインタビュー撮影に来たのが出家休暇の前の最後の仕事です」 撮影チームの中から声が上がった。その声の主は『SOTUS The Series ~พี่ว้ากตัวร้ายกับนายปีหนึ่ง~』時代からYシリーズを追いかけているファンだった。よく見慣れているのも当然、それはシントー・プラチャヤーだ。突然メイクに引っ張られて行った彼は、少し名残惜しそうにカメラを置いた。それから腰を下ろすと、仕事なのは分かっているというようにファンデーションを塗られるに任せる。「あらゆることが、困らせてやろうと言うみたいに全部起きた。僕は2,3日前にドラマの撮影を終えたばかりなんですけど、それまで30日間仕事続きでした。これが最後の仕事。終わったら、親戚たちと出家休暇に入ります(※1)」 シントーは自分の髪に語りかけるように髪を掻き上げると言った。「還俗したら髪が元通り伸びるのを待って新しい仕事を受けます」

 そう離れていない椅子にちょうど座ったのはハッと目を引く長身の若者だ。食事チームの中にいると、チームと話している彼はテー・ダーウィットであることが分かった。皆が言うには、ファンたちがチーム全員に対してフードパックを送ってくれたのだそうだ。「いつも感動するのは、ファンたちです。僕をこんなに愛してくれる人がいることがどれほど大きな価値のあることか。自分を賞賛してくれて、全ての仕事を応援し続けてくれて、励ましを送ってくれる人がいる人生。こんなことは探してもないですよ。どれだけお金があっても買えない」 テーが真心と眼差しで感謝を示すと、ドライヤーの大きな音で私たちとテーとの会話は中断された。

 「実のところ、僕にはそのままになっているプランが色々あります。出家もだし、Film Production科への進学も。僕は裏方の仕事がしたいんです。動画編集者とかDP(撮影監督)とかあるいはカラリストになりたい。できることなら表舞台も裏方も一緒にやっていきたい。DPもする俳優(笑)。そんな時期になれば表舞台の仕事は減らすかも知れません」 シントーはお喋りを続けたい気分にさせる。「僕の夢は俳優として表舞台で働くようになることじゃなかった。僕は有名になりたくなかった(笑)。でも様々な役を演じることで、この仕事を面白いと感じるようになりました。ただ、役が同じような役だったり、同じような仕事ばかりだったら、もっと面白そうな他の分野の仕事をやりたくなるでしょう。でも僕が引き受けて役を演じたシリーズを見てもらったら、それぞれ違うものだと分かりますよ。主演じゃなくてもいいんです。色々な役を求められると、話しているだけでワクワクするような仕事もあったりします。僕はそんな風な気持ちになる仕事がしたいんです」

 メディアからはYシリーズの帝王の異名で呼ばれている。シントーはいつもそんなことはないと否定する。「Yの先駆けは『ミウの歌〜Love of Siam〜』(※2)ですし、続いて『Love Sick (Love Sick The Series รักวุ่น วัยรุ่นแสบ)』(※3)です。それから『SOTUS』(※4)なんですよ。僕はただいくらか家の負担を軽減したかっただけで、ほんのちょっと収入が得られたらオーケーだったんです。それなのに初仕事は大成功した。裏方の仕事に進めなかった(苦笑)。でも最近は、撮影現場に行くとカメラチームとお喋りをするのが好きです」 それで撮影が休止する度にシントーがすぐにカメラマンに駆け寄って話をしているわけが分かった。そして彼はどの現場でもこのようにしているのだ。「そうやって僕は各部門で働いている人のことを理解して、裏方の仕事のことをいつも気に掛けるように最善を尽くします。それで僕はいつでも『はい、P’』って言います。『じゃあ僕はこっちから入ります。編集のときに苦労しないから』『じゃあ僕は声を出すのを控えますね、P’。サウンド編集のときに楽になるから』修士号を取るのにアメリカで映像の勉強をしたいと思っています。海外で働く経験を積んだりなんかもしてみたい」

 海外へ行く前に、チームはヘアメイクを終えたシントーにまずは『ELLE Thailand』の撮影をするために衣装に着替えるよう頼んだのだった。衣装に着替え終わったシントーは、わたしたちとつい先程までお喋りをしていた隣の家の若者とは違っていた。肌から放たれるスターの輝きのせいだ。「僕は、肌の色はこんなふうだし、ルックスもこんな感じ。業界に入った当初は『主演には向かないキャラクターだ』と言われた。背が高くて、色白で、スタイルも良くないといけないのかどうか、それは僕にも分かりません。でも変えられないものについては、考え続けません。だけど例えば演じることについてなら、何度でも話し合います。それでも演技がオーケーでないなら、改善する努力をします。でももし改善しても自分自身にプレッシャーがきつくかかりすぎたら、僕は徐々に緩めます。つまりね、どれだけ一生懸命やり続けたとしても、いつも全ての仕事が上手くいくとは限らないってことです」

 テーからのドライヤーの音が静かになった。残された彼は楽しそうに笑っている。彼の外見からは、大人しくシャイで、はっきりと感情を表さないように見える。テーは彼の実態は完全にそんな風だと言う。しかし、パープという名の画家の役を引き受けた。彼は本名をシンラピンといい、『Paint With Love』でシントーとカップルだった。それで彼は30にしてまさにシャイの壁を打ち砕いたところなのだ。「ミュージシャンだった頃もこんな風にシャイでしたよ。ギターは僕を支えておいてくれる柱のようなものだったし、自分を表現するのを助けてくれる道具なんです。引っ込み思案なところは良くないと思うし、感情もそれほど出さない。僕は自分のそういうところが好きじゃなかった。でも『パープ』というキャラクターは、心のままに話す人。彼は、僕に感情をさらけ出すのは悪いことじゃないと教えに来た。彼は僕の性格を変えに来たんですよ」

 テーは30代になる前はバンドとコンテストを回りながら1日6時間ギターの練習をしていたと話した。会社員として働いていたこともある。ボーイズバンドSBFIVE(※5)のメンバーでもあったし、クレオ男子にランクインしたこともある(※6)。またマージー・ラスリー・バレンシアガ・チラティヴァットと映画でカップルを演じたこともある(※7)。しかし継続的に演技の仕事が入ってこなくなったとき、彼は故郷のコンケーンでレストランを開いた(※8)。お客様に料理をサーブしながら、彼はシリーズ出演の知らせを受けた。『ดาวเกี้ยวเดือน (2Moons The Series)』(※9) だ。「Yシリーズに出るように言われたときは、僕はまだそれが何なのかよく知らなかった。好きなのか嫌いなのかも考えなかった。ただやってみたいと思ったんです。でもそれは人生を変えるものでした。状況を想像してみてくださいよ。3~4ヶ月前まで、僕はまだ店で料理をサーブしていたんです。お客様への料理提供の遅さの問題対策をしていた。それがある日、中国へ行って飛行機を降りたら、どうして警備員が30人もいるんだ?って。楽しくドライブをしていたら突然道路沿いの景色が海から街に変わったような感じでした!」

https://www.ellethailand.com/tae-darvid-singto-prachaya-paint-with-love-interview-elle-december-2021/

注釈

(※1)
2021年10月14日『Paint With Love』クランクアップ
2021年10月16日『Baker Boys』クランクアップ
10月16日から出家前のご挨拶回りを行い、出家式が10月22日です。
(※2)
『ミウの歌〜Love of Siam〜』รักแห่งสยาม 2007年11月公開の映画
(※3)
『Love Sick (Love Sick The Series รักวุ่น วัยรุ่นแสบ)』 2014年放送開始のシリーズ
(※4)
『SOTUS พี่ว้ากตัวร้ายกับนายปีหนึ่ง』2016年放送開始
(※5)
SBFIVE ドラマ『2Moons』から生まれた音楽ユニット。活動時期2017年〜。この辺りの記述は時系列順にはなっていません。
(※6)
雑誌CLEOの企画。2013年の『50 หนุ่มคลีโอ(The CLEO's 50 Most Eligible Bachelors)』に選ばれたのがテーさんのキャリアの始まりだそうです。
参考…https://pantip.com/topic/30881839
(※7)
2016年の映画 『Midnight University มหาลัยเที่ยงคืน』
参考…

Official Trailer

(※8)
Narbaan Sound bar 2015年11月開店

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(※9)
『ดาวเกี้ยวเดือน (2Moons The Series)』2017年5月放送開始

前編はここまでです。

後編はこちら


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