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春眠暁を覚えず

眠い。
とにかく眠いのだ。
昨日は、かつてのインタビューのお客様とライン電話をしながら、いつのまにか一瞬気が遠くなり「ふみさん?だいじょうぶ?」と呼びかけられてはっと我に返った。なんなら、涎もたらさんばかりの勢いだったかもしれない。

春は自律神経が乱れるゆえに、眠いらしいが、それにしても、眠い。
私の場合は、夜勤がはじまり、生活リズムを構築中ということもあるだろうが。

体が疲れている割には、眠りは浅くて、ちょっとした物音でがばっと起きたり、時計を見ると、1-2時間ごとに目が覚めていたり。

先日、実家で死んだように昼寝を貪ったのが、本当に久しぶりの安眠だったかもしれない。

そこにきて、この春の陽気。
黄砂も花粉もなんのその。

猫たちもひねもす1日、心地良さそうに私の横で寝息をたてている。
黒猫は最近、うなされていることがしばしばあり、「うぅ〜〜〜〜?」「うぅうううう?」と、語尾を少しあげた疑問系の唸り声をあげるのも、いとおかし。

眠いのは外に出ても然り。

散歩に出れば、神社で石段に座り、周りの音に耳を済ませているうちに、トロトロと微睡んでしまう。
自然の中で微睡む瞬間は、もう、最高に気持ちが良い。

そこにさらに、あの風がやさしく吹いてきて、ああ、今日も守られているなぁ、と幸せに浸りながら、意識がまた深く、深くへと潜っていく。

このまま太陽の光に溶かされて、バターが溶けるみたいに大地の中に溶け込んで地球と一体になってしまいたい。

そんな思いに誘われるように、また微睡みの中に入ろうとすると、「そろそろ帰らなければ」と現実世界の私が、襟首をつかんで引き戻しに来る。

はいはい。
わかってるってば。

よいしょ、と重たい腰を上げて、ジーンズについた砂を両手ではたき、家路へと一歩踏み出す。

帰り際に、道端の花々に癒されながら、春という季節を楽しめる国に生まれた、幸せを噛み締める。

木の温もりを、風が頬をなでる感触を、ぷんと香りたつ土の匂いを、感じられることが、愛おしい。

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パーソナルライターおくやま・ふみ
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