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「自分らしく生きる」って、つまり?
先日、ある方とのインタビューの中で「自分らしさ」というキーワードが出てきた。
「自分らしく生きる」
「自分らしくありたい」
「自分らしい道」
改めてこの言葉を噛み締めてみると。
自分らしさって、つまりなんだろう?
彼女にそう問いかけると、逆に「ふみさんはどう思いますか?」と聞かれて言葉に詰まった。
少し考えた末、私はこう答えた。
「自分に心地良いことを優先する、ってことかな」
そう答えて、果て、と思う。
自分に心地良いことばかりを優先していたら、人間生活ままらないこともあるよなぁ・・・と。
自分に心地よいことを優先する→相手の希望を却下する→人間関係が円満に行かない、という図式が、頭の中に浮かぶ。
私の中でも、おそらく彼女の中でも、答えは出ぬまま、その日のインタビューは終わった。
そして別の日。
友人とまた似たような話題になった。
自分らしく生きるってなんだろうね?というような話。
彼女はこんなことを言った。
自分にとって心地良いこと、悪いことをまずは「認識する」ことって大事だよね。
実際には心地よいことをいつも選択できるとは限らないけれど、それをわかった上で選択しているか、いないかで、自分の感じ方も変わってくるんじゃないかなぁ。
なるほど、と思った。
確かに、私たちが生きている「リアル」な現実では、我慢、忍耐、思い通りにいかないことが山のようにある。
そして今までの私の例で言えば、「自分が本当はどうしたいか、何が心地よいか」を考える前に「どうすべきか」が先立ち、選択をしてきたように思う。
でも、大事なのは「どういう選択をしたか」ではなくて、「本当は自分がどうしたいか」を認識しておくことなのかもしれない。
例えば、「会社員を続ける」という選択肢を選んだハナコさんとタロウさんの例で考えてみよう。
ハナコさんは、まじめな会社員。シングルマザーで一人娘は高校受験を控えた中学3年生。英語が得意で、将来は語学留学をしたいと夢を膨らませている。
元気だと思っていた両親は、体の不調を訴えることが多くなり、病院へ付き添うために会社を休むことも増えてきた。
ハナコさんの会社員を続ける理由:
「娘の学費や、両親の介護、自分の老後を考えたら、定年まで働いたほうが経済的にも安定する。だからひとまず今は続ける。」
ハナコさんは、本当に自分がどうしたいのか、自分にとって心地よい状態とは何か、を深く掘り下げずに、「そうすることが当然ベストだろう」という勝手な頭の中での認識(思い込み)により、会社員を続けることを選んだ。
一方、タロウさんの場合。
タロウさんは40代。専業主婦の奥さんと、小学生の子供が2人。会社員としては働き盛り、出世街道まっしぐらのレールにのっているサラリーマン。
技術開発に生きがいを感じて、エンジニアとして今の会社に入社したが、年齢と共に当然のように求められる管理職的なポジションに違和感を感じ、自分が本来やりたかった技術開発の仕事とのズレを感じている。
タロウさんの会社員を続ける理由:
「本当は会社員を辞めたい。なぜなら、組織の中の一員、歯車として働くことは自分の本来やりたかったことから遠ざかり、自分の可能性を萎ませ、伸び伸びと生きることを阻害しているから。しかし、今後のことを考えると、経済的、社会的安定は捨てがたい。だから、子供たちが大学を卒業するまでは、組織の中で働く。その後は、自分のやりたい技術開発のエンジニアとしてフリーランスで働く」
この2人が、この後、会社で働く上で、様々な困難や障害にぶち当たった時、どうなるだろうか?
ハナコさんの場合はおそらく、ことあるごとに悶々とするフェーズがやってくるだろう。違和感は感じるが、こうする以外、道はない。
でも苦しい。
愚痴、不平不満、人の悪口、自己嫌悪、そんなものにまみれ、最悪の場合は心の病を患うかもしれない。
自分の内面に向き合った結果、今の選択をしたタロウさんの場合。
もし今後の環境に不満があったとしても、自分はずっとここにはいないこと、本当に自分が目指しているところが見えていることから、おそらく色々なことを「割り切って」乗り切れるだろう。
今の職場であまりに理不尽だと感じることが出てきたら、さっさと違う会社への転職を考えるかもしれない。
一つ言えることは、選択や決断をするときに、自分自身が「なぜそう思うのか」「本当は何を望んでいるのか」をしっかり見極めることは、必然的に目の前のことだけではなく、少し先の未来に目を向けることにつながる。
プランA=人生の目標、だと信じ、そのプランしか持っていないハナコさんと。
自分のゴールはZであると認識し、プランAがダメならプランB、プランCを展開していけるタロウさんと。
さて。
ハナコさんとタロウさん。
あなたにはどちらの人物が「自分らしく」生きているように見えますか?
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