2040年までにペロブスカイト太陽電池20GW導入の詳細！
2023年11月26日、経済産業省が「次世代太陽電池戦略（案）」を発表しました。この戦略では、日本独自の技術として注目されるペロブスカイト太陽電池の普及を加速させ、2040年までに導入規模を20GWに達する目標を掲げています。
ここでは、具体的な数値目標やその背景、技術的な課題について丁寧に解説します。
1. ペロブスカイト太陽電池とは
ペロブスカイト太陽電池は、軽量で柔軟性が高く、低コストで製造可能な次世代型の太陽電池です。薄膜状の構造を持ち、建物の屋根や壁面、さらには既存の太陽電池パネルの補完用途としても適用できる可能性があります。現在の結晶シリコン型に比べ、製造コストを大幅に削減できる点が注目されています。
2. 戦略の目標値とスケジュール
2040年までの導入目標
導入規模：20GW（主に屋根上設置が中心）
屋根上設置：19GW
壁面設置：1GW
コスト目標
設置費用：14万円/kW
LCOE（均等化発電原価）
2025年までに：20円/kWh
2030年までに：14円/kWh
2040年に：10～14円/kWh
（自立的に普及可能なコスト）これらの目標達成により、公共施設や企業の屋根に設置される太陽電池システムの導入が促進される見込みです。
3. 政策支援と研究開発の取り組み
グリーンイノベーション（GI）基金の活用
経産省は、ペロブスカイト太陽電池の研究開発と実証を支援するため、GI基金を活用しています。このプロジェクトに参加している企業には、次のような日本企業が含まれます。
積水化学工業 エネコートテクノロジーズ カネカ 東芝 アイシン
さらに、パナソニックやリコー、YKK APなども協議会に参加しています。これらの企業は、フィルム型ペロブスカイト電池や新たなタンデム型技術の開発に注力しています。
官民協議会でのコスト試算
LCOEの試算値は以下の要素を基に計算されています。
設備利用率：14％
稼働期間：20年
屋根上太陽光の工事費や維持費 これらの試算値に基づき、費用削減の目標値が設定されています。
4. タンデム型太陽電池の開発
タンデム型の概要
タンデム型は、既存の結晶シリコン型太陽電池とペロブスカイト型を組み合わせた高効率型の太陽電池です。この技術により、既存のパネルを効率的に置き換えることが可能となります。
導入見通し
2032年以降、毎年5～11GWの置き換えが進む
2040年までに累計66.8GWの導入が可能
市場規模は屋根上設置の約3倍以上
課題
中国企業はガラス基板を用いたタンデム型の量産技術で先行しています。この分野で日本企業が競争力を維持するためには、強力な政策支援と国内市場の活性化が不可欠です。
5. ペロブスカイト太陽電池の潜在市場
建物設置の可能性
ペロブスカイト太陽電池は、柔軟性を活かして屋根や壁面に簡単に設置できるため、公共施設やRE100（再生可能エネルギー100％を目指す企業）での利用が期待されています。
5GW：公共施設
15GW：企業など環境価値を重視する導入先
潜在市場の規模
屋根上市場は約20GWですが、タンデム型を含めた潜在市場はその3倍以上に達する可能性があります。これにより、ペロブスカイト技術のさらなる普及が期待されています。
6. 具体的な導入手法と支援策
値差補填制度の活用
水素やアンモニアで採用されている値差補填制度が太陽電池にも適用される予定です。これにより、既存技術との価格差を補う仕組みが導入されます。
FIT/FIP制度の改定
FIT（固定価格買取制度）やFIP（フィード・イン・プレミアム）において、余剰電力を電力料金と同単価で買い取る「自家消費を妨げない価格水準」での新枠設立が検討されています。
7. 日本の競争力と未来への展望
競争力の課題
中国企業との競争が激化する中、ガラス基板を用いた技術開発や価格競争が課題です。特に、中国企業はタンデム型の技術で既存の市場を席巻しつつあります。
政策の転換点
今回の「次世代太陽電池戦略」は、タンデム型の開発方針を正式に示した点で重要な政策転換となります。これにより、日本企業の技術力強化と市場拡大が期待されています。
8. 結論と今後の展望
今回の戦略で示された2040年の「20GW導入目標」は、持続可能なエネルギー社会への大きな一歩です。特に、タンデム型の技術進化により、さらなる市場拡大と国際競争力の向上が期待されます。一方で、中国勢との競争を勝ち抜くためには、国内市場の強化や政府の支援策の充実が鍵となります。
ペロブスカイト太陽電池は、軽量で低コスト、環境適応性の高い次世代技術として、未来のエネルギー社会を支える柱となるでしょう。これからの技術革新と市場拡大に注目していきたいところです。
ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。共にこの変化を乗り越え、再生可能エネルギーの普及に貢献していきましょう。
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