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再エネ賦課金減免制度の厳格化!企業への影響と省エネ再エネ普及のチャンス

1、再エネ賦課金とは?

再生可能エネルギー(再エネ)賦課金は、再エネの導入を促進するために電気料金に上乗せされる費用です。この賦課金は、電力会社が再エネ発電所から購入する電力の費用を、固定価格買取制度(FIT)に基づいて賄うもので、最終的に電力消費者が負担しています。再エネの導入が進むにつれて、賦課金の総額も増加しており、特に電力を大量に消費する企業にとっては大きな負担となります。

2、再エネ賦課金減免制度とは?

再エネ賦課金減免制度は、電力を多く消費する企業に対し、再エネ賦課金の一部を免除する措置です。特に、電力使用量が売上高に占める割合の大きい業界、例えば化学や鉄鋼といった製造業に適用されており、これまで多くの企業が減免を受けてきました。

この制度の目的は、国際競争力を維持するために、国内外の企業間でのエネルギーコストの不公平を軽減することです。企業はこの減免を受けることで、電力コストの負担を軽減しつつも、省エネへの取り組みを進めることが求められています。

3、減免適用の要件

減免制度を利用するためには、企業が一定の省エネ基準を満たす必要があります。現行制度では、次の2つの条件のいずれかを満たすことが求められています。

  1. 過去5年間にわたってエネルギー消費量を年間1%以上削減した実績があること

  2. 今後3年間で年間1%以上の削減を達成する投資計画を立てること

これにより、企業は実際に省エネに取り組み、再エネ賦課金の負担軽減のための正当な理由を示す必要があります。しかし、実績ではなく将来計画に基づいて認定された場合、必ずしも計画通りに省エネが達成されないケースもあり、その点が問題となってきました。

4、制度の見直し 省エネ実績を重視

経済産業省は、2025年度からこの減免制度を厳格化する方針を発表しました。これにより、企業が減免措置を受けるためには、過去の省エネ実績がより重視されることになります。従来は将来の省エネ計画が重視されていたため、計画だけで減免が認められるケースが多かったものの、今後は過去の具体的な成果が求められます。

この見直しによって、計画倒れに終わることなく、企業が実際に省エネを実現しなければならないプレッシャーが強まります。経済産業省は、この制度変更によって再エネ賦課金の負担の公平性を確保し、再エネ普及に寄与することを狙っています。

5、減免率と認定のプロセス

減免率は事業の種類や省エネの取り組み状況によって異なり、2割から最大8割までの幅があります。これにより、エネルギー多消費企業でも、その省エネ努力に応じた負担軽減が可能となります。

申請プロセスとしては、まず国の認定を受け、その後電力会社へ減免申請を行います。申請の対象となる企業は、年間の電力使用量が100万kWh以上であり、申請事業所における電気使用量の半分以上をその事業が占めている必要があります。また、原単位の改善(生産単位あたりのエネルギー消費量削減)を進めていることが条件となります。

6、企業にとっての影響

この制度の厳格化により、電力消費が多い企業にとっては、省エネ実績の報告やエネルギー消費削減に向けた対策が一層重要となります。エネルギー効率の改善が求められる中で、企業は単にコスト削減のためだけでなく、持続可能なエネルギー利用を進める必要が出てくるでしょう。

また、賦課金が増加することが予想されるため、これに対応する省エネ技術や再エネ導入への投資が企業戦略の一環としてますます重要視されることになります。再エネへのシフトが遅れている企業は、今後のエネルギーコスト負担の増大によって競争力を失う可能性があるため、早急な対応が求められています。

7、省エネ、再エネ普及事業者にとってのビジネスチャンス

一方で、この制度の厳格化は、再エネ普及を推進する事業者にとって大きなチャンスです。企業が省エネ技術や再エネ導入に投資せざるを得ない状況が生まれるため、エネルギー効率の改善を支援するソリューションを提供する企業にとっては、ビジネスチャンスが広がります。

再エネの導入をサポートするサービスや、省エネ効果を最大化する技術は、今後ますます求められるようになるでしょう。また、再エネ関連技術や設備に対する需要が拡大することで、新たな市場の創出が期待されます。

まとめ

再エネ賦課金の減免制度の厳格化は、企業にとって省エネに対する本格的な取り組みが必要となる時代の到来を意味します。エネルギー多消費企業にとって、再エネの導入や省エネ技術の採用は、今後の競争力維持に不可欠な要素となるでしょう。また、再エネ普及事業者にとっては、この変化は新たな成長の機会となり得ます。

今後、企業が環境に配慮しつつコスト効率を高めるためには、エネルギー管理の戦略を一層強化する必要があります。そして、再エネの普及は、持続可能な社会の実現に向けた大きな一歩となることでしょう。

再エネ賦課金、減免制度の適用厳しく 省エネ実績を重視 -
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA167X00W4A810C2000000/

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