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卒FIT電力の活用方法と疑問点について


袋井市が推進する「家庭用太陽光発電の余剰電力を小中学校・幼稚園等で活用する事業」は、卒FIT(固定価格買取期間が終了した太陽光発電設備)の電力を地域の公共施設で活用することで、地域社会の持続可能性を高めることを目指しています。これは、2009年から始まった家庭用太陽光発電の余剰電力買取制度の買取期間が終了し、再生可能エネルギーの新たな活用方法が求められる中で生まれた取り組みです。

事業の概要と背景

まず、この事業の概要を簡単に説明します。袋井市では、卒FIT電力を市内の小中学校や幼稚園といった公共施設で活用するために、鈴与商事株式会社と連携しています。鈴与商事は、卒FIT電力を10円/kWh(税込)で買い取り、市内の公共施設に供給します。このプロジェクトは、地域で発電された電力を地域内で消費する「地産地消」を促進するものです。鈴与商事と袋井市の連携により、公共施設の運営が実質再生可能エネルギー100%で行われることになります。

卒FIT電力のメンテナンスについて

しかし、この取り組みにはいくつかの疑問が浮かび上がります。その一つが、卒FIT電力を供給する発電設備のメンテナンスです。発電設備のメンテナンスは、基本的に設備の所有者、すなわち家庭や企業の責任とされています。しかし、これは適切な対応でしょうか?

太陽光発電設備のメンテナンスは、発電効率を維持するために非常に重要です。パネルの汚れや劣化、パワコンの故障など、メンテナンスが不十分であれば、発電量が低下し、供給される電力が減少するリスクがあります。その結果、公共施設の電力供給に支障をきたす可能性もあります。設備のメンテナンスを完全に所有者任せにするのではなく、事業者側でもサポートや定期点検を行う仕組みが必要ではないでしょうか。

鈴与電力の売電価格と利益構造

次に、鈴与商事株式会社が卒FIT電力を10円/kWhで買い取っている点についてです。買い取った電力は袋井市の公共施設に供給されますが、その売電価格や利益構造はどのようになっているのでしょうか?

鈴与商事が卒FIT電力を買い取る価格は10円/kWhですが、この電力を公共施設に供給する際の売電価格や、鈴与商事がどれだけの利益を上げているのかは明確にされていません。これにより、地域社会や設備所有者にどのように利益が還元されるのかが不透明です。持続可能性を掲げるのであれば、こうした利益構造や売電価格についても透明性が求められます。

持続可能な運営の意味と課題

袋井市の取り組みは、「公共施設が持続可能な形で運営されるようサポートしています」という表現で説明されています。しかし、この「持続可能な形」というのは具体的にどのような意味を持つのでしょうか?

再生可能エネルギーを利用することは確かに持続可能性を高める手段ですが、その運営が本当に持続可能であるためには、エネルギー供給の安定性やコスト、環境への配慮だけでなく、経済的な持続可能性も考慮する必要があります。つまり、電力の供給が安定しているか、長期的に見て経済的な負担が少ないか、そして地域社会全体に利益が還元されるかどうかが重要です。

地域社会への貢献と今後の課題

最後に、この取り組みが地域社会にどのように貢献しているのかを考えてみましょう。地域内で生産された電力を地域内で消費する「地産地消」のモデルは、地域のエネルギー自給率を高め、外部依存を減らす点で大きな意義があります。また、再生可能エネルギーを積極的に利用することで、温室効果ガスの排出削減にも寄与します。

しかし、地域社会に本当に貢献するためには、単に再生可能エネルギーを利用するだけでなく、設備のメンテナンス体制の強化や利益構造の透明化、そして市民への十分な情報提供が不可欠です。これにより、地域全体が持続可能な形で発展し、より多くの市民がこの取り組みに参加できる環境が整います。

まとめ

袋井市と鈴与商事が連携して進める「卒FIT電力の地産地消事業」は、持続可能なエネルギー利用を推進し、地域社会に貢献する重要な取り組みです。しかし、発電設備のメンテナンスや売電価格、利益構造など、まだ解決すべき課題も残されています。これらの課題に取り組むことで、より持続可能で透明性のある事業運営が可能となり、地域社会全体の利益につながるでしょう。

今後、袋井市や鈴与商事がどのようにこれらの課題に対応していくのか、引き続き注目していきたいと思います。
#卒FIT #再生可能エネルギー #地域貢献 #持続可能な社会 #袋井市


家庭用太陽光発電の余剰電力を小中学校・幼稚園等で活用します/袋井市 https://www.city.fukuroi.shizuoka.jp/soshiki/16/2/shinene/12577.html

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