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NEDOが次世代型太陽電池の量産技術開発に着手。未来の太陽光発電に向けた挑戦

NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が、次世代型太陽電池であるペロブスカイト太陽電池の量産技術開発とフィールド実証を本格的に開始しました。この取り組みは、政府の「2050年カーボンニュートラル」目標を達成するための重要なステップです。

NEDOが目指すのは、量産技術の確立と、耐荷重の小さい場所(屋根や高層ビルの壁面など)での実証実験を通じて、ペロブスカイト太陽電池の早期社会実装を進めることです。


1、ペロブスカイト太陽電池とは?

ペロブスカイト太陽電池は、次世代型の太陽電池として注目されています。その特徴は、軽量性柔軟性にあります。従来のシリコン系太陽電池とは異なり、薄くて軽いため、曲面や壁面に設置が可能です。特に、耐荷重が小さい屋根や高層ビルの外壁など、シリコン系では設置が難しい場所に応用できる可能性があるため、都市部のエネルギー供給の新たな手段として期待されています。

また、ペロブスカイト太陽電池は、従来の太陽電池に比べて製造コストが低く、今後の発電コスト削減にも寄与する可能性があります。NEDOは、この技術の早期実装によって、日本国内の太陽光発電市場の競争力を強化し、さらには世界市場への進出も見据えています。

2、NEDOの新たな挑戦「次世代型太陽電池実証事業」

NEDOが今回着手したのは、「次世代型太陽電池実証事業」です。このプロジェクトは、ペロブスカイト太陽電池の量産化技術と、実際に社会に導入するためのフィールド実証を並行して進めるものです。

 2.1. 量産技術の開発

このプロジェクトの主要な焦点の一つが、量産技術の確立です。NEDOは、ペロブスカイト太陽電池の大量生産を可能にする技術の開発に取り組んでおり、その中でも特に、ロール・ツー・ロール(R2R)方式と呼ばれる製造手法を活用しています。

R2R方式とは、ロール状の材料に連続して製造プロセスを適用する方法で、スピードと効率が非常に高いことが特徴です。この技術を用いることで、ペロブスカイト太陽電池を安定的に大量生産し、製品の品質を確保することが可能になります。NEDOは、さらに歩留まりを高め、スループット(単位時間あたりの生産量)を向上させる技術開発にも力を入れています。

 2.2. フィールド実証

量産技術の開発と並行して、NEDOは国内外の市場を見据えたフィールド実証も行っています。フィールド実証とは、実際にペロブスカイト太陽電池を使用する環境で、その性能を確認する実験です。具体的には、軽量で柔軟性のあるペロブスカイト太陽電池の特徴を活かし、耐荷重の小さい屋根や高層ビル壁面など、従来の太陽電池では設置が難しい場所での実証実験を行います。

このような実証を通じて、太陽電池の発電効率や耐久性、設置コストなどを検証し、さらに必要に応じて改良を行うことで、実用化に向けた課題を解決していきます。

3、グリーンイノベーション基金事業の概要

NEDOが進めるこのプロジェクトは、政府が2020年に掲げた「2050年カーボンニュートラル」を実現するための一環として行われています。経済産業省は、2兆円規模のグリーンイノベーション基金を創設し、エネルギー分野や産業構造の転換を支援するための取り組みを加速させています。

グリーンイノベーション基金事業は、研究開発から実証、社会実装までを支援する長期的なプロジェクトで、2050年までの温室効果ガス削減目標を達成するための技術革新を促進する役割を担っています。今回の「次世代型太陽電池実証事業」も、その重要な一翼を担っているのです。

4、予算と期間

「次世代型太陽電池実証事業」には、NEDOから378億円が投じられ、2024年度から2030年度までの7年間にわたり実施されます。この長期的な視点での技術開発と実証が、ペロブスカイト太陽電池の早期実装を支えることになります。

5、日本の太陽光発電産業への影響

NEDOのこのプロジェクトは、日本の太陽光発電産業の競争力を強化するための重要なステップです。日本は太陽光発電において既に世界有数の技術力を持っていますが、シリコン系太陽電池に依存しているため、コスト競争力や設置場所の制限が課題となっていました。

ペロブスカイト太陽電池は、このような課題を克服する可能性があり、特に都市部でのエネルギー供給手段として期待されています。軽量で柔軟な特性を活かして、高層ビルや曲面の壁面など、シリコン系では困難だった場所への設置が容易になるからです。

さらに、コスト面でも優れたペロブスカイト太陽電池が普及すれば、発電コストが大幅に削減され、エネルギーコストの低下にもつながります。これにより、日本国内の再生可能エネルギーの普及が加速し、2050年カーボンニュートラル達成に向けた大きな一歩となるでしょう。

6、今後の展望

NEDOは、今後も「次世代型太陽電池実証事業」を通じて、ペロブスカイト太陽電池の量産技術の確立と、フィールド実証を推進していきます。さらなる公募や研究開発が続けられる予定であり、早期の社会実装が進むことが期待されます。

これにより、ペロブスカイト太陽電池は日本国内のみならず、世界市場でも重要な存在となるでしょう。日本の技術力が、再生可能エネルギー分野においてどのように進化していくのか、今後の動向に注目です。

まとめ

NEDOの次世代型太陽電池実証事業は、未来の太陽光発電に向けた大きな挑戦です。量産技術の開発と実証実験を通じて、ペロブスカイト太陽電池が社会に普及する日が待ち遠しいですね。今後の進展を楽しみにしましょう。

グリーンイノベーション基金事業で新たに「次世代型太陽電池実証事業」に着手しました、
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000113.000135644.html
@PRTIMES_JPより

#NEDO #ペロブスカイト太陽電池 #再生可能エネルギー #グリーンイノベーション #カーボンニュートラル

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