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企画開発サプリ #3

それでは今回は玩具会社における「企画書」についてお話したいと思います。

企画書とは?

皆さんの会社、業務ではどのような企画書を作成、使用していますでしょうか?業態、業務によって様々だと思います。データを分析した導入部分から始まりコンセプト、テーマ、デザインを含めたビジュアル資料から商品展開、マイルストーン…様々な情報が盛り込まれている資料は圧巻ですし、作ることが出来ればそれはとても素晴らしい経験とスキルになると思います。それでは、玩具会社、カプセルトイにおける企画の提案はどのように行うのでしょうか?

これでも、企画書?

企画書

1分くらいでマウスで描いた絵です。勿論、会社毎に提案のルールやフォーマットなどはあると思いますが、私の会社のあるヒット商品は、こんな感じの白黒の1枚ペラだけでした。ではなぜ、これが企画書たるのかを分解してみましょう。

この企画書(仮)を、あなたは社内にどうプレゼンするでしょうか?実は、それが企画開発において大切なスキルになります。

恐らく、一般的な会社の会議で、上の絵のような企画書が提出されたら、まず社内はざわつくでしょう(笑)「意味が分からない」「何がしたいのか」そういった興味を喚起させるという意味では、よりシンプルな企画書のほうが効果的です。この絵一枚を元に

①コンセプトは「餌や仲間を待っている時間が長すぎて本当に首が長くなってしまった動物たち」
②仕様は「SNS映えするようにデスクに置けるサイズのフィギュア」
③ターゲットは「10~20代の男女」
④ラインナップは「サル、犬、猫、羊、鳥」
⑤デザインは「ディフォルメをかけるのかリアルな表現にするのか」
⑥価格は一回いくらなのか
⑦想定される売り場はどこなのか

これらの内容をプレゼンテーションし、納得、興味を持ってもらえることが出来れば、企画提案としては成立します。営業の立場から見れば「どうしてこのラインナップなのか」「10~20代に人気の動物のランキングは無いのか」「どこに対してセールスをかければいいのか」など、商品化した際の補足、保険的な情報を求めていますので、それがフォロー出来ればベターですが、商品の面白さというのは「企画者の感性」に勝るモノはありません。なので、どんな企画書でも、自信を持ってプレゼンすることが重要です。首の長いサルが商売になりそうであれば、企画者の勝ちなのです。

大事なのはキチンと「伝えること」

上記の通り、企画書というのは「企画を伝えるための手段」であり「伝えること」が出来るのであれば、どのような形式でも問題無い。というのが玩具、特にカプセルトイにおいての企画書の本質です。そのため、企画者によっては全ての情報を網羅して反論を与える隙も無いくらいリサーチした情報を纏めた企画書も間違いではありません。コンセプトを伝えるためのアプローチの手段の一つであるという事を覚えていただければ幸いです。

商品購入のストーリーを考える

企画、企画書において最後にとても重要なポイントをお伝えします。それは「買ってくれた人が、その商品をどのように使ってどんな気持ちになるのか」をよく考える事です。
「私がカワイイと思うから売れる」「俺が好きだから商品化したい」
これでは自信ではなく欺瞞になってしまいます。自分が作った商品をどんな人がどうして購入し、どのように使って、遊んでもらい、どんな気持ちになるのか。それらを深く考えていくと商品コンセプトや仕様は自ずと固まっていくでしょう。

そしてこれは実は、前回の企画開発サプリ#2のマーケティングの手法だという事に気付いたかたもいらっしゃるかも知れませんね。

最近、私の社内でも良く出てくるのは「SNS映えしそう」「バズりそう」というネタです。これらはヒット商品になり得るには結果的には必要ですが、最初から狙って作っていくと消費者には上手く届かないモノです。「これをSNSに上げた時、どんな気持ちで誰に共有したいのか」「面白さがシンプルに伝わるような仕組みになっていて、それがちゃんと伝わり楽しんでもらえるか」を丁寧に考察していくことが、企画の本質であり、醍醐味です。目先の話題性というは瞬発的に消費されるツールにしかなり得ません。

企画書は企画者によって形を変える

最後にまとめ的な言葉でお話しますと「企画書」はその企画によって100Pの膨大な資料にもなり得るし、ウィットにとんだキャッチコピー1行にもなり得ます。あなたが伝えたいコンセプトが最善の形で相手に伝わればそれで良いのです。ただし、企画書がシンプルになればなるほどそれを伝えるプレゼン能力と情熱、そして経験は絶やさず積み重ねていく必要があることは忘れないでいただきたいです。

という訳で今回は「手書きペラ1枚だけで出来るだけ短い文章で企画書をプレゼンする」という私にとっても挑戦的な取り組みでした。上手く伝わっていれば幸いです。

次回はキャラクターライセンスのお話などが出来ればと考えています。

ありがとうございました。

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maki.kouyouju
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