愛がちゃんとある
アマゾンで本を選んでいたら、「あなたへのおすすめ」に、芸人の矢部太郎さんの「大家さんと僕」という漫画が挙がっていました。
ベストセラーということで、その名前だけは知っていたのですが、本当にしみました。
お笑い芸人の矢部さんがが住むことになった一軒家には、一階に大家さんが住んでいました。
87歳の上品で小さなおばあさん。
矢部さんが帰ってきたら「お帰りなさい」と電話をくれたり、雨の日は勝手に部屋に入って洗濯物を取り込み、玄関に並べていてくれたり…。先輩に話すと「こわ!軽いホラーやな」という反応。
矢部さんも、最初のうちは大家さんの距離感に戸惑いを感じていましたが、
毎日きちんとした服装で朝早くゴミを出し、食事も三食自分で作り、
毎日同じ時間に台所からいい音と匂いが漂ってくる、大家さんのきちんとした暮らしぶりが描写され、
読んでいる私自身、大家さんに対する信頼の心が開いていくのが分かりました。
矢部さんがお笑い芸人としてプロレスラーに投げ飛ばされた番組を観た大家さんが「なんであんな仕打ちを…矢部さんはなにも悪いことしていないのに」と言って、「元気を出して」と言ってお米をくれたエピソード。
大家さんの飾らない暖かい人柄に少しずつ矢部さんの心が開いていくのが読んでいてよく分かりました。
世代の違うお友達…大家さんは、亡くなる直前に、病院で、お見舞いにきた矢部さんを、みんなに「血のつながっていない親族」と紹介しました。
大家さんと矢部さんは、少しずつだんだん仲良くなっていきました。こんな、関係を誰かと紡ぐことができたら、最高だな。
大晦日は「大家さんと過ごしたいから」という理由で仕事をセーブするというくらいに、…まるで本当の親のよう。
うらやましい関係性だなあと思って、読みながら笑って笑って、いつの間にか泣いてました。
すごく離れた世代の人と話していると時々感じますが、
愛想笑いをせず、ただそのままそこにいてくれるように思えることがあり、
むしろそんな感じが心地よいと感じます。
それは、世代ではなく、単に人間同士の相性の問題なのかもしれませんが…
歳が近いと、色々気兼ねしてしまいます。
歳も性別も違うけれど、お互いを大切にしあう関係に心満たされました。