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0008 クリストファー・ノーラン監督『TENET テネット』聖地巡礼

2023‎年5‎月‎5‎日(金)にエストニアのタリンで2024年4月28日(日)にイタリアのカンパニア州サレルノ県ラヴェッロとアマルフィでクリストファー・ノーラン監督『TENET テネット』(Tenet)の聖地巡礼をしてきました。

この作品の撮影は世界各地で行われました。
エストニアとイタリア以外のロケ地は、デンマークの海、ノルウェーのオスロ、イングランドのロンドンと海、インドのムンバイ、アメリカのカリフォルニア州ロサンゼルス国際空港※オスロ空港の設定、カリフォルニア州は他にもシベリアの放棄された封鎖都市「スタルスク12」として撮影された荒野など。

満席の観客で賑わうウクライナのオペラハウスでテロ事件が勃発。罪もない人々の大量虐殺を阻止するべく、特殊部隊が場内に突入する。部隊に参加していた主人公(演:ジョン・デヴィッド・ワシントン)は、仲間を救うため身代わりとなって捕らえられ、毒薬を飲まされてしまう…しかし、その薬は何故か鎮痛剤にすり替えられていた。昏睡状態から目覚めた主人公はフェイと名乗る男(演:マーティン・ドノヴァン)からミッションを命じられる。それは、未来からやって来た敵と戦い、世界を救うというもの。未来では❝アルゴリズム=時間の逆行❞と呼ばれる装置が開発され、人や物が過去へと移動できるようになっていた。ミッションのキーワードは〈TENET テネット〉。「その言葉の使い方次第で、未来が決まる」。謎のキーワード〈TENET テネット〉を使い、第三次世界大戦を防ぐのだ。突然、巨大な任務に巻き込まれた主人公。彼は任務を遂行する事が出来るのか?

オープニングのテロリストによる立て籠り&CIAスパイ救出シーンは、ウクライナのキエフ(現キーウ)のオペラ・ハウスに設定されたエストニアのタリンのリンナハル(タリン市民ホール) Linnahall です。
Tallinna Linnahall – Vikipeedia (wikipedia.org)
91年8月までの旧ソ連占領下での旧称はウラジミール・イーリッチ・レーニン文化スポーツ宮殿 the V. I. Lenin Palace of Culture and Sports というように文化施設の他にアイスリンクも併設されてました。
映画本篇では閉鎖されたコンサートホールが使われています。※建物内には入れませんでしたので巡礼画像はありません。

ローマ文字&キリル文字併記の「国立オペラ・ハウス」表記の左にウクライナの紋章
訪問時は封鎖されてました

「主人公 Protagonist」(※公式WEBサイトやパンフレットでは「名もなき男」と表記=映画本篇を最後まで鑑賞すると「主人公」というネーミングの方がしっくりくると思います)という役名の人物(演:ジョン・デヴィッド・ワシントン)が敵対組織に拉致されて拷問される貨物ヤードはコルピ貨物駅 Kopli Rail Freight Terminal で撮影されました。私が訪問した際には機関車も貨車も1両も見当たりませんでした。

貨物駅ながら機関車も貨車も全くありません
主人公は自決用の毒薬を飲んで画面はフェイドアウトして「TENET」のタイトルが登場します

主人公が謎の組織「TENET」にスカウトされて、弾痕から拳銃の中へと「逆行する弾丸」と時間を逆行させる装置「アルゴリズム」のレクチャーを受ける研究所の撮影場所は元ハルジュ裁判所 Harjumaa kohtuhoone : Liivalaia 24, Tallinn, Estonia です。
Eesti arhitektuuripreemiad

ノルウェーのオスロ空港の敷地内にある美術品保管倉庫=フリーポート Oslo Freeport のロケ地となったのはKUMU美術館 Kumu kunstimuuseum です。
Kumu – Vikipeedia (wikipedia.org)
Kumu kunstimuuseum - Eesti Kunstimuuseumi filiaal - Avaleht (ekm.ee)
ちなみに「KUMU」とはエストニア語の「美術館 museum of art」 kunsti muuseum の略語。
なお、映画本篇で撮影され、私が聖地巡礼したエリアはすべて美術館の無料入場ゾーンです。
映画本篇の中ではこの倉庫の中には回転ドアで繋がるガラスで隔たれた2つの部屋があり、この回転ドアは「アルゴリズム」を利用したタイムマシンとなっています。※IMDbによればこの時間反転部屋 time inversion room はLAのバーバンクにあるワーナー・ブラザーズ・スタジオではなくてLAのサンセット大通りにある旧ワーナー・ブラザーズ・スタジオ(現サンセット・ブロンソン・スタジオ Sunset Bronson Studios)でセットが組まれたとのこと。Sound Stages for Production | Sunset Studios

メインエントランスには謎のオブジェが…
私の立っている後方右側がチケット売り場で後方左側がコインロッカー

アルゴリズムで過去と現代を行き来するロシア人武器商人アンドレイ・セイター(演:ケネス・ブラナー)に接触するため、主人公がセイターの妻キャサリン・“キャット”・バートン(演:エリザベス・デビッキ)と接触した場所はイタリアのラヴェッロのヴィラ・チンブローネ Villa Cimbrone 内の無限のテラス Terrazza dell'Infinito。
Hotel Villa Cimbrone - Ravello - Costiera Amalfitana
Villa Cimbrone - Wikipedia

同一ロケ地作品である『ワンダーウーマン』Tシャツを着用していて申し訳ございません

主人公はセイターに興味をもって貰うために、アマルフィのハーバーからキャットを自分のボートでセイターの船に連れて行きます。

セイターからディナーに招待された主人公はラヴェッロのワーグナー通り Via Richard Wagner を歩いてレストランに向かいます。

映画本篇では壁左側のヴィラ・ルーフォロの四角い塔が消されてます
聖地巡礼画像では壁左側にヴィラ・ルーフォロの四角い塔が写り込みます

翌日、主人公とセイターとキャットはアマルフィからセーリングをします。

主人公とニール(演:ロバート・パティンソン)はウクライナから運搬されるアルゴリズムの「プルトニウム241」をエストニアのタリンで強奪しようとします。実際に走行予定の道を歩いて計画を立てるのですが、その通りがパルヌ街道 Pärnu mnt.です。
Pärnu maantee – Vikipeedia (wikipedia.org)

残念ながら映画本篇撮影ポイントは工事中で自分入り画像の撮影が出来ませんでした
タイミングよくトラムが写り込みました!

セイターのアジト兼(タリンの)フリーポートとしてロケされたのはパルジャッサーレ港 Paljassaare sadam という貨物港の本館です。
Paljassaare sadam – Vikipeedia (wikipedia.org)
このアジトにも2つの回転ドアとガラスで隔てられた時間反転部屋 time inversion room のが併設されています。
映画本篇では建物のロゴと同じ青いフォントで「FREEPORT」と掲出されてますが、本物のパルジャッサーレ港は税関も併設された保税施設で「フリーポート」どころではありません。今回の聖地巡礼で最も訪問難易度が高かったのがこの場所で、(いつもの聖地巡礼と同様)事前アポイント無しで訪問したところ、守衛室でロシア人の守衛さんに「パーミッションはあるのか?」と止められて、ガイドさんに頑張ってもらってエストニア人のボスに許可を貰って港湾施設に入れて貰いました。エストニア人のボスは「ちょうど船が到着してない時間帯で良かったよ!」「ロケのときの事とか、僕は立ち会ってないけど、何でも聞いてよ!」と話してくれるイイ人で「今から本館内に戻っちゃうけど、いくらでも写真撮っていいよ!」と言って歓迎してくれました。

「FREEPORT」は撮影時に美術スタッフさんが取り付け
本物は関税の徴収を一時留保する保税エリアなので「FREEPORT」は取り外しされてます

という訳でいよいよ事前に計画を立てたパルヌ街道 Pärnu mnt. からカーチェイスはスタートします。映画本篇で走行する区間はタリントラム3番・4番南方面のVabaduse väljak電停(を過ぎた地点)~Kosmos電停~Vineeri電停~Tallin-Väike電停(に到着する前のエルロン(旧エストニア国鉄) AS Eesti Liinirongid の陸橋を越えた場所)です。

タリンのトラムVineeri電停脇を通過します
Vineeri電停にはトラムが停車中
この陸橋の桁下はエルロンの線路です

消防車に乗り換えて、北に向かうJ・スムリ通り J.Smuli tee を右折してラーグナ通り Laagna tee (東方面)に侵入します。
Laagna tee – Vikipeedia 

ごめんなさい 映画本篇とは中央分離帯を挟んで反対側の車線です
右側の建物の「anni」に注目
右側の建物の「anni」が目印
左奥の建物は映画本篇で進路方向&車線を問わず何度も登場します
ごめんなさい 映画本篇とは中央分離帯を挟んで反対側の車線です
ごめんなさい 映画本篇とは中央分離帯を挟んで反対側の車線です
映画本篇ではカーチェイスに気を取られて気付きませんが、実は先にも登場した「anni」の建物

アルゴリズムの「プルトニウム241」の強奪にしくじった主人公が拉致されるアジトは、再度登場のパルジャッサーレ港 Paljassaare sadam。

TENETの仲間から救出された主人公は、過去と未来を行き来きする「挟撃作戦」で逆行してハイウェイに戻ります。まずはラーグナ通り側道のパエカーレ通り Peakaare を走行します。

逆行状態なのでラーグナ通り Laagna tee を逆走します。エストニアは右側通行で、中央分離帯を挟んだ反対車線を逆走する事は、勿論、交通違反になります。今回の聖地巡礼では本来走行すべき車線を通常走行しておりますのでどうかご容赦ください。

映画本篇では進路方向を逆走しています
ごめんなさい 映画本篇とは中央分離帯を挟んで反対側の車線です
ごめんなさい 映画本篇とは中央分離帯を挟んで反対側の車線です
ごめんなさい 映画本篇とは中央分離帯を挟んで反対側の車線です
ごめんなさい 映画本篇とは中央分離帯を挟んで反対側の車線です
ごめんなさい 映画本篇とは中央分離帯を挟んで反対側の車線です
ごめんなさい 映画本篇とは中央分離帯を挟んで反対側の車線です
ごめんなさい 映画本篇とは中央分離帯を挟んで反対側の車線です
ごめんなさい 映画本篇とは中央分離帯を挟んで反対側の車線です

主人公よりも「挟撃作戦」の経験値で上回るセイターは、時間の前と後ろから挟み撃ちする形で主人公の乗った車を横転させます。主人公は爆破炎上する車に(逆行状態のため火傷ではなくて)低体温症で取り残されます。

「anni」の建物の真ん前の反対車線で車はひっくり返るのです
映画本篇とは中央分離帯を挟んで反対側の車線です という訳で右側は「anni」の建物
しつこくて申し訳ございませんが、 映画本篇とは中央分離帯を挟んで反対側の車線です
この聖地巡礼画像だけは本来の走行車線で撮影してます!

TENETの主要メンバーで(ご自身はTENETの黒幕だと認識している)インドのムンバイ居住のプリヤ(但し本当の黒幕は別にいた事が本篇ラストで明らかに)と主人公がコンタクトを取る場所はマーリヤマエ・メモリアル Maarjamäe Memorial : Pirita tee 74, Tallinn, Estonia
海岸の高台に19世紀半ばにロシア将校の為に建てられた夏の宮殿を中心とした庭園で旧共産圏らしい幾つかのモニュメントがあります。
Maarjamäe memoriaal – Vikipeedia (wikipedia.org)
Eesti Ajaloomuuseum

中央奥のタリン湾を挟んだ対岸はタリン都心部
映画本篇では後ろにでっかい掌が…
実はこんなモニュメントでした!
映画本篇では後ろには何があるの?って感じですが…
実はオベリスクでした!

『TENET テネット』エストニア・パート聖地巡礼の翌日の2023年5月6日(土)のヘルシンキ・ヴァンター国際空港発のフィンエアーに乗って機中一泊で日本に戻ったのですが、通路を挟んで左隣の人と更にその左の人も座席モニターで『TENET テネット』を鑑賞していて、「あ!『TENET テネット』を飛行機で観れるんだ!」折角だから自分も観てみるかな?と日本語吹替版で「聖地巡礼の復習鑑賞」を始めました。当たり前なんですが「ここは昨日行ってきた!」から本篇がスタートする訳で「この場所を昨日見てきた!」「この道は昨日走った!」の連続でかなり感激!結局、本篇を鑑賞する事で渡航前の準備段階でのロケ地特定作業の苦労や現地で撮影地を目の当たりにした感動を訪問翌日に追体験してしまうことになり「我ながら凄いことをやりのけてしまったな…」という達成感と高揚感で感極まってしまい、ラスト前の主人公(演:ジョン・デヴィッド・ワシントン)とニール(演:ロバート・パティンソン)とアイヴス(演:アーロン・テイラー=ジョンソン)のお別れのシーンで主人公が映画の中で涙を流すと同時に号泣。その後のロンドンの学校のお迎えシーンとそれに続くエンドロールでも涙が頬を伝いっ放し。消灯した機内だったので誰も私が一人で泣いているなんて気付かなかったと思いますけどね。まさか今回の海外渡航のフィナーレを「聖地巡礼のおさらい」という貴重な体験で迎えるとは思ってもみませんでした。

©2023 2024 プッチー・ミンミン
©2020 Warner Bros. Entertainment Inc.

クリストファー・ノーラン監督他作品の聖地巡礼
0006『インセプション』
0007『ダークナイト ライジング』

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