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建設業界の職人不足で考えたこと。

今回は、建設業界で深刻化している職人不足について考えたことをお話しします。

建設業界では、10年ほど前から職人不足が課題となっています。様々な業種の勉強会や協会の集まりでも、必ずこの話題が上がるほどです。特に、職人不足への対策として外国人労働者の受け入れが進められています。

実際に働いている外国人労働者を見ると、真面目で技術力も決して日本人に劣らないと感じます。日本に来る外国人労働者の多くは、自国では優秀な人材であり、努力家で地頭の良い方が多い印象です。日本人が海外で働く際に語学力や技術力を身につけるのと同様に、優秀なイメージが浮かぶのではないでしょうか?

しかし、就労ビザの関係で、外国人労働者は多くの場合3年から5年で帰国します。せっかく技術を身につけたところで帰国してしまうため、新たな人材を1から育てる必要が出てきます。3年ごとに、日本での生活や仕事、日本語でのコミュニケーションを1から学ぶのは、大変な負担です。

このような状況に対し、外国人労働者の受け入れ方法や就労ビザについて、国もさらなる対策を検討していく必要があると考えます。

一方で、根本的な課題は、少子化や体を動かす仕事の魅力が少ないことによる建設業界全体の人材不足、そして高度な技術を持つ職人の不足だと感じています。

現在の新築現場では、工場で外壁パネルを塗装・組み立てて現場に搬入する工法が増えており、外壁塗装の職人不足に対応する取り組みが進んでいます。また、使用する塗料も2液性から1液性に切り替え、混合の手間や調合ミスの防止といった工夫もされています。このように、工場や材料の技術向上により人材不足に対応していますが、まだ十分とは言えないのが現実です。

AIの進歩により、書類作成などの業務は省力化されつつありますが、現場の作業にはまだAIやITの技術が追いつかない部分が多くあります。しかし、今後AIやITが進化することで多くの作業が代替されていくと期待されています。そのとき、現場で体を動かす作業が再び注目されるのではないでしょうか。

逆に言えば、人手不足だからこそ、高い技術力を持った職人が高収入を得られる時代が来るかもしれません。実際、ガードマン(誘導員)の単価は1人あたり16,000円から18,000円ほどに上がっており、数年前と比べて約1.5倍にまで増加しています。今後、職人の単価も向上していくことが想定され、特に特殊技術を持つ職人の中には日当が50,000円に達する人も増えるのではないかと考えています。そうなれば、年収1,000万円以上の職人も増加し、業界の注目度も高まるでしょう。

ただし、まだそのような環境が整っていない分野も多くあります。少しでも力になれるよう、引き続き努力していきたいと思います。

本日は以上です。

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