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【器レビュー】SUS gallery / TITANESS Tumbler
あんかけだよ。
世の中には色んな<沼>がありますよね。
キャンプ沼の中にもテント沼、ランタン沼、レトロストーブ沼などなど……。
<器沼>もそんな沼の一つです。
<コーヒー沼>の中に<コーヒー器沼>が存在します。
コーヒー器沼の到達点。
Fire-King / ジェダイ・エキストラヘビーカップ&ソーサー。
1941〜86年まで製造されていたアメリカンビンテージ。
酒器沼
そう、つまり日本酒沼の中にも<酒器沼>が存在します。
分かってはいたけど、やっぱり出現してしまった酒器沼。
酒器と言われて「パッ」と思いつくのは、やはり錫製の酒器ではないでしょうか。
能作 / Kuzushi -Yure- 大。
錫100%。内容量155 mL。¥5,500-。
ご存知<能作>の酒器。
10年ほど前までは大きな百貨店に行かないとありませんでしたが、最近では酒屋にも置いてあったりします。
錫の特徴はなんと言ってもその<柔らかさ>。
金属でありながら手で曲げられるほど柔らかいので、非常に暖かみを感じます。
しかし錫製の酒器を効率厨的な目線で見てしまうと、決して日本酒に向いている素材では無いことも確かです。
錫の特性
錫は、器として用いられる素材の中では熱伝導率が高いことが特徴です。
ガラスの熱伝導率は1 W/mKに対し、錫は64 W/mnihoK。64倍です。
「私の熱伝導率は64倍です」
つまり、中に入れた飲み物の温度が器にすぐ反映されます。
そう聞くと、「あれ?いいんじゃない?」ってなりますよね。「冷やした日本酒入れて器が冷えるんなら、冷えを保つんじゃない😃ええやん」。
残念ながら「No😩」です。
熱伝導率が高いということは、『熱しやすく・冷めやすい』ということです。
つまり器が冷えた分、中の日本酒の温度は上昇します。また器は周囲の気温にも影響を受けます。
つまり、夏場に錫の器にキンキンに冷やした日本酒を入れてもすぐにぬるくなってしまいます。器に結露もし放題です。
冬場に熱燗を入れようものなら、同様にすぐにぬるく→冷酒に逆戻りです。そもそも熱燗を入れようものなら、器が熱くなって持てたもんじゃありません。
錫はいわば浪漫装備です。
質感は最高で、呑み口もいい感じ。加えて変な金属臭もしません。
しかし<温度>という点において、日本酒との相性はあまり良くありません。
唯一、燗酒を作るための<ちろり>は錫製が最適です。
沸騰して火を止めたお湯に浸せば一瞬で燗が出来上がります。高い熱伝導率のお陰で、温めムラもありません。最高です。
柔らかいチタンという発想
日本酒に適した酒器選びのポイントは<熱伝導率>。
熱伝導率の低い金属の代表格はやはり<チタン>です。
ちなみに山にも持っていきたいのでガラスや陶器は最初から選択肢に挙がりません。
よく見るチタンタンブラーといえば大体こんなの。
熱伝導率は低く、物によってはダブルウォールになっていて保温性◎。結露もしにくいです。
唯一の欠点は<硬い>こと。材質的に硬く、縁も鋭利なので呑み口が硬く感じるのです。
つまり<呑み口が柔らかいチタン・ダブルウォール>がファイナルアンサーということ。
そんなのあるの?
あるんです。それがこのSUS galley / TITANESS Tumbler。
チタン製のダブルウォールタンブラーです。
初見の人には、よく「それ錫?」なんて言われたりします。チタンに見えない表面の凸凹がそう思わせるのでしょう。
この凹凸のお陰でチタン製とは思えない<呑み口の柔らかさ>が感じられます。最高ですね。
カラーラインナップは基本6色+特別色。
チタンタンブラーにありがちな派手派手カラーではなく、いぶし銀のラインナップです。私が所有しているのは<Sepia>です。
Sepiaカラー。派手になりすぎない光沢が堪らない。
飲み物の種類によってサイズも豊富です。
日本酒に適したサイズといえばこの3種類でしょう。
Sourは一合弱の160 mL、Rockは230 mL、Wineは280 mLです。
Rockは底が平らで最も安定しています。山で使うことも想定すると、Rock一択でしょう。
なのにWineを選択したのは、単純に<美しかった>からです。てへぺろ。
この艶やかなフォルム。惚れたぜ。
TITANESS Tumblerの構造
TITANESS Tumblerはこのような真空二重構造です。
極薄の真空二重構造によって<冷たいものは冷たいまま><温かいものは温かいまま>保持します。
その保持能力はかなり高く、感覚的にはbodumなどのダブルウォールグラスよりも高い保温性があるように思います。
bodumは中に入れた飲み物の温度をほんのり感じますが、これは全く感じません。
また「こんなに薄くて強度は大丈夫か?」
「大丈夫だ。問題ない」
今までザックに乱暴に放り込み、山々に連れていきました。結果、凹むどころか傷一つありません。
加えて95 gという軽量さ。
山に持って行くのを躊躇する必要のない重さです。
何にでも使える
Wineは本来、名前の通りワインでの使用を想定しているのでしょう。
しかし実際は、その中庸的なデザインと280 mLという絶妙な内容量から、何を入れても様になります。
コーヒーにも最適。
総論
文句なしで良いものです。
ただし値は張ります。Wineだと基本色のMirrorが最も安く¥17,600-。
Sepiaは¥22,000-。それ以外は¥28,600-です。
高い!口当たりは優しいけどお財布には優しくない!
確かに機能的ですが、この価格帯になるともはや自己満足以外の何者でもありません。
大切ですよね、自己満足。一番好きな言葉かもしれません。座右の銘にしたい。
フォトギャラリー
以下、Wineの使用例です。お暇な方は、どうぞ。