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チャリでキャンプに出掛けよう!1泊2日小海線縦断編🚲
【本編とは関係ない写真】
ホイールのハブを交換しようとスポークをバラしたら、再組み立て後の振れ取りに大苦戦。こんなに天気が良い週末なのにお出かけできないので、バイクパッキングの普及をします。
JR小海線
タイトルにもあるJR小海線がどこを通っているかというと、ココです。
え?この写真だけじゃ分からない?しょうがないなぁ......
ココです。ココココ。
【ちょこっと解説・JR小海線】
小海線は北は長野県小諸市から、南は山梨県小淵沢(北杜市)を結ぶJR東日本の路線です。小諸駅では[しなの鉄道線]、小淵沢駅では[中央本線]と乗り継ぎできます。
総区間は78 kmと短いですが、なんと2時間20分もかかります。全て各駅停車である他に、小海線がスピードを出せない理由は[地形]です。
西に八ヶ岳、東に奥秩父山塊に挟まされたこの土地は、電車にとっては酷な山岳地帯。標高663 mの小諸駅から野辺山駅の1345 mまで、標高差700 mを駆け上り、さらに山の中を走るため、直線区間はほとんど無し。
ちなみに野辺山駅は[日本で一番高い鉄道の駅]。
山岳地帯に囲まれた小海は周囲の山、特に八ヶ岳に登れば頻繁に見下ろします。
「おーあそこが清里かぁ」とか、「んー?あれが八ヶ岳牧場かなぁ」とか。
でも大抵の山屋は「でも行ったことないんだよなぁ」「ここまで来たら、八ヶ岳登っちゃうしなぁ」。
山屋、小海を知らない説
そう、山の朝は早く、帰りはクタクタ。
そもそも夏の八ヶ岳は西側の茅野市から登ることが多いため、東側の小海は眼中から外れがち。でも山頂からよく見下ろすので、なんとなーく気になっている存在。それが小海。
いや、そもそも。あの一帯が[小海]ではない。小海は小さな町の名前で、正しくは[野辺山高原]。そんなチグハグな知識レベル。
これは八ヶ岳と小海の関係に限った話ではなく、山屋は山の麓をあまり知らない。安曇野然り、伊那然り、甲府然り。
夜行電車で山に向かっていた時代ならいざ知らず、今ではマイカーで登山口駐車場までドアtoドア。新宿BT発のアルペン号で寝て起きたら上高地。
精々知っているのは下山後の温泉とお気に入りの定食屋。その程度。
だから、
チャリでキャンプに出掛けよう!1泊2日小海線縦断編🚲
さぁ、めくるめくチャリ旅のスタートだ。
ただ走るだけじゃつまんない。テントを括り付けて1泊2日のプチ旅だ。
1日目 小諸駅ー廻り目平キャンプ場
小諸駅を出発地点とし佐久平を南へ。
主要道路は国道141号ですが、往来の激しい道路を避けるため一つ東に位置する小海線沿いの道を走ります。
いくつかの町と小さな峠を越えながら、目的地は廻り目平キャンプ場です。
廻り目平キャンプ場は標高約1600 mの高所にあり、訪れた7月末であっても涼を得られます。課題はずーっと上り調子になることで、獲得標高は1500 mにもなっちゃう。そこそこしんどい。
小海線と共に南へ。
佐久平の街を外れていくと、何やら宿場町の雰囲気を残す街道に入ります。
実際ここはかつての佐久甲州街道の高野町宿。
美人が多いそうです。
そして宿場町に酒蔵はつきもの。
全国的に有名になり始めた[佐久乃花]をはじめとし、数件の酒蔵が軒を連ねます。
【ちょこっと解説・長野と日本酒】
酒蔵が多いのも当然で、ここ佐久は千曲川(信濃川)の源流域。八ヶ岳と奥秩父山塊の伏流水が得られるこの場所で、米作り・酒造りが行われているのは必然と言えるでしょう。
長野の酒蔵は概して小規模です(真澄を除く)。小規模な酒蔵が信州各地に点在し、その数は全国2位の約80蔵(引用:長野県酒造組合)。そしてそれらの酒は大半が地元信州で消費されてしまうため、県外ではほどんと見かけません。今風にいえば、地域に根ざしたマイクロブルワリーといったところでしょうか。
宿場町を抜けると、線路沿いの田園風景が広がります。すくすくと育つ稲穂に、梅雨明けの空気が心を洗い流します。
小諸駅から3時間弱で小海町に到着。
小海線の名称の元にもなった小海の町ですが、人口4000人ちょっとの小さいな町です。本当に小さいです。メインタウンの端から端まで自転車なら2, 3分で通り過ぎてしまいます。
【ちょこっと解説・小海町】
そんなミニミニタウンですが、周辺一帯では唯一[町]と呼べるような規模感があります。ちなみに映画監督の新海誠氏や、車載スピーカーで世界有数のシェアを誇るフォスター電機(FOSTEX)の創業者・篠原弘明氏らがこの町の出身だったりします。
また信州の地酒を多く取り扱う[酒舗清水屋 小海本店]もここにあります。私的には、そこがすごく重要です。今宵の一本を仕入れ、しばしの休憩を挟んだら出発します。
小海町を出発し、山間を走る小海線を眼下に眺めながらしばらく走るとそこは川上村です。
ここまでは小海線と田園風景を楽しみながら走ってきましたが、この後、しばらく田んぼを見ることはありません。代わりに現れるのは......
山盛りのレタスだ...
これなんて一見水を張った水田のように見えますが、全部レタスです。
こちらは川上村の入り口。
峠から入ったので、ちっこい看板が一つ立っているだけですが、よく見ると後ろはレタスです。辺鄙な道路の片隅だぞ、ここ。
【ちょこっと解説・川上村】
そう、川上村はレタス村。村のゆるキャラからして「レタ助」です。
標高1,200 mに位置する川上村は、高原特有の気候を利用して夏の間、レタスを作り続けます。村の半数が農業従事者であり、この地域から出荷されるレタスは全国供給量の約17%を占めます。
長野県全体でも全国供給の34%なので、長野産レタスの半分がこの小さな村で作られています。
訪れた夏は川上村の最盛期。朝1時から収穫、出荷。日中から夕方までマルチの手入れと作付け。それを毎日休まずに続けます。ひたすらにレタスを植え続けるわけです。ソシャゲもびっくりの周回速度です。
代わりに冬の3ヶ月はまるっきり休みます。
さて、朝から豆大福以外まともに口にしていません。
時間もそろそろお昼ごろ。さて、お昼ご飯はレタス......
YAKINUKU
おひとりYAKINUKUです。やったぜ。
こんな山奥で焼肉を堪能できることに文明のありがたみを感じつつ、腹も心も満たされます。
飯を食って、また飯の話です。
バイクパッキングでは欠かせない、旅先での買い出し。
まだ廻り目平まで15 kmほどあり、この先ずーっと上り坂ですがこの[ナナーズ川上店]が最終スーパーです。
辺鄙な、というと失礼ですが、レタス以外何もないこの村では信じられないほど立派なスーパーです。川上村の住人はもちろん、この辺りでキャンプをする際なども御用達になります。
買い出しを済ませたら廻り目平めがけてグングン登っていきます。
あのゴツゴツした岩山は小川山、そして百名山の瑞牆山です。
廻り目平とは瑞牆山の山裾、渓谷沿いに広がる奇岩郡のことを言います。なのであの岩山向けて進んでいくわけですが、この写真の場所からもまだ相当登ります。
特に最後の上り坂は最大勾配15%のため、流石に"押し”が入りました。
ここをキャンプ地とする
ゲハゲハ喘ぎながら、ようやく廻り目平に到着です。
写真右に見える金峰山荘で幕営受付をします。
【ちょこっと解説・廻り目平キャンプ場】
ここは特殊なキャンプ場です。キャンプ場なのですが、金峰山の登山駐車場、クライミングの拠点を兼ねています。金峰山に登る人は夜明け前、あるいは前日から来ますし、普通のキャンプなら昼前後。
そういった目的によって異なる来場時間を管理するため、キャンプ場の入り口に立体駐車場などで見られる[車用ゲート]が存在します。ゲートで駐車券を受け取り、そこに印字された時間を元に[いつから居たか][何日滞在したか]を把握、清算する仕組みというわけです。
もちろん自転車や徒歩の場合は関係なく、ゲートをスッと避けてそのまま金峰山荘で滞在日数を告げて受付すればOKです。
ここまでの距離は70 kmちょっとで長くはありませんが、7月末の炎天下&ゲハゲハ上りですっかりクタクタです。
標高が高いとはいえ日陰じゃないと死んでしまう暑さです。良さげな林間を見つけて、パパッと設営してしまいましょう。
今回のテントはZEROGRAMのEL CHALTEN 1.5。
最新モデルは以下のリンクにあるもので、名前に”Pro”が付きます。
私のEL CHALTENは初代モデルのマイナーチェンジ品で、強度面で多少の問題があるため山では使用していません(最新のProモデルは無問題)。
ただしバイクパッキング、特に夏のあっつくて虫ヤイヤイのキャンプ場では通気性抜群のEL CHALTENはベストパートナーです。
前後を解放することで風が通り抜ける設計。そしてインナーを閉じてもフルメッシュ故に暑さが籠らない&完璧防虫。広い前室×2。
真夏のキャンプに必要な性能を兼ね備えています。
テントの中で一休みしたらもう、その日は終わったも同然です。
愛車を愛でながら、一杯やりましょう。
酒千蔵野(長野・川中島)/ 幻舞・吟醸で乾杯。
【ちょこっと解説・酒千蔵野と川中島と幻舞】
酒千蔵野は長野市の川中島にある小さな酒蔵です。代表銘柄は[川中島]で、こちらは長野県外の酒屋でも見かけることがあります。
一方、酒千蔵野で高い評価を受けている酒は[幻舞]という銘柄です。[川中島]と比べて特別高価な訳ではありませんが、長野以外では恐らく購入不可です。
元々、酒千蔵野が長野市内の酒屋にだけ卸す限定銘柄として誕生したのが[幻舞]です。そういった経緯から、長野県、特に長野市の酒屋では比較的容易に手に入ります。一方、県内では伊那、松本、佐久、小海の酒屋に置いてあることはあるものの、入荷数が少ないため「出会えればラッキー」ぐらいの心持ちでいきましょう。
どうしても飲んでみたい方は最初から長野市内の酒屋に狙い撃ちで行くことをオススメします。
ちなみに[幻舞]は季節ごとに米違いで醸しているようで、経験上、美山錦(春〜)→金紋錦(6月)→愛山(7月)→雄町(9−10月)の順で店頭に並びます(美山錦と今回飲んだ吟醸は通年でよく見かけます)。中でも愛山と雄町は格別なので、機会があれば是非お試しください。
焚き火もできるのがキャンプ場を利用するバイクパッキングの良い所ですね。山のテント泊じゃ、こうはいきません。
幻舞片手に焚き火越しに愛車を眺める。
人生に必要なものの全てがここに集約されています。
よく考えるまでもなく、昼に肉食って、夜も肉です。ふふ。
この時点で既に人間としての思考力は機能していません。
モロコシだって、そのまま焼いちゃいましょう。
下茹でせず本当にそのまま焼いたので、硬くて食えたもんじゃありませんでした。ボリボリ食べたけど。
2日目 廻り目平キャンプ場ー甲府駅
やっと2日目です。といっても2日目はひたすら下るだけ。
来た道を引き返してもいいのですが、折角なのでそのまま南下します。最終目的地は甲府駅で、そこから輪行で小諸駅に戻るルートです。
八ヶ岳を眺めながら昨日お買い物したナナーズ川上店までは来た道を戻ります。
ナナーズの脇から南沿いの山に向かい、信州峠というちょっとした峠に向かいます。
信州峠に向かう道中もやっぱりレタスです。レタス峠。
この峠を越えたら、あとはもう本当に甲府駅まで下り一直線です。
ノンストップで下ったため、写真が一枚もありません。次に残っていた写真は、
なんか食ってる......。
ここはもうすっかり韮崎市内です。
別に目的地という訳ではなく、空きっ腹にパン屋が現れたのでパクパクした次第です。この辺りのルーズさはバイクパッキングならでは。
隣の金精軒という和菓子屋が例の水信玄餅で大変有名らしく、ひっきりなしに車が出入りしています。尤も、今は腹に貯まらない水餅はスルー。炭水化物と糖分の塊で補給します。今日もあっつい。
このあと甲府市内のアウトドアショップの[エルク]や[Sunday]に寄り道してから、甲府駅13時13分・中央本線小淵沢行きで輪行しました。
【ちょこっと感想・エルク】
エルクは2年ぶりくらいに訪れたのですが、店内の印象が様変わりしていました。以前はよくある山道具とカジュアルがごちゃ混ぜになった感じで、悪くいえば[何を売りたいのか分からない]という印象でした。
2年ぶりに訪れると、山道具だけでなくオートキャンプやブッシュクラフト寄りのラインナップが増えています。「おっ、こんな焚き火台出てるんだ!」と驚くようなものもあり、また山道具のラインナップも以前より充実しています。
どんなもの、そして体験を売りたいのかコンセプトが明瞭になっており、甲府でイチオシのお店になっていました。
エルクをべた褒めしていますが、Sundayで新しいお財布を購入しました。
holoというガレージブランドのもので、RawLowMountainWorksのデザイナーが立ち上げたブランドです。非常に使いやすく気に入っているため、これについては別記事を書こうかと思っています。
甲府駅から輪行
甲府には南アルプスの帰りに何度も寄っているのですが、甲府駅は初めて訪れました。駅前にヨドバシができていたり、人がひっきりなし往来していたりと、かなり栄えていますね。
【ちょこっと解説・ヨドバシ】
関西人のヨドバシに対する信仰心は異常です。
ヨドバシ梅田という[家電量販店の単独店舗売上高日本一]というバケモノ店舗に絶対的な信頼を置いており、京都人もヨドバシ行きたさに新快速や阪急乗って梅田に行きます(京都駅前の近鉄百貨店跡地にヨドバシ京都が出来る以前は特に)。
なので[ヨドバシ=都会]の図式が成立しています。甲府は都会です。
甲府駅前の武田信玄像に良い感じのベンチがあったので、いそいそと輪行準備します。
以前Unit Xの記事にも書きましたが、Unit Xの輪行はかなり大変です。荷物を全部外してザックに入れ、ハンドルを外し、リアフォークのキャリアーを片方外し、サドルを一番下まで下げ、両輪を外してギリギリ輪行袋に収まります。
なので遅くとも45分前には駅についておきたいのですが、この際は13時13分発車に対して甲府駅着は12時50分。それはもう汗だくヒィヒィになりながら、なんとかホームに滑り込みました。
中央本線の車窓から八ヶ岳を眺めつつ、数駅で小淵沢駅に到着です。
小淵沢駅で中央本線から小海線に乗り換えますが、乗り継ぎに1時間待ちです。
小淵沢駅のオススメは何と言っても丸政の駅そば。
こちらは豚バラ軟骨そば¥450-。朝からパン以外、ろくに食べていなかったことも合わさって、激ウマです。
【ちょこっと解説・丸政】
丸政は北杜市に構える大正7年創業の老舗です。小淵沢駅には昭和4年から店を構えています。
蕎麦屋さんではなく、本業は弁当屋さんです。甲府駅、小淵沢駅、そして茅野駅に直営店があり、駅弁などを買うことができます。
駅弁もさることながら、やはり丸政といえば駅そば。小淵沢駅の他に甲府駅、韮崎駅、富士見駅、長坂駅で食べることができます。
乗車した小海線の車両は少し変わっていて、2x2のボックス席と1x1のミニボックス席があります。
休日の昼過ぎであっても、席が8割以上埋まるのは小淵沢ー野辺山と佐久の市街地に入ってからの僅かな区間だけで、他の大半は1車両に精々3-4人程度でした。
快適な車内をたっぷり2時間20分堪能し、小諸駅に着いたらパーキングに停めていた車に自転車を放り込んで、今回の旅は終了です。
梅雨も明け、すくすくと育つ稲穂とレタスを眺めながらの1泊2日プチ自転車旅。
初夏の空気を満喫しました。