古株になりたい気持ち
私は環境の変化が苦手だ。
とても小心者なので、ちょっとしたことで落ち着かなくなるし、安心できる場所でじっとしていたい。
大学入学で初めて引っ越しをしてから転居をせず、就職先もその家から通える範囲で探したほどだ。
いつも恵まれた環境にいて、転居や転職の必要に迫られることがなかったのも奇跡的であるが、いずれにせよ変化を避けてきた。
変化を嫌う本質
そもそも人間は変化を嫌うものだ。
自分なりの生活スタイルがあって、安定していれば色々と考える必要もない。
変化しなければ日常と異なることにのみエネルギーを割けるので、効率が良いのだ。
変化すればまた1から環境づくりをしなければならないし、それがうまくいかない可能性だってある。予想できない未来に、不安が募る。
変化で得られるもの
一方、安定と違って、変化の多い人生はきっと面白いものになる。それは間違いない。
経験したことのない分野へ転々とすれば、新しい世界をたくさん知ることができる。
見識が得られると自分も楽しいし、なにより、魅力的な人間になれるだろう。経験豊富で語るものが多い人は、人を惹きつける。
(逆につまらない人間は、得てして経験に乏しい故に視野が狭く、他者の価値観を理解できないことが多々あるようだ。また、他人の話を聞いて批判ばかりしがちでもある。)
私は大きな変化が苦手な分、本を読んだら調べることによってあらゆる可能性を事前にリサーチしている。
自身の体験とまではいかないが、多様な価値観を得るための行動を、変化以外の行動で行っているわけだ。
同じ場所にとどまるメリット
変化を嫌いつつも、情報収集しながら同じ場所で過ごす。私はそうして古株になりたいのだ。
普遍的なことはネットなどで調べれば、知識として得られることができる。
しかし、その場に応じたルールや雰囲気、状況というのは特定の場でしか存在しないものだ。
だから、場の固有のルールは事前の情報収集では知ることができない。
私はそれらのルールおよび成り立った経緯を自身の経験として知っておくことで、下の世代へ伝えていきたいと思っている。
古株らしい振る舞いを
最初からその場にいたとなれば、知らないことは限りなく減らすことができる。
特に会社など社会集団というのは入れ替わりが激しいので、長く留まるほど事情に詳しくなっていく。
ただ、「知っている」という意識は時にお節介だったり、他者にとって厄介なものに見えることがある。
いわゆる「御局様」がその典型だろう。その言葉自体に悪い意味はないのだが、悪口として使われがちだ。
古株のポジションにつきながら、新しい情報をたくさん知っていくことで、「時代遅れ」「お荷物」と思われないような振る舞いをしていきたい。