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ハチは暗闇では飛べない

今回は飛行機とは離れて昆虫と光の関係について書いていきます。

ハチは暗闇では飛べない

Twitterで「ハチは暗闇では飛べない」という実験動画を見つけました。

明るい時は多くのハチがブンブンと飛んでいますが、ライトのスイッチを切った途端にハチたちがバタバタと下へ落ちていきます。
ライトの光がハチたちの飛ぶ原動力になっているように見えます。

コメント欄には「真空にしたのでは?」との指摘もありますが、
それに対して「真空ホースがない」「ここまで早く真空にできるような装置には見えない」といったことも書かれています。
簡易的な箱の装置に見えることからライトを切った途端に真空にできることは考えにくく、トリック動画でない限り、
ライトからの光のエネルギーによってハチが飛んでいると考えることが自然のようです。

光と昆虫が飛ぶ関係は、こちらの記事『空を飛んだ昆虫学者(グレベニコフ教授)』にも書いているので一部抜粋します。

長さ約3mm、幅1.5mmの蛹の外側は硬く出来ていた。光を当てるか、暖めると、ジャンプを始め、暗闇では不動であった。3mmの長さの蛹が、5センチも飛び跳ねることもある。しかも、転がりもせず、スムーズに飛び上がるのだ。足があるか、体を曲げることのできる昆虫であれば、それも理解できない訳ではないが、ただの卵型の物体が、自分の背丈の十数倍も飛び跳ねる理由がわからなかった。また、水平に飛ぶこともあり、その際は、高さ5センチ、距離35センチにも及ぶ。これは自らの幅の30倍を超える。

羽を持たない蛹が、光を当てるか暖めるとジャンプしたというもの。そしてここでも先ほどのハチと同じように、その蛹は暗闇では不動であったとのこと。
一部の昆虫にとって光や熱のエネルギーは飛ぶための原動力のひとつであると考えられます。

昆虫の走光性

昆虫と光の関係を調べると、昆虫の走光性という記事を見つけました。

 生物が外部の刺激を受けて方向性のある移動運動をする性質のことを走性といいます。走性は生物に生まれつきのもので、経験や思考に基づくものではありません。そのため、走性を生じさせる刺激に対していつも同じ反応となります。

 走性のうち、光の刺激に反応するものを走光性といいます。昆虫の走光性には次の表に示した屈曲走光性・転向走光性・目標走光性・保留走光性があります。また、走光性には、ガのように光に近づく正の走光性と、ミミズのように光から遠ざかる負の走光性があります。

走光性の種類
屈曲走光性:光を感じる眼がある頭部や体全体を上下左右に振りながら、光の刺激の強さが等しくなる方向を探して進む走光性
転向走光性:左右対称についている眼を使って、左右の光の刺激の強さを比較しながら、光の刺激の強さが等しくなる方向を探して進む走光性
目標走光性:目標走光性眼の網膜に光源の像が同じように結ぶように進む走光性
保留走光性:眼の網膜に結ぶ光源の像に対して一定の角度で進む走光性
 昆虫の走光性は、昆虫の種類や、幼虫か成虫かによって異なりますが、ここでは一般的な転向走光性と保留走光性について説明します。

空を飛んだ昆虫学者(グレベニコフ教授)』に書いた蛹の場合は、ここでは屈曲走光性に当たるのでしょうか。蛹の状態でも光を感じることで、殻の中で頭部や体全体を上下左右に振り、光の方向へと飛び跳ねたのかもしれません。
しかし体を振るだけで小さな蛹が高さ5cm、距離35cmにも飛び跳ねることができるとは考えにくく、体を動かすこと以外にもエネルギーが使われていると推測できます。
抜粋を続けます。

転向走光性は2つの目に同じ明るさを感じる方向へ向かう性質です。転向走光性の昆虫の眼の片側から光を当てると、光を当てた側に向きを変え、反対側の眼にも光が同じように当たる方向を探します。光源が2つある場合、2つの光源の中間の場所に向かいます。また、眼の片側を覆うと、光源のある方に向きを変えますが、この状態では光源をぐるぐると回ることになります。

 保留走光性の昆虫は眼の網膜に結ぶ光源の像を頼りに進むので、眼が左右対称についている必要はありません。眼の片側を覆っても、転向走光性の昆虫のように光源をぐるぐると回ることはありません。光源が2つある場合は、どちらかの光源だけを頼りに進みます。保留走光性は目標走行性に似ていますが、目標走行性の昆虫が光源に対して直線的に進むのに対して、保留走光性の昆虫は光源に対して一定の角度を保ちながら進みます。

太古の世界では、夜間の明るい光は月の光に限られていました。私たちは月明かりで身の周りの物体を確認しながら行動することもできますが、月を見ながら歩くと、月の位置を頼りにある方向へ真っ直ぐ進んで行くことができます。
 これは月が非常に遠くにあるため、月からやってくる光が平行光線として届いているからです。このとき、同じ方向に進んでいる限りは、どんなに移動しても、月はいつも同じ方角に見えます。
 保留走光性の昆虫も、これと同じです。次の図のように、月の位置を頼りにある方向に真っ直ぐに進む習性があります。いつも月と同じ角度を保って進む限りは、同じ方向に真っ直ぐに飛んで行くことができるのです。

光の進み方

一方、近いところにある電灯からやって来る光は傾きのある光線として届きます。保留走光性の昆虫がこの光線を頼りに光源に近づこうとすると、電灯の見える方角が次々と変化します。すると、昆虫は電灯が常に同じ方角に見えるように進む方向を修正します。その結果、保留走光性の昆虫は電灯をぐるぐると回ってしまうのです。

https://optica.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-5a72.html

蛾は保留走光性のため、遠い月明かりですと光は平行に届くため蛾も平行に飛びますが、光源が近い場合は光が波で届くため光に向かおうとすると光源を中心にぐるぐるとしたの形で近づくという説明です。
この形を見て、フィボナッチ数列の螺旋形状だと思いました。

走光性の説明ですと昆虫は「光を求めて飛ぶ」ですが、
最初のハチの実験動画と合わせると「光があるから飛べる」と認識を変えていく必要があるかもしれません。
そして光も電磁波であり、波です。波は渦であり、蛾が光へと向かう軌道は渦でした。
飛行機が飛ぶ原理とは関係がないように感じるかもしれませんが、飛行機もプロペラを回して渦の力を得ます。エンジンはハムノイズのような低い正弦波の音、音も波であり渦です。さらにエンジンは熱のエネルギーも持ちます。

光や音などの渦のエネルギー、空気のバネ性、電気や電位差など、飛ぶためのヒントのピースは少しずつ集まってきています。引き続き飛行機の飛ぶ隠されたエネルギーの追求を進めていきます。

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